再訪
★
「連日来るとは思わなかったけどな」
俺と隠見は【ボーダーライン】でつけた銃痕があるのかを確かめるために、隠見の車に乗り、再度河相邸へ。勿論、それ以外に体験版と同じなのかを調べるつもりでもいるが。
「屋敷の中に入るのは初めて……とも言えないかもですね。遠くから見てもそうでしたけど、中に入ると暮らしが別世界というか……」
「警察の給料は安そうだし、探偵も依頼が無ければ……金持ちの気持ちは分からないが」
俺達が貧乏であるという話は置いといて、河相邸が視界に入ってきた。
「マスコミはいなくなってるな」
「鑑識や多くの警察が戻ったからじゃないですか? ここにいても色々と情報は拡散させてしまったわけですし。だからこそ、真実さんを中に入れれるわけですよ」
それでも、フリーライターぐらいは隠れて張り込みぐらいはしてるだろう。
「とはいえ、何処に記者達が隠れているかも分かりません。彼等はハイエナみたい感じだから、私達に近寄ってくるかもしれないし」
そんな事が何度もあったと経験談から言ってるのだろう。探偵である俺も似たような行動を取るし、情報屋の一人や二人、通じる人物もいるので何とも言えないが。
「あれは記者じゃ……ないわよね」
隠見の車から降り、河相邸に近付くと入口を封鎖している警察官と誰が口論しているようだ。
その相手はフード付きの青パーカーにハーフパンツ。身長も百三十はあるだろうか……遠目から見ると子供ではないだろうか?
「私を子供扱いするな!!」
俺の心を見透かしたように、子供の大きな声が聴こえてきた。警察が子供扱いしたのだろうが……
「何だろう? あそこまで叫ぶなら、この事件の事を何か知ってるのかも」
子供は警察に抑えられているが、無理にでも河相邸に入ろうとしている。
「まさかな……」
暴れている声に聞き覚えがあるような……だが、こんな場所に来るとも思えない。
「どうしました? 代わりに私が話を聞きましょうか?」
隠見は河相邸を警備している警察に、警察手帳をみせた。警察もパーカーの子供を抑えるの解き、事情を説明し始めた。
「お疲れです。この子供が、この屋敷に飾られている一枚の絵が自分の物であり、盗まれた物だと言って、返却を求めてきてるんですよ」
「絵が盗まれた物……河相邸には盗品があると」
河相久内は貿易会社の社長。コレクターであれば、裏でそんな事をしていてもおかしくはない話だ。そして、事実であれば、他にも盗品があった場合、恨みがある人物が増える事にもなる。
「それが事実だとして、河相久内の事を一から調べないと駄目です。絵が自分の物である証拠と、盗品であると分かれば返却しますから」
隠見は彼等に盗品の可能性がある事を本部に伝えるようにと指示し、パーカーの子供と話す事にした。
「それだと遅いんだから!! 変な事が起き始めてるみたいだから、その前に回収したいと言ってる!!」
パーカーの子供の顔が見えた。金髪、碧眼の少女であり、その顔に見覚えが……というより、彼女の方が俺がいるのを見て、『げっ!!』とした顔をしている。
「なんでアンタがこんな場所にいるんだよ!!」
「それはこっちの台詞だ。メイデン!!」
彼女は俺に【ボーダーライン】の参加資格を【譲渡】した人物であり、『彼女あるところに怪奇あり』と、この事件が怪奇案件になる事が明白となったかもしれない。




