十の質問
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【ボーダーライン】当日。開始まで一時間を切った。
俺は事務所のPC前に待機している。隠見は……事務所にはいない。捜査零課が署の中でフォローする事になったらしい。体験版では自身の視点でPCから覗く事も可能だったのが理由だろう。これが本番でどうなるかは分からないが、準備しないよりかはましだろう。
そして、もう一つの知らせ。河相邸で見つかった血痕付きのナイフについてだ。血液型B型であり、俺の血と一致した。河相夫婦はAとAB、以蔵は血液型の配列からしてB型の可能性はある。
メイデンは昨日の言葉通り、【ボーダーライン】が終わった頃ぐらいにメッセージを届けるつもりだろう。最低三時間はログインしなければならない。だが、状況次第ではそれ以上に残らなければならなくなるだろう。
暗野に関して。メイデンと別れた後、情報屋に連絡して、暗野の事を調べて貰った。暗野は記者でありながら、そちらの面にも足を踏み入れていた事から、簡単に情報が降りてきた。
暗野の親友らしき人物が事故死したのが数ヶ月前。それも【首狩り族】の仕業らしく、暗野はそれを追っていたらしい。そこからある人物と頻繁に接触しており、その人物でつい最近亡くなったらしい。それ以降、暗野は極力部屋に出る事はないようだ。
「親友は【ボーダーライン】が原因で亡くなって、会った人物には参加資格を貰うようにしたのか」
親友の死が原因だとすれば意外と思うが、暗野は確かに参加資格を持っている。そして、家にいるのも【ボーダーライン】をするためだろう。
【ボーダーライン】開始、三十分前。
PCに【ボーダーライン】からのメッセージが届いた。
【ボーダーライン】
開始三十分前です。ログインした状態でお待ちを。その間に幾つかの質問をしますので、【Yes/No】でお答えください。。プレイヤーの答えは、VIP達も見る事が出来る事をお伝えしておきます。
「VIP達へのアピールのためか? とはいえ、まともな質問じゃない気がする」
俺はメッセージの指示通り、【ボーダーライン】にログインする。
体験版の以蔵の部屋みたいに真っ暗な部屋。そこに二つの扉の上に【Yes】と【No】と書かれており、その更に上には問題が書かれていた。
【選択肢の解答によって、質問は分岐します】
貴方は怪奇現象を信じますか?【Yes/No】
この質問に対して、俺は【Yes】の扉を開けると、質問が違うだけの同じ部屋が続いていく。
他者の命とお金なら、貴方はお金を取る?【Yes/No】
状況次第で、貴方は人を殺すのを躊躇わない?【Yes/NO】
それが女、子供、仲間であっても? 【Yes/NO】
大切な人のためなら、自身の命を差し出せる? 【Yes/NO】
嘘を吐くのは間違いではない? 【Yes/No】
怪異は悪に決まっている? 【Yes/No】
現実に生きるのはつらい? 【Yes/No】
最近起きている怪奇事件は【ボーダーライン】が関係している【Yes/No】
河相夫婦の殺害も【ボーダーライン】が原因である。【Yes/No】
【お待たせしました。十問の質問を終えたようですので、本編の扉が開かれます】
十問の質問を終えると、二つあった扉は一つだけになり、この先が【ボーダーライン】の世界に入るための扉という事だろう。
その扉を開くと、九人のプレイヤーが先に待っていた。




