4章 ゲーム
『――3,2,1 GO』
こうしていきなりゲームが始まった。…て、認められるか!
「なんかこれ人狼ゲームに似てる。」みんなの戸惑いの声が相次ぐ中、美智香が言った。
「人狼ゲーム?」俺が聞いた。美智香は知らない人に声をかけられて吃驚していたが、すぐに返事が来た。
「じ、人狼ゲームていうのは村人の中に隠れている人狼を当てるゲームなの。」「それとどー言った関係があるんだ?」彪流が言った。美智香派は驚いた後、
「え、えーと人狼ゲームは怪しいと思う村人を1日1回投票して、1番多く票を集めた村人は処刑され、その村人が人狼だったら村人の勝ち。逆に、人狼じゃなかったらその日の夜人狼が村人を食べちゃうの。それから…」と人狼ゲームについて教えてもらった。
「そもそも従業員さんや周りの人が対応してくれるはず…」『無駄だよ。従業員や他の客は眠らせて部屋に閉じ込めたから。』と蒼太の言葉に返すように男が言った。
「そんなの知るかよ!なんでいちいちお前のために変なゲームに付き合わされないといけないんだよ!」そう言って、ぶちぎれた男の子がホテルの外に出た。
『クク。』と男が笑う声がした。
「ほら何んともな…ん?」男の子が何かに気付いた。男の子は唇に手を当てて、驚愕の表情を見せていた。手には赤い液体、血がついていた。
「え?ぐ、ぐはぁぁぁ!」と、男の子の口から大量の血が噴き出してきた。そのまま男の子は倒れ、起きることはなかった。
みんなは驚いている。中には悲鳴を上げている人もいた。それに加え、ただの子供だましなんかじゃないと悟ったのだ。
『今日の生贄はあの子だね。6時から7時までに持ってきてね。』プツ。とマイクが切れた。
「は?…嘘でしょ?」女の子が声を上げた。
「ふ、ふははは!面白!」と茶色の目と髪の男の子が言った。それを聞いてほとんどの人がドン引きしていた。
「何で笑ってるの?」朱音が言った。
「ダメか?そういう人もいるだろ?」へらへらと男の子が言った。みんな黙り込んでしまった。
「みんな!部屋に戻って!」ガイドさんが言った。俺達は駆け足で部屋に戻った。俺はベッドに飛び込んで掛け布団にうずくまった。震えが止まらない。
トントン、とドアをノックする音がした。僕は震えながらドアを開けた。そこにいたのは誠だった。
「何?」俺が聞くと誠が驚きのことを言った。
「今から、立ち入り禁止の部屋に行ってみませんか」「……はぁ!?」俺は声に出してしまった。
「計画について知りたいのです。今の状況を利用して、そのことをクラブのみんなに話せばきっと分かってくれるはずです。」確かにそうだ。
「でも、言ってどうするんだ?」「みんなで部屋に突撃すれば何とかなります」そんなもんかなぁー。と言って部屋に向かった。廊下には誰もいなかった。部屋の目の前に着いた。
「ここだ。」部屋は異様な空気を漂わせていた。俺達は勇気を出して部屋に入った。部屋の中は廊下とは裏腹に、暗くて怖い場所だった。前と同じように階段を下って墓場の場所に来た。やっぱり気味悪いな…ここ。俺はそんなことを思いながら、誠と鉄の扉に耳を澄ませた。
『このゲームも最高だな!面白い面白い!』と聞こえてきた。やっぱりこいつが犯人か。
『さーて、今後どうなるかな』と言いながら笑う声が聞こえた。
「気味が悪いですね」誠が言った。俺は怖くてこの部屋から出ようとした。
「そうだな。もう俺こんなとこいたくないから部屋出る」そう言い残して俺は階段を上がり始めた。部屋から出て、俺はすぐに部屋に入った。するとすぐに隣の部屋からガチャンと音がしたので誠も帰ってきたのだろう。俺は緊張感と怖気の中、気を失うように眠ってしまった。
は!俺は掛け布団を吹き飛ばして起きた。服は冷や汗でびっしょり濡れていた。あまり気付かなかったが、この部屋には風呂も洗濯機もあるようだ。俺は洗濯機で服を洗い、バックから服を出して着替えた。時刻は5時50分を回っていた。
『あと10分だね。みんな、ロビーな集まってほしい。』男の声が聞こえた。俺は急いでロビーに行った。数名はもう来ていて、2分後にはクラブの人がぞろぞろと集まってきた。
『よし!そろったね。』と男が言って、パチン!と男が指を鳴らした。すると、黒ずくめの人が昼間死んでしまった男の子を抱えてあの立ち入り禁止の部屋に持って行った。
『今回は外で男の子が死んでしまったから、運ぶ時に誤って外に出て死んでしまわないように私の部下に運ばせてもらうよ』男は言った。みんなの顔は恐怖に満ちていた。
『ところでみんな自己紹介していなかっね。名前を知らないままだったら話がスムーズに進まないだろう?』
「確かにそうだな!」と身長は高めで赤メッシュの男の子が言った。
「自分は斎藤魁人。よろ。」と前髪が長い男の子が言った。鼻まで隠れる服を着ている。
「魁人さんよ~、そこは俺だろ!」と赤メッシュの男の子が口をとがらせて言った。
「俺は竜長真鬼。みんなから珍しい名前だなって言われるが、よろしくな!」と名前を言った。
「僕は魔嵐慎司。よろしくお願いします!」「私は藤原夏奈」「…今井蒼太」「木下朱音!よろしく」「喜銅美智香です!よ、よろしくお願いします!」「桜井りん。と」「りかでーす!双子でーす。」「黒宮剣だ。」「赤月誠です。」「加桃彪流。」と、どんどん自己紹介していった。最後にあのサイコパスっぽい男の子が自己紹介した。
「色節一郎でーす。」これで全員の自己紹介が終わった。
『終わったかい?ここで皆に1つ質問がある。この中で立ち入り禁止の部屋に入った人はいるかい?』と男の声が響いた。背筋が冷たくなるのを感じた。
「誰も入ってないんじゃね?」真鬼が言った。
『そうかい…。ならいい。ではここで1つルールを追加する。立ち入り禁止の部屋の部屋に入ることは禁止する。』男はマイクを切った。ふぅー。とため息をつき、心の中で魔鬼に感謝した。
「まずいですね…。これあらあの部屋に入れなくなってしまいます。」誠が小声で言った。
「はぁ!?お前本気で言ってる!?」彪流が言った。俺は、まあまあ、と言ってなだめておいた。
「みんな一旦部屋に戻って。」ガイドさんが言った。それを聞いて、みんなぞろぞろと部屋に帰ってゆく。俺もそれにつられて部屋に戻った。
俺は昼寝をしてしまったせいか全く眠くなかった。昨日のようにテレビをつけるとあるニュースがやっていた。その内容は実に不思議で興味深かった。
『この3週間。連続殺人事件が相次いでいます。』と、アナウンサーが言った。それに続けて、
『捜査していますが、何も手掛かりはないとのことです。この事件も〈雷陣〉の仕業だと、警察は捜査を進めています。』と言った。雷陣というのは、天才的な頭脳を持って行って、運動神経も半端なくいい人らしい。(ニュースで言ってた)そのニュースを最後に、番組は天気予報に移り変わった。
…明日は雨か。そう言って俺はテレビを消した。ふと、もしかしたら朝の事件は雷陣がやったのかもしれないという考えが脳裏をよぎった。そう思うと、怖気が止まらなかった。俺はそんなことあるわけないよな、と心に言い聞かせた。少し気持ちが落ち着いたとき、そういえば、今日風呂入ってないなと思い時計に視線を移す。6時15分、入ってくるか。俺は入浴セットをカバンから取り出し、部屋を後にした。
曲がり角に差し掛かった時、目の前にものすごいスピードで1つの影が横切った。あまりにも速かったので顔は見えなかったが、フードをかぶっているのは分かった。
「誰だあれ?」と俺は言った。このホテルにいる客や従業員は監禁されているので、少なくともクラブの誰かだろう。まあ、あいつが向かった先は銭湯(俺の目的地)だし、あいつも銭湯に向かっているかもしれないしその時顔も見れるだろうと思い銭湯に向かった。
――残り29人――
なんかホラーになってきましたね…( ゜Д゜)