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ボーダーライン ~人為と怪異の狭間~  作者: 迷探偵
第一章 開始前
30/98

通話

「そんなわけ……現実と同じスマホならありえるのか」


 現実と【ボーダーライン】では機能は少し違っても、同じスマホなのだ。【カメラ】で撮った写真も現実に持ち帰れるのなら、互いに番号を知っていれば連絡は可能であるのか。【通話】の説明では重なり合わせる必要があるらしいが……


「もしもし……」


「本当に繋がった!! 無理を承知で掛けて正解でしたよ。現実のスマホが鳴るだけと思ってたんだけど」


【通話】に出てみると、隠見の声で間違いない……はず。隠見と同じ声をした奴がもう一人いる。


「……本物なのか? 同じ声をする奴はいるからな」


「あ~……違いますよ!! 真実さんの事を色々と伝えた……ザッ……ザザ……方が……いい……ザー……」


【通話】に雑音が入る。隠見と繋がったのは偶然であり、すぐにでもシャットアウトするつもりか!? なら、本人か偽者とは関係なく、情報を手に入れなければ。


「途中で切れるかもしれない。要件だけを言ってくれ。この場所で、何か気になる事でもあったのか!!」



「そこ……ザザッ……河相……ザッ……屋敷……黒い……ザー……警察……鑑識……ザッ……写真……ザッザー……以蔵……」


 途切れ途切れの言葉も、以蔵という言葉を最後に【通話】が終了してしまった。


「隠見の言った言葉を組み合わせると……昨日、俺達が訪ねた河相邸……その本館なのか!?」


 河相家を訪ねた際、俺が入れたのは、庭に建てられた河相宗の部屋だけ。本館、屋敷の中には入れなかった。だが、河相夫婦が殺害され、先程まで隠見はその場所にいて、内部を確認している。


 それを現在の状況で再現しているのなら、影人間達は警察……隠見はそう言おうとしたのかもしれない。そうなると、影人間達が屋敷を調べるのも当然だ。夫婦殺害の捜査をしているのだから。


 絵画、本、鏡、人形のコレクションがあるのも、河相宗の父親は貿易会社の社長であり、海外から様々な物を取り寄せる事が出来、???の屋敷と河相家の屋敷は辻褄が合う。


「後は……写真と河合以蔵だな」


 河合夫婦の死体は発見されているが、以蔵に関しては生死も分かっていない状況。そして、隠見から送られてきた以蔵の部屋の写真。その写真で印象的だったのは『Welcome to Borderline』という言葉。そして、中に入るよう扉も用意されていた。


「以蔵がこの屋敷に中に……???は彼の事を示しているのか?」


 ???が河相であるなら、宗、夫婦はすでに殺されている。残るのは以蔵しかいない。河相家に恨みがある形であるなら、???が以蔵であるなら納得は出来るだろう。


 だが、俺としてはそこに違和感がある。以蔵の事はよく知らず、目が合っただけに過ぎないのだが、普通の人間ではないと思った。これも探偵の勘と呼べばいいのか。


 ???は以蔵ではない気がするのだ。両親を殺した相手から逃げるために【ボーダーライン】に入ったのではなく、自らの意志で入った気がしてならない。


「待て……この場所が河相邸なら、以蔵の部屋に脱出する方法があるんじゃないか?」


 謎めいた以蔵の部屋。真っ白な部屋の中に扉があるのなら、【ボーダーライン】から現実に。それが脱出する方法だと考える事も出来る。

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