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お風呂があれば生きていける  作者:


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ブックカフェ

 門番に冒険者タグを見せてサントロ町に入り、まずは冒険者ギルドに行く。

 町並みや冒険者ギルドの外観はニドゥ町とあまり変わらない。


 冒険者ギルドの窓口で道中仕留めた魔物を納品してから、有料の伝言サービスでミラへの伝言を頼んだ。

 とりあえず、明日から三日間は午前10時に冒険者ギルドに来ることにしている。


 冒険者ギルドの後は、教会を訪れた。ここでも祭られているのは女性の像だった。チャラ男神どうした?

 中は無人だ。ミラも教会に行くのは行事の時くらいと言っていたし、普段はこんなものなのかもしれない。

 

 長椅子に座り、前回同様手を祈りの形に組む。

 

《ピコン》

《温泉宿の喫茶室を開放》


(来たー! ちょっと期待してました!)


 しばらく待ったが、今回の追加は喫茶室だけのようだ。

 残念。前回は初回特典で大盤振る舞いだったのかも。


 喫茶室はフロントや大浴場がある本館の中にあったはず。離れからは少し距離があったけど、どうなってるんだろう。


 温泉宿の離れに戻り、玄関から周囲を見渡すが、相変わらず道は無く、鬱蒼とした森のせいで本館らしき建物は見えない。マップにも表示は無い。


(温泉宿メニューから選ぶのかな?)

 ディスプレイを出しメニューを見ていくと、送迎の迎え候補先に『離れ』『本館・喫茶室』と出てきた。

(これだ!)


 わくわくしながら転移した先は──ブックカフェだった。

 

 広さは学校の教室よりやや広いくらい。天井が高く、木のぬくもりを感じる落ち着いた空間だ。

 正面に窓。座り心地が良さそうなソファとアンティークっぽいテーブル。左側のカウンターにはスツール。

 それら以外の壁は本棚になっており、天井まで本がびっしり。小説、エッセイ、料理や園芸等の実用書、図鑑。美術書や写真集も多い。絵本や洋書もある。

 雰囲気重視なんだろう、残念ながらラノベや漫画は無い。水魔法使いが登場するファンタジーが読みたかった。

 

 本と同じくらい嬉しかったのは、カウンターの奥にキッチンがあったことだ。調理家電や器具も揃っている。

(やったー! これで洗面所とキッチンを分けられる!)

 

 BGM用らしい古いレコードやCD、高そうなオーディオもある。

(素敵〜。早速優雅に音楽を聴きながらコーヒーをいただきますかね)


 コーヒーはどうやって?とカウンターの中を見回していると、ディスプレイが立ち上がった。

 カフェメニューみたいだ。飲み物とデザート、軽食。値段は普通のカフェ並み。ルームサービスと違ってこれなら気軽に利用できるな。


 売店で買い物をする時と同じように画面で注文を確定すると、カウンターの上にコーヒーとガトーショコラが現れた。

 

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