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ボーダーライン ~人為と怪異の狭間~  作者: 迷探偵
第一章 開始前
48/98

ナイフ

「あっ……真実さんを殺した相手を見つけるためですね。殺人鬼以外にもプレイヤーが……って事があるから」


 その理由を隠見が先に言った。プレイヤー殺しは河相宗の日記にも書かれている。直接とまではいかなくとも、罠に嵌めようとしたと……


「分かったわよ。その分、探屋の報酬はなしね。前金で払ったのは仕方ないけど」


「報酬がなしだと? 減額の間違い……」


 メイデンは頭を掻きながらも渋々了承したのは良いが、何故報酬がなしになるのか。


「残念だけど、【GUEST】に参加するためには百万必要みたいだから。振り込め詐欺みたいな感じで嫌だし、探屋に払って欲しいぐらいなんだから」


【GUEST】参加費用に百万。それに加えて【スパチャ】を投げるとしたらどんなに金が必要になるのか。その費用で【ボーダーライン】は拡大しているのか?


「百万なんて大金……メイデンさんは凄い……じゃなくて、他の【譲渡】した人達はどうするんだろう。詐欺ぐらいにしか思わないのか。人の命だとしたら」


 二番目に大事な物と百万円の天秤。それも【ボーダーライン】生存者が前回はゼロなのだから、分の悪い賭け。それを知らない人でも簡単には払わない、払えない。


「殺されるとかじゃなく、消えるのなら【家中神隠し】もこれが原因か? それだと本当に怪奇現象になるが」


「さぁ? それは失敗する事でしか分からない事だし。Gの事はここまでにして、銃痕も調べに来たんでしょ」


 メイデンに急かされ、俺は目的の銃痕を探してみるが、一向に見当たらない。


「確かに撃ったはずだ。襲った相手に当たる事もない。全部が反映される事はないのか?」


 猟銃を撃った時、相手側に振り返るのは無理だった。天井もしくは、横の壁に当たるのが関の山。万が一、相手に当たったとしても至近距離だ。貫通して、それも壁に痕が残っているはず。


「血の文字はあるんだから、【ボーダーライン】の影響は一応は確認出来たじゃないですか。……もし、人の仕業だとすれば問題があったのは音じゃないですか?」


 銃声。警察の目を掻い潜っての侵入も難しいが、猟銃の音を消す方が難しい。なんせ、屋敷の門には警察が待機しているのだから。


「そうかもしれないな。時間も勿体ない。最後は……以蔵の部屋だ。メイデンも【我が娘】の絵をもう少し探してみるか?」


「今回は良い。警察にも連絡が言ったわけだし、戻ってくる方に期待するわ。後は気持ち悪い場所だけでしょ? 私も完全に巻き込まれたわけだから、見ておかないと」


 メイデンは先々と以蔵の部屋へ進んでいく。河相邸に突貫するくらいに度胸はある。それが途中で止まってしまった。


「おい……どうした? 気持ち悪くなったのなら」


「その逆。数分前なのに全然気にならなくなったんだけど」


「その違和感が勘違いだったとかは?」


 メイデンだけが感じていた違和感が消えたらしい。彼女自身も巻き込まれた以上、嘘を吐く理由はない。隠見はメイデンの勘違いを疑ったが、気持ち悪くなった以上は何かあったと思う。


「以蔵の部屋に何かあったのかもしれない」


 俺は体験版の時同様、以蔵の部屋へと進んでいく。違和感が消えた理由としては、この部屋以外は考えられない。


「……ナイフ?」


 何もない真っ白な部屋。『Welcome to Borderline』の文字も書かれてない。そこにあるのは一本のナイフ。河相夫婦殺害の凶器……とは考えにくい。ここに置いておく理由にならない。


「僅かながらに血がついてますね。河相夫婦は大量の出血に、凶器はナイフとは別だと思います」


「それなら……俺が刺された凶器か。大量の出血はしたと思うが……現実で少し傷が残った事にも意味があったのかもしれない」


 隠見は河相夫婦の死体を見ており、鑑識の言葉を聞いている。このナイフは……体験版で俺を刺した物が置いてあった……もう一人のプレイヤーが体験版側の以蔵の部屋から、あの扉をくぐったとしたら……


「鑑識に回してみます。他に変わった事は……ないですね。メイデンさんはこのナイフに何か感じますか?」


「ん……赤色のやつか、ナイフ自体なのか分からないけど、変な感じかも」


 これが違和感の正体か? いや、メイデンの気持ち悪さが薄らいだ事に意味があるはずだ。


「『Return to Real』……体験版から、誰かがここに来たとかありますかね?」


 隠見が言ったのは、体験版で以蔵の部屋に、写真を通してしか見れない言葉の事だろう。それはVRを通してではなく、本当に【ボーダーライン】と現実を行き来している……怪奇現象だとしても、それは不可能じゃないか?


 その言葉の直後、以蔵の部屋の扉をノックする音が聞こえた。

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