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アルヴィノーラの森で  作者: ありかわつぐみ
処断の時
68/81

譲位と即位と合併と


なんとか無事に(……無事?)ミハイルの罪を暴く事には成功しました


が。




宰相……いや()宰相になるの待ったなしなヴァルジ殿の親子が引っ立てられて行き、私は手首を拘束されたままの息子と取り残された。

いや、真っ青な顔で立ち尽くしている侍医長もいた。

「侍医長。そのほう私に2度、さらにゴードンにも薬を盛った事は既に明白である」

陛下がおっしゃった……薬を盛った、だって?侍医長が?陛下と殿下に?

……何してくれてんだ、縛り首になりたいのか?

「毒を盛ろうとした者をとどめ、すぐには死なぬ薬に変えさせていた事もわかっておる」

「……おそれながら申し上げます」

侍医長が震えながら奏上した。

「どなたが、それを……」

「それを知って何とする?かつて依存性のある滋養強壮薬を私に1日3回欠かさずのませ続けたのはそのほうであっただろう?我々の食事に消化抑制剤と麻痺薬を混ぜる提案をしたのは誰だ?」

侍医長の顔から色という色がすべて消えた……人間の顔って、生きててもここまで血の気を無くす事が出来るのかと感心する位。

「宰しょu……ヴァルジ殿は当初、配下の者が手に入れてくると言った毒物を使いたがっていましたが、毒はさすがに足がつきやすうございますので使えませんし探しに行った者も一向に戻りませんでしたので、かわりに薬を……と、提案したのは私です」

正直でよろしい……というか、バカ正直かこの人。

「毒なら解毒の必要がありますが……薬なら断てばよいだけなので……いつ計画を中断してもお体を戻す方策がたてやすくなると。ヴァルジ殿はそこをご存じではなかったので、そこはだましました」

……いや、バカ正直だこの人。

っつかバカだろ、医師だからカシコイんだろうけど紙一重のバカ。

「そのほう追って沙汰あるまで自宅で蟄居(ちっきょ)……」

「陛下、この者は医師。薬品等が周囲にない環境へ隔離したほうがよろしゅうございましょう」

絵本から抜け出して来たような巫女様が陛下のお言葉を遮った!

「ん?」

陛下は……ヴァルジのガキの時のようなお怒りのご様子は全くなく。

「薬品は組み合わせ次第で毒ともなり得ます。その毒を自他に用いる可能性も考慮に入れねばならぬかと」

巫女様のご意見、ごもっとも。

「ああそうか、医薬品が貯蔵されておるであろう自宅になぞ閉じこめてはならぬな」

皇宮(こちら)には()()()()()()()()()()()()()はございませんか?」

巫女様の近くにいた男性達のうち、華奢なほうの方が言った。

「ございます、皇宮内の()()に。ただ私の記憶が確かならば、30年以上使用されておりませんので……」

私がその存在を告げると。

「汚いのなら、()()が清めればよかろう」

陛下……私の心配はそこではございません、ホコリで健康な人は死にません。

「いえ、お言葉ではございますが……私の心配事は鍵が正常に作動するかでございます」



侍医長は地下牢にある特別房へ収監される事となった……錠前師が、扉の鍵を最新のものに取りかえてから。





――――――――――――――――――




かくして、宰相不在・侍医長不在という事態になった。

「補佐官よ。正式に次の宰相が決まるまで、そのほうが宰相の代理を致せ」

私は控え居る補佐官に声をかけた。

「侍医長は不在となったが、その他の医師でまかなって欲しい。手が足らずば、皇嗣妃のかかりつけ医キャスパー・レミントン医師の助力も受けよと侍医達に伝えよ」

そして。

「そこに控え居る高位文官に告ぐ。重大事項を告知するゆえ、準備を」

文官達が全員、持ち場へと一気に散開した。

「補佐官……いや宰相代理。そのほうには先に伝えおく」

この者には先に言うておかねばならないだろう。


「私は退位し、ゴードンへ譲位する」


補佐……いや宰相代理は鳥が豆をついばみ損ねたような顔をした。

「譲位、でございますか?」

「私ももういい年齢だし、潮どきであろう?ゴードンの長子も既に16、あと少しで成人する年齢に達しておる。3人めも生まれるのだ、充分であろう。私が即位した折は継嗣がおらず難儀したが、ゴードンにはその心配はない」

「……さようでございますね。ではその心づもりで準備をすすめて参りまs」

「ああそのほうの子息だが、拘束を解いてやれ」

「……よろしいのですか?」

「あのヴァルジの阿呆息子がガーネットに対して行った悪事の証拠を作っておったのだ、我々皇族にとっての悪人ではない……というのは公に出来ぬので、形式的には恩赦という事にさせていただきたい。そして壊滅的に人手不足の折ゆえ臨時でかまわぬ、そのほうの補佐をさせよ」

驚いた顔をしておる。

「資格も身元もきちんとしておろうが……」

宰相代理は息子の手首にかけられた布を解こうとした……が。

「すみません、これをなさった方……解いていただいてよろしゅうございますか」

結わえ方がかなり特殊だったようだ。




――――――――――――――――――




補佐官の息子は、とりあえず恩赦という形で拘束を解かれた。

「……名を訊いておこうか」

薬剤師殿に布をほどいてもらい手首をクキクキ動かしておる男に、わしは小声で訊ねた……わしはともかく、シルベスターもゴードンも、補佐官改め宰相代理の全名(フルネーム)を知らん事に気がついたのだ。

「エルドレッド・ブラッドレーの子、サイモンでございます」

それを察したか、息子が不自然にならぬよう答えてくれた。

うむ、宰相代理の息子は頭の回転もよいようだ……それも正しい向きに。

ヴァルジの馬鹿息子も回転はいいのだが間違った向きにまわっておったからな。

「ではサイモン・ブラッドレー。式典に関する資料をあとで取りに来るように……手の感覚を取り戻してからでよいから」

落としてばらまかれてはかなわん。




宰相代理に渡すため、サイモン・ブラッドレーに譲位に関する資料を持たせた。

「陛下は一度、殿下を摂政として全権を委託なさいましたよね?」

「そうだが?」

「では、殿下より陛下へ全権返上の御名入り詔書はどこです?あの詔書が殿下への譲位の添付文書として必要ですよ」

「そうなのか!?」

「はい。全権を穏当にお返しした証拠品のような意味あいを持ちます。崩御による退位とそれに伴う即位でしたら不要ですが、今回は譲位による退位と即位ですので必要かと」

「なんでそんな物がいるんだ?」

「過去に、元摂政が譲位を強硬に迫った史実があります……摂政時代に悪政を強いたため全権を召しあげられたのを逆恨みしての凶行だったと。当然その摂政が著した返上の詔書はありませんので、詔書があれば……」

「単にシルベスターが何の問題もないゴードンに帝位を渡すだけなのを確実に示せるというわけか」

「はい」

……サイモン・ブラッドレー、有能だ。

わしも知らんかった事を知っとるではないか。

こんな有能な文官を就労させずあのボンクラにくっつけておったとは、見る目のない親だな。

「早々に譲位を済ませておきたいご事情がおありでしたら、万難を排しておく必要がございますね」

……そこまで察しておるとは。

「わかった……では、ついて来い。口外せぬと誓約もしてもらおう」


わしはサイモンをシルベスター達が待つ部屋へ連れて行った。




――――――――――――――――――




何食わぬ顔をしているように見せているけど、僕は急展開におびえていた。


数時間前まで「人生詰んだ」と思っていたのに……父は宰相代理になり、僕はその臨時補佐になり。

陛下の特別最高顧問的存在なサルヴァトーレ様がご用意なさっていた譲位の手続き書類に不足があるのに気づいて指摘したら……今度は陛下と皇嗣殿下ご夫妻と継嗣殿下とガーネット皇女殿下と、あと巫女様ご一行がいらっしゃるお部屋に連れていかれ口外せぬ誓約をさせられ。



対等合併のお話を賜った。



シルベスター8世陛下には、他国との合意事項に参加する権限がおありにならない。

先ほどサルヴァトーレ様にご説明した事例ではない元摂政が、他国との合意をまとめる際ひそかに圧力をかけていた事が発覚した……なんて事があったからだ。

シルベスター8世陛下主導なのだから、陛下が合意に参加云々は何の問題もなさそうなものだけど……「瑕疵(かし)なく」という部分を重要視なさったのだろうと、僕は結論づける事にした。



そして何より驚いたのが。

巫女様ご一行が本当は巫女でもなんでもなく、実は隣国サン・トリスタン王国の伯爵家から派遣されてきていた方々だった事!

僕を取り押さえた男性が伯爵家の養子息で、ミハイルをひきずった男性と巫女様の扮装の女性が王国の薬剤師っていう医療者。

薬剤師の男性が陛下と殿下の治療をなさったのだとか。


騙された感は、全くない。

養子息様は隠密行動がお得意で、薬剤師様は物心つく以前からの幼なじみなのだとか。

太刀打ちできるわけがない。

それに……「手荒な扱いをして悪かった」と養子息様と薬剤師様がお詫びしてくださった。

こちらが全面的に悪かったのに。


「合意文書に新帝としてゴードン様の署名が入れば完成です。調印文書はその後作製されます……王国王城の文書係に依頼してありますが、異論のある方はいらっしゃいますか?」

ハマー伯爵家養子息クロード・レイサム様がおっしゃる。

「調印文書などこちらで用意出来そうにないので、そこは良しなにお願いします」

「ええ、こちらは阿呆のお陰で壊滅的人員不足ですから……よろしくお願いいたします」

皇嗣殿下ご夫妻もおっしゃる。

確かにそうだ。

合意文書を拝見した限りに於いて、対等合併とはいえサン・トリスタン王国の一部になるように見えるため、帝国で調印文書など作製しようものなら無用の騒乱が起きかねないだろう……。

「ひとつお訊ねします。合併後の当家は、どのような立ち位置になるのでしょう?」

ガーネット皇女殿下だった。

「王族に準ずるという意味の『準王族』となり、公爵位を賜ります。通常ですと公爵位は王家出身者が賜るものですので、ゴードン様はサン・トリスタン王国初の『王位継承権を持たない公爵様』となられます。シルベスター様は公爵様のお父上ですのでゴードン様の爵位名のあとに『大公』とつけて呼ばれ、エリノア様は『大公令嬢』となられます。ガーネット様・トーマス様と赤子様は公爵令嬢ならびに令息、と」

とてもわかりやすいご説明をありがとうございます。

「爵位名は、調印文書が完成する頃には決まるそうです」

まだ決まっていないわけか。

「過去に不祥事を起こして爵位を召しあげられた名を誤ってつけてしまわぬよう、記録を丁寧かつ迅速に確認しています。親が子に名づける際、縁起の悪い名は避けるのと同じですね……義兄が第1子の名を決める際、特に女児なので悪女の名をつけたくないと資料室に何日もこもって大変でした」

笑っていらっしゃるけれど、本当に大変だったのだろうな……。

「それはそうと。調印に関してのお話もございます」

……まだあるのか。

「今回、日程的にサン・トリスタン国王がこちらへうかがう事がほぼ不可能です。よって全権代理人をたてて調印という事に相成ります。ハマー伯爵家当主エドモンドが国王より全権を委託されておりましたが……申し訳ありません、私がこちらへ来てからエドモンドは腰を傷めて動けなくなりました。現在義兄が当主の代理を務めており、私にすべてを委託されました」

「……伯爵殿にお見舞い申し上げる」

サルヴァトーレ様がボソッとつぶやくようにおっしゃった。

「何をなさったんだ伯爵殿は」

「転んだ孫娘を抱き起こそうとして魔女の一撃を食らった(ギックリ腰を発症した)との事です」

……お大事になさってください、としか申し上げようがない。





――――――――――――――――――




シルベスター8世陛下が、重大な発表をなさるという報せが皇都じゅうをかけぬけていた。

「何だろう?」

「まさか、ご再婚?」

「いやいやそれは……あるかも?」

「……ええっ?」

皇都滞在中は街で潜伏している俺の耳にも届く無責任な噂が飛び交ってるが……俺がもしかしたらと思っているのは「代がわり」だ。

根拠は、ある。

皇宮の屋上の掲揚柱にかかる旗だ。

まず、皇嗣妃旗と継嗣旗が降納された。

そして、皇帝旗の隣に皇女旗・皇子旗が上がり、2本あけて皇嗣旗があがったのだ。

「久しく見ていない皇后旗が見られるんじゃないのかな」

旗の数が変わるのはご成婚・ご降誕の慶事と崩御・薨逝等の弔事がほとんどだが、数と並び順と旗の種別が一度に大きく変わるのは代がわりの時だけのはずだ。


皇嗣妃旗が降納されて程なく、皇后旗が皇嗣旗隣にあがった。

そしてあまり見た事のない旗が、一連の旗から少し離れた場所にあがった。

「あれは……もしかしたら上皇(じょうこう)旗だ」

潜伏場所の管理人をしてくれている相当高齢のじいさんが教えてくれた。

「この老いぼれが小さいガキだった頃に曾祖母(ひいばあ)からきいた事がある」

「なんだ、じいさん見た事あんのかと思った」

「ないない。皇帝陛下がご存命の内に次代へお譲りになられたらあがる旗があると曾祖母(ひいばあ)からきいてただけさ。曾祖母(ひいばあ)自身も子供の頃に1度見たきりだったと」

老人の曾祖母が子供の頃、っていうと……計算するのも嫌になる位の昔。

じゃあ、俺達は相当珍しい旗を拝んでいるという事なんだな。




――――――――――――――――――




宰相……()宰相父子が私達の目の前から姿を消した数日後。


お祖父さまからお父さまへの譲位の儀式は、謁見の間でつつがなく行われ……本当はお母さまがなさらなければならないけれどお身体の都合でできない事は私が代理で行って。


そして、いよいよ。


「我が国・ルブラン帝国からの申し出により、隣国サン・トリスタン王国と対等合併する事を決断した」


ルブラン帝国皇帝ゴードン6世陛下となったお父さまが宣言なさった途端。

当然といえば当然なのだろうけれど、歓声はなくどよめきが起きた。

「国を売ったのではない。皆、この場にアドルフ・ヴァルジがおらぬ事には気づいているか?」

その場にいた大多数が、初めてそこに気づいた様子。

「あの者は侍医長を使役して私と太上皇シルベスターに薬を盛り、ゆくゆくは命を奪おうと画策しておった事が判明したため罷免し入牢を申しつけてある」

室内がどよめいた。

「その子息も不埒な行為が相次いだため入牢となっておる」

入牢というか、あれだけ蹴りあげられたのにまだ()()()かもしれないとかで……医療設備のある拘束施設に収監中だそう。

「ヴァルジに手を貸した侍医長も地下牢に留め置いてある」

ざわついてる……侍医長に治療してもらったとおぼしき人は多いはずだもの。

「逆臣は駆除されたのだから何も隣国と合併せずともよいのではと言いたげな顔がいくつも見えるな」

エンリコおじじ様が、お父さまの言いたい事を代弁なさる。

「陛下も上皇シルベスター陛下も皆を信用しておらぬわけではないのだ。上皇陛下の立場で考えてもみて欲しい。自身は2度命を狙われ、息子も狙われた。娘や孫娘も身の危険にさらされ、幼い孫やこれから生まれる孫も命を狙われかねない。身内ばかりではない。信用のおける配下の身の安全を保証してやる事もできない……皆、自身の立場に置き換えてみて欲しい」

しん……としずまっていった。

「サン・トリスタン王国の国王は友好的な方だとうかがったので、まずは逆臣を生まぬ方策を訊ねた。よい方策を伝授されたが、今この状態の帝国で行使できるかは疑問であった。そこでいろいろと書簡のやり取りをすすめ、最終的に対等合併を申し入れるに至った」

お父さまがお話ししてるけど……お祖父さまが、ね。

「金銭的なやり取りは、全くない。国を売ったのではない。逆臣から皆を……帝国人民を守るための方策だと思ってもらいたい」

納得いった顔・納得していない顔。

どちらも見える。

「……合併の条件等を、お教えいただけませんか?それを知らなければ、我らはいくら陛下・上皇陛下のお言葉とて承服いたしかねます」

ブラッドレー宰相代理が口を開いた……あら、誓約どおりサイモンはお父さんにしゃべらなかったのね。

「それは私からご説明いたしますわね」

私は、合意文書を持って立ち上がった。







対等合併とはいうものの、国土の広さには大いに差があります。

国民の数も、先方のほうが格段に多い。

1と1を足して2にする合併とはならない事は、皆さんもおわかりかと思います。

敢えて言うなら、1と8を足して無理やり2にする合併です。もちろん、1がルブラン帝国です。

そのための条件を著したものが私の手元にあります。

合併により、連合王国の扱いとなります。

その連合王国内で、ルブラン帝国領部分は自治領のような形でルブラン家が統治します。

ルブラン家は連合王国内で公爵に叙せられます。

サン・トリスタン王国の公爵は王位継承権を持つ方にしか叙せられないのですが、ルブラン家はそれに準ずる家として王位継承権を持たない公爵家となります。


帝国、という形はなくなりますが、ルブラン自治領として発展を遂げる向きですすめてはいただけませんか?






まだ正式に合併していないから、皇女としての立場で話をすすめた……つもり。

皇嗣は叔母さまだけど、その叔母さまから私が話をするべきだと言われたから話したのだけれど……。


「このルブラン帝国が国土・人民はそのままに『連合王国公爵自治領』と名を変えるようなもの、という認識でよろしゅうございましょうか?」


ブラッドレー宰相代理だった。


「実質、そのようなものですね」

「ではサン・トリスタン側から軍事力の提供は受けられますか」

「……え」

「ヴァルジ元宰相が中途半端に残していった仕事をすべて片づけた結果、サン・トリスタン王国以外との国境問題がひた隠しにされたまま放置されている事実を確認いたしました」

宰相代理からの言葉に、謁見の間がまたざわついた。

「あの人が至上命題か何かのように行っていた外国人排斥を即座にやめ、排斥にかけていた軍事的人員を国境の安寧に回す事が肝要かと」

「国境問題なんかあったのか」

おじじ様もあきれておられる。

「はい、旧山岳国地域と隣国との間で小競り合いがあったようです……が、元宰相はそれを現地へ丸投げし、自身は外国人排斥ばかり力を入れていました」

……頭が痛くなってきた気がします。

「元宰相の補佐官として名を連ねておきながら国境問題に全く気づかなかった事は、不徳の致すところでございます」

深々と頭を下げてる。

「国際問題を隠すとは……あきれてものも言えん」

「あきれ果てて開いた口を塞ぐ気も失せますわね」

どなたがどこでおっしゃったのかは忘れたけれど、思い出して口にした。

「その件は、ルブラン側で対処しましょう。逆臣の尻拭いまで先方にさせるわけには参りません。いよいよどうにもならなくなった場合、援助を求めましょう」

そう言った私を、おじじ様が目を丸くして見てた……私だって、いつまでも小さな子供じゃないんですよ。




――――――――――――――――――




妊婦だからと控えの間にさがらされた私は、娘の成長に少し驚いてた。

「こちらとしましては別にかまわないのですが……ガーネット様は律儀でいらっしゃる」

「確か軍にはそういうの得意な部隊があったはず……」

「お祖父さまがモーガンに話すわけないよね?」

「父さんの元職絡みだよ、いくら何でも」

サン・トリスタン王国の男性2人が、少し警備の薄くなった私のそばにいてくださってる。

合併反対派が襲撃してくる場合に備えて、なのだそう。

そういえば、エレナさんがいないわね。

「彼女は、グレイ兄弟の家で待機させています。万が一ここで戦闘になった場合、彼女は剣戟に慣れていないので……そばにおいておくと、まあ()()なので」

モーガンさん、薬剤師とは思えない一言を。

「一応、私の護衛を兼ねていますので……ケンカ流剣法のチンピラ剣士ですけど」

「あ!また言ったな?」

口論……に見えるけど、2人とも目が笑ってるわね。



なんとか対等合併の発表をする事が出来ました。

調印……出来るんでしょうか?






(勘違いにより称号を誤っておりましたので訂正しました)

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