表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボーダーライン ~人為と怪異の狭間~  作者: 迷探偵
第一章 開始前
14/98

後ろからついてくる

「次は……そろそろ交代する頃合いか。ちょっとした怪我をしてみるつもりだったが」


 この場合は自傷行為になるのか? VIP達が見る分には注目されるか、引かれるかのどちらか。それを気にしての交代……消えるわけではなさそうだが……


「ちょっと待て。自販機に売っていた【ドッグフード】は一体何なん……だ?」


【回復薬】、【麻酔薬】、【ボーガン】や【ナイフ】の意味は分かる。だが、【ドックフード】だけが異彩を放っている。使用方法なんて、犬に食べさせる事ぐらいしかないのだが……


 犬がいた。俺の後ろ、数十メートルは離れている。何処に行くわけでもなく、こちらをジッと見ている。


「この犬に餌をやればいいのか? それを買うGは無くなってしまったんだが」


 俺の声を発してた奴から返事はない。自分の意思で後ろを振り返った事からすると、本当に消えてしまったのか。


「可哀想だが、あの犬は放っておこう。体験版というが、他に何をすれば良いんだ?」


 VIP達の評価を得て、Gを得るための体験版なのか? 【チャット】欄を確認してみる。


視聴中 250


             :

V25 最初は犬相手か?

V436 どんな風になるのか楽しみ

V179 動物虐待になるぞ

V551 鬼ごっこならぬ犬ごっこ?

V95 実は犬ではない説

             :


 視聴者の数が増えている。謎の犬の登場にVIP達も盛り上がりをみせている。


「あの犬が殺人鬼とでも言いたいのか?」


 俺は犬の方へ近付いてみる。体験版では死亡は反映されず、ログアウトするだけで終わる。試しに、犬の方へ近付こうとしたが、犬の方が距離をとってくる。


「犬の方が警戒して、俺に近付いてこない……奴等は間違ったコメントで俺を騙そうとしてるのか?」


 あの犬は逆に殺人鬼が登場した際、助けてくれるキャラかもしれない。俺が前へ進んでいくと、犬も同様に動き出す。


「【ログアウト】するためのセーフティゾーンという場所を見つけておくべきか。体験版に何か目的は……【MISSION】 を確認してみるか」


 体験版であるなら、最初から【MISSION】が用意されていてもおかしくない。周囲の確認を怠らず、【MISSION】の有無を確認する。


「あった……【埠頭からの脱出】。成功報酬に2000Gが支払える。引き継ぎは可能と……」


 俺の事務所がある埠頭と同じであれば迷う事はないが、易々とクリアさせるわけがない。それにアイツは埠頭内部を弄くってあると言っていた。


 すでにトラックで道を塞いでる場所が見えている。その先には無数のコンテナがランダムで置かれているが、迷路という程でもなさそうだ。他にはゴミと呼ぶべきか、それとも道具として使用出来るのか、色々な物が無造作に捨てられている。


「あの場所を通らないと埠頭から出る事は無理だな。それに……明らかに出てくる場面だ」


 コンテナの物陰、トラックの中、殺人鬼が隠れる場所は十分にある。ヘルメットは不意打ちを警戒して装備しておこう。


視聴者 280


             :

V478 ミッション内容確認

V83 そんな装備で大丈夫か?

V223 かくれんぼタイム?

V222 止まるんじゃねぇ!!

V354 早く凄惨な場面を

             :


 トラックを壁にしてコンテナ周辺を再度確認。セーフティゾーンは見当たらない。どんな場所かも分からないが、体験版にはない可能性もある。


「遠吠え? あの犬……じゃない」


 俺の後をついてくる犬は一定の距離を保ち、ジッとしている。吠えているのは別の犬だ。犬の数が増えているのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ