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ボーダーライン ~人為と怪異の狭間~  作者: 迷探偵
第一章 開始前
49/98

記者

「隠見警部、お話があるのですが。中に入ってもよろしいでしょうか」


 ノックしてきたのは河相邸を警備している警察の一人だろう。


「あっ……はい。どうぞ中に入って貰っても」


 隠見は警察を招き入れる前に、血のついたナイフを隠した。そして、俺とメイデンに『内緒』とばかりに、口に人差し指をつけた。


「失礼します。捜査一課から二人に話を伺いたいらしく、署まで連れて来て欲しいとの事です」


 警察は隠見に敬礼し、持ち場へと戻って行く。それだけを伝えるだけなら入口の時に声を掛ければいいと思うのだが、そうもいかないんだろう。


「何でナイフを隠したわけ? 鑑識に持っていくと言ったでしょ。それに署に連れて来いって……私達は怪しまれてる?」


「多分、本当に話を聞きたいだけと思います。真実さんは昨日、私と一緒にいたわけだし、メイデンさんは絵の事ですね。そこは私が引き受けます。明日に響くのは絶対駄目なので」


 メイデンが河相邸に来たのは盗品の絵があると思っての事で、それがないのだから面倒臭い事になる。


「ナイフも別件として個人で持っていくつもりだったから。下手に真実さんの血だった場合は危険ですから。犯人は現場に戻るとかで、何日も缶詰にされたら終わりですよ」


【ボーダーライン】は毎日のログインは必須であり、それを無視した場合は……死が待っていると思った方がいいだろう。それに明日の開催は決められた時間に集まらないと駄目なのだ。下手に捕まったら、その時点でゲームオーバーになる。


「分かった。そうなると隠見が離れる事で、俺達はこの場にいれなくなるな」


 残るは一階の半分だが、ここまで来ると新たな情報が残されている可能性は低い。


「ですね。二人を連れて行かない以上は、すぐに離れた方がいいと思います。車で送っていく事も……」


 隠見はスマホを操作し、先に上司へ連絡を入れたのだろう。そして、至急帰還しなければならない事を伝えられたわけだ。


「それは構わない。メイデンに関しては」


「私は自分の場所を知られたくないからね。送り迎えは不要だから。用が出来たら、私の方から顔を出すから」


 メイデンは自分の用がある時にだけ登場する神出鬼没な奴。車で送ったとしても、きっとダミーに過ぎないだろう。


「分かりました。真実さんは分かってるかもしれないけど、記者には注意してください。屋敷を出た後、付けられないように」


 今から隠見と別行動になれば、記者、マスコミは俺達に情報を求めてくるだろう。それが本当や嘘でも、情報操作で面白くする輩もいる。下手に情報を与えるのは危険な行為だ。そこは俺だけじゃなく、メイデンも承知している。


 俺達は河相邸から外に出た後、隠見は車で『河相家殺人犯事件』の本部がある署に戻った。


 そして、俺とメイデンが河相邸から距離を……いや、警察から離れたところで、声を掛けてくる男がいた。隠見が言っていた通り、記者が寄ってきたのだ。


「げっ!! 彼女があんな事を言うから、登場してきたわ。アンタは私達のストーカーなわけ?」


 それも俺やメイデンは、そいつと面識がある。暗野丈(あんのじょう)、オカルト雑誌【呪金(じゅこん)】の記者。三十代ぐらいで、飄々とした態度を取っている。暗野が先に俺達の前に現れた事で、他の記者達は離れていくのが見える。


 この男はその方面で忌み嫌われている。『暗野と関わると呪われる』、『暗野の記事は嘘まみれ』、『暗野は人殺し』等、恨み事が多い。俺とメイデンが奴の事を知ってるのは勿論、怪奇案件。


 俺とメイデンが解決した怪奇事件を、暗野は独自で調べあげた後、自身のオリジナルのように誇張した記事を書いた。それが怪異を復活……別の人間が真似をして、殺人事件を起こした。


 暗野はそんな行為を何度もしており、俺達を利用する事が多い。最近は身を潜めていたみたいだが……


「酷い言いようだよな。今回は偶然だ。俺はあの動画を見て、この屋敷に来たわけだけど、アンタ達を目撃した時は喜んだよ。特に探偵さん。アンタがいた事に」


 暗野は舌舐めずりをしながら、俺の方に視線を合わせてきた。前はメイデンの怪奇を呼び寄せる事に興味を抱いていたはず。


「それと捜査零課の嬢ちゃんもいたもんだから、完璧なんだ」


 暗野は隠見の事も知っているようだ。捜査零課は怪奇、怪異担当。暗野が取材をしてもおかしくはない。


「怪異に触れすぎて、ついに頭がおかしくなったわけ?」


 メイデンは辛辣な言葉を暗野に投げつける。暗野は俺達と会う時は冷静な時が多いのだが、今回に限っては興奮状態に近い。俺達は無視して通り過ぎようとするが……


「【ボーダーライン】」


 暗野から予想外の言葉が発せられ、俺とメイデンは足を止めるしかなかった。

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