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ボーダーライン ~人為と怪異の狭間~  作者: 迷探偵
第一章 開始前
13/98

スパチャ

「この中で一番厄介なのは【チャット】だ。今は体験版だから、俺達の声は聞こえてないが、アイツらには筒抜け。プレイヤー達の行動を見る視聴者だな」


【ヘルプ】から【チャット】へ機能を切り替える。


視聴中 150


500G入金


           :

V1 探偵?

V13 探偵だ

V46 推理に期待

V154 期待されての一番最初にやられるパターン

V666 【500G】 最初のGは必要資金

V80 探偵来たら犯罪者のプレイヤーも欲しい

V72 チュートリアルは死んで当たり前だからね

V235 前回もこんな場所あった

V378 戦闘早よ


           :


 と、複数のコメントが流れていく。VはVIPで、数字は会員番号か? 視聴中は現在見ている人数の事だろう。



「Vに【スーパーチャット】で500Gを貰ったな。それがこのゲームに必要な資金だ。現実でも電子マネーに変換出来る。これを貰うためには俺の行動が決め手だ。注目されるような行動、Vが喜ぶ行動が必要になる」


 これが河相宗が残した『アピール』という言葉の意味だ。


「だが、喜ぶ行動ばかりすると身を滅ぼす。Vのコメントはアドバイスの時もあれば、嘘を吐く奴もいる。プレイヤーが死ぬように誘導するとかな」


「他に資金を入手する方法はないのか?」


「そこはRPGの宝箱を調べるみたいに、色んな場所を探すしかないな。タンスやツボやら……基本は【スパチャ】だ。【スーパーチャット】を略して【スパチャ】だぞ」


 これは難しい。下手すれば、VIPの手のひらで動かされてる状態になってしまう。そうなれば、クリアは不可能。今までがそれを物語っている。


「資金はなくても大丈夫だと思うなよ。現実で使うなんて馬鹿げた事もするな。それは前プレイヤーから学んでるだろ?」


 プレイヤーの腕次第だけで何とかなるレベルではないらしい。河相宗もGがあれば死なずに済んだのか。それとも、クリアさせないため、VIP達がスパチャを止めたのかは分からない。


「例えばこれだ」


「今のところ、喉は渇いてないんだが」


 埠頭の中を勝手に歩き始め、見つけたのは自動販売機。VRの世界でも飲食は可能。ゲーム世界でも腹は空き、それを満たす事が出来る。


「違う……とも言いきれないが、これがショップなんだよ。スマホと自販機を重ねると、そこからGが引き落とされる。勿論、その分のGがないと買えないわけだ」


 自販機には【回復薬】→500G【麻酔薬】→200G【ボーガン】→2000G【矢】→300G【ナイフ】1000G【ドッグフード】500G【手榴弾】→10000Gのラインナップ。


「武器専用、道具専用、場所によって自販機の内容も変化する。自販機限定なんかもあるから場所を記録していいかもな。試しに買ってみるのは【麻酔薬】だ」


「【麻酔薬】……【回復薬】があるのに必要なのか?」


 怪我をした場合、【回復薬】が必要なのは分かる。ログアウト時、それをしなければ現実に持ち越される……と河相宗の日記にも書かれていた。


「【回復薬】は万能じゃない。傷を一気に治療するわけではなく、時間の経過と共に回復していく。更に傷の酷さによっては全てを回復出来るとは限らない。【回復薬】より強力な道具が必要だ。そして、重要なのは傷を負えば、痛みがある事だな」


 VRゲーム、主にRPGの場合は魔物(モンスター)との戦闘があり、攻撃を受ける事がある。その場合、HPという体力が減り、疲れは出る。だが、痛みは発生しない。あったとしても、ほんの僅かな痛み程度。【ボーダーライン】の場合、その処置がないと考えるべきなんだろう。


「だから、回復は【回復薬】と【麻酔薬】を両方使うのがベスト。【麻酔薬】は痛みを消してくれる。体験版はログアウト時、自動的に回復してくれるから安心しろ」


 自販機にスマホと重ねる箇所があり、そこに合わせるとピピーと音が鳴り響く。スマホの画面には【麻酔薬】入手と所持金が-200G→300Gになったと知らせる音だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 体験版とはいえ、実際にデスゲームの世界に入ってから俄然面白くなってきました。 二人のマコト、彼らがどんな連携を取るのかワクワクしています。 [気になる点] 世界観の設定と導入部分が少しゴ…
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