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アルヴィノーラの森で  作者: ありかわつぐみ
挿話
23/81

しあわせのかたち


ハマー伯爵家に人が増え、人材(人財)も増えました。


更に人が、増えますよね……きっとね……




(前話から、少しばかり時間が前後に跳躍します)





「さあ、坊ちゃまがた、お嬢さまがた。お父さまとお母さまは()()()()()ですよ」

結婚披露パーティの後、ご夫妻をお二人だけにしてさしあげたくて、不肖レベッカ少々おせっかいをいたしました。




伯爵邸(シェルビー・ホール)の皆さんから聞いた話ですと、旦那様は傍から見て誰もがわかるほどの「一目惚れ」状態だったそうです……11歳のシャルル坊ちゃまでもわかるほど。

すぐ近くにいるのに1週間まともにお話できなかった時には、周囲の誰もが何とかしてさしあげたいほど落ちこみきっておられたとか。

まるで恋する少年がそのまま30をいくつか過ぎちゃったかのようでしたよ、などとそんな事をうかがってしまっては……こちらもお話しせざるを得なくなるではありませんか。


あの土砂崩れの日以降、アリアドネ様が少々気もそぞろだったのですよと。

絶対これは馬車の父子家庭なご一家の事が気がかりで仕方ないに違いない、と思っていたら本当にそうでした。

まさか伯爵家のご一家とは思いもよりませんでしたが。


私とて、だてに長年お仕えしておりません。

アリアドネ様ご誕生前から、あの気の迷いのような4年間以外ずっとお側におりました。

気分は母でございます。

かなりおこがましいですが、娘が幸せであって欲しいと思うのは当然でございましょう?

お互い一目惚れ同士同然のお2人の、貴族家としては超異例なスピード婚ですから……せめて婚礼の翌朝までは何の邪魔も入れたくないじゃございませんか!


「サイラス、私はご夫妻のお部屋からお子さまがたを引き離すわね。あなた達男性陣は旦那様に急なお仕事等を近づけないようになさい。来客もですよ。すべて阻止してね」

私、気がつけば裏ですべて仕切っておりました……。




――――――――――――――――――




披露パーティが無事おひらきとなり、私は()()()()()へ連れて来られました。


伯爵様改めエドモンド様に「……(R18的な言葉です by作者)……」なんて赤面するような事をたくさん耳元でこそっとささやかれてしまうんですけど……周囲が、特に部屋の外が気になるんですけど。

「大丈夫ですよ。それに子供達も、レベッカ主導でのお泊まり会を別棟でするそうです……さっきサイラスが私に耳打ちしていったよ」

大丈夫……大丈夫って何がですか……

「聞き耳を立てるような不粋な見張りもおりません」

見っっ……見張りっ?

「通例では、王位継承権を保持する有爵家の婚礼では夜通しの立会人がつくんです」

……夜通しの……って……その……ええええ!

「……ご安心ください、部屋の外は無人です。派遣されかけましたが、強硬にお断りしました」

お断り……って、そんな事可能なんですか……

「嗣子が既にいるから後継問題は関係ないし、軍重役の娘が寝首をかくわけがないと主張して説得しました」

……見張りって、そういう意図もあったのですね。

とはいえ……ええ、これから()()()()ことに及ぶわけです、はい。

もちろん、エドモンド様の寝首はかきません……。




――――――――――――――――――



(ここは健全なる青少年にはお見せいたしかねる場面となっておりますので、表現は自粛とさせていただきます by作者)



――――――――――――――――――




「父上、もう少し落ち着いてください!」

「いや、でも……だな」

「ここで父上が焦っていても何も変わりません!」

シャルルは廊下をオロオロとうろつきまくるお父様を抑えにかかってる。

マーサとハンナはというと、手を取りあって今か今かと()()()を待ってる。

僕はお祖父様と並んで座って待っていた。

「落ち着かんな」

「そうですね」

()()はちょっと落ち着かな過ぎな気もするが」

……()()とはお父様の事ですか。

「まあ致し方なかろうなあ」

ハンナが生母に抱かれた事がない一件がありますからね。

「しかし……落ち着かんな」

「……そうですね。僕の時はどうでした?」

「ああ、今と同じくレベッカに仕切られておったわ」

「やはりそうですか」

ガリーニ邸(うち)にいてあのレベッカが仕切らんわけがなかろうが……しかし落ち着かんな」

お祖父様、さっきから二言目には「落ち着かんな」ばかり言ってる気がするけど。


それからしばらくして。

かわいい声がきこえてきた!

その場にいた全員がガタっと立ち上がった。

「母子ともにお元気です……お嬢さまでいらっしゃいますよ」

レベッカが部屋から出てきて言った。

「奥様が旦那様をお呼びでいらっしゃいますのでどうぞ」

お父様だけが部屋の中に招じ入れられ、お祖父様と僕達4兄妹が残った。

「クロードと僕達の、()()()()だな」

「そうだね」

「じゃ、妹が混乱しないように……あの子が言葉を覚えて話しだす前に、ついうっかり()つけて呼んだり使用人に()()つけて呼んだりをキッチリやめないとね」

あ、いまだに慣れてないのばれてた。

「クロード、まあがんばれ」

お祖父様から生あたたかいはげましをいただいた……。




――――――――――――――――――




私が部屋に入ると、出産を終えたばかりのアリアドネが娘と一緒にいた。

「髪の色はあなたと同じですね……クロードも一緒だ」

「今は寝ちゃったけど、さっきまで目を開けてたの。あなたと同じ目の色」

「じゃあシャルル達とも一緒だ」

ふふっ、と笑い声がきこえた……レベッカと一緒に出産の手伝いをしてくれた薬剤師のマリリンさんだ。

「いい感じにお父さんお母さんに似ましたね。実はうちもそうなんですよ」

アリアドネが大笑いしだした……どうしたんだ?

「伯爵様はうちの亭主をご存じですよね?」

「ああ、あのいつ見ても威厳の塊のような森番頭」

「まあ上手い事おっしゃっていただきましたわ、本人はよく()()()()と申しますけど。彼、あの面構えでございましょう?息子が生まれた時、抱き上げてのぞきこんで『顔がオレに似なくて本っっ当によかった』ってしみじみ言ったんです。でもあの面構えでございましょう?乳幼児期の息子を連れて外出するたび必ず警備兵に呼び止められましてねえ……何度も迎えに行ったもんです」

連れてるのは我が子なのに警備兵に呼び止められる……それは災難だな……

「息子がしゃべるようになったらそれもおさまりましたけど」

……そりゃよかった。

「それはともかく。産後の体調を整える薬をお持ちしております」

マリリンさんがなぜか私に薬袋を手渡した。

「1日3回1包ずつ忘れず奥様にお渡しくださいませ。奥様にお渡ししておくと、赤ちゃんのお世話で飲み忘れますので」

そう言うとマリリンさんは早々に帰っていった。

「あの……それ、ちゃんと飲みますから……」

「だめです。マリリンさんがあんな風に言うって事は、前に飲み忘れたんでしょう?ちゃんと飲ませますからね」

薬袋は渡さなかった。

「ところで。名前なんだけれどね」

ここ数日ずっといろいろ調べに調べてた名前。

「男の子ならオスカー、女の子ならエリーザがいいかなと思っててね。どうだろうか?」

「エリーザ。私の母方の祖母と同じだわ」

「奇遇だね、私の父の祖母もだよ」

調べたからね。


たいした協議もなく、娘の名前はエリーザに決まった。






「大人の時間」!

うまい言い方ですねえ!

(まさか7~11歳の子供に包み隠さず説明……なんかできますかーい!するほうも恥ずかしいわ!)



そして。

予想どおり!人が増えます♪

そりゃ新婚夫婦ですから♪

(さっき言うた舌の根も乾かん内に、どの口がそれをwww)




テイラー家の遺伝的内幕まで出てきちゃいましたw




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