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ボーダーライン ~人為と怪異の狭間~  作者: 迷探偵
第一章 開始前
2/98

無数の怪奇ニュース



「はぁ……今日もまともな依頼はなしか。そもそも依頼者が来る事自体、滅多にないからな。場所が悪いのも今更だよな」


 俺が探偵事務所謙住居を構えているのはN市にある埠頭の小さな倉庫。依頼者は人目に付きたくないだろうと、目立たない場所に構えたのが裏目に出た。埠頭に出る幽霊とか周囲に変な噂が広がり、イタズラに来る奴等が多かったぐらいだ。まぁ……物件が安かったというのもあるのだが……


 依頼があるとしても、事務所のHPにある掲示板に書き込まれる。現実の浮気調査や人探しはまともな仕事だが、VRゲーム内の出来事すら絡んでくる御時世。


 初期はVR機器を使用した形だったが、現在では人間の体、首の部分にプラグを付ける手術をし、PCと繋げる事によって脳を刺激し、VR世界に入れるようになった。それも機器よりも安い低価格により、VRの普及が爆発的に広がった。


 今ではゲームは勿論、仮想空間でのショッピングを可能している。異世界旅行としてVRを楽しむ人達も増えている時代だ。


「仕事がないよりは良いんだけど……やる気が出ないというか」


 掲示板に書かれた仕事内容は


【レアアイテムGET】 幻想魔王伝のレア装備を入手して欲しい。ブラックドラゴンからのドロップ率、0.1%

【人探し】 神秘の森、リリムというプレイヤーを探しています。告白したのはいいけど、そこから会ってくれません。現実の彼女を見つけてください

【浮気調査】 夫は最近VRゲームにはまり、プレー中、女性の名前を何度も口にします。これは浮気かどうかを調べてください。


 という、VRゲーム内に関するのが多い。探偵は何でも屋のような感じはあるけど、ゲームのアイテムを手に入れるぐらいは自分で頑張って欲しいぐらいだ。下手すれば、労力と金が釣り合わない時もある。


 人探しと浮気調査も、その人物をゲーム内で探すのも一苦労なのは経験上分かっている。相手が現実とゲームを区別している場合、依頼者と相手の考えが違うから、結果に納得しないから……はっきり言って面倒。


「現実の方は……こんな依頼が来たら嫌なんだが」


 PC内では最新ニュースが常に流れるように設定している。探偵にとって情報は重要であり、それは何時何処で何が必要になるかも分からないからだ。


 政治、スポーツニュースは当然あるのだが、怪奇特集とは呼ぶべきか、様々な事件、事故が頻発している事が伝えられている。


【首狩り族】【透明人間】【家中神隠し】【悪魔の人形】


 という題名のニュースが表示されている。都市伝説、噂に過ぎない名前ばかりだが、ニュースになるのだから似た出来事が起きたという証拠なのだ。それもVRゲームの中での話ではない。


【首狩り族】のニュースを開き、内容を確認してみる。


 首と胴体が見事に分かれた死体が多数発見されるという猟奇的殺人事件。それも同じ場所、地域ではなく、県を跨ぐほど距離が離れている。死亡時刻からして単独犯とは考えられず、複数犯、もしくは模倣犯による犯行として捜査している。


「名前負けしてないんだよな。その分、十分怖いんだけど」


「おはようございます!! 今日は早めに起きてるなんて珍しいですね」


「うおっ!! 毎回、大きな声で挨拶するのは迷惑だと言ってるだろ」


 事務所のドアを開き、大きな声で挨拶してきたのは隠見(かくしみ)真琴(まこと)。字は違うけど、同じ名前。年齢は俺の一つ下の二十四の女性。スポーティーな髪型、身長は俺よりも低いが百六十後半はある。スーツもビシッと決めている。


「そんな事言うなんて、依頼を持ってきてあげたのに酷くないですか?」


 隠見はそんな事を言うが、事務所の社員というわけじゃない。ある意味で商売敵(しょうばいがたき)というか、協力関係と呼べばいいのか。彼女は刑事なのだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] オンラインゲーム×都市伝説を上手く繋ぎ、現実でもあり得そういや、この先あるのでは?と引き込まれてしまいました。
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