リービング・ラスベガスごっこ
先日引っ越しをしたのですが、引っ越しをするようになって家にあるものを見てみると結構いらないものがあることに気が付きました。なんだかよく分からないコップ。なんだかよく分からないおもちゃ、なんだかよく分からないなんだか。とにかく色々出てきました。
当然、そのようななんだか良くわかないものを新居に持っていっても、なんだかよく分からないまま使わないだけなので処分しなくてはなりません。特に、今回の僕の引っ越しは大きい箱から小さい箱への引っ越しでしたので、より減らさなくてはいけなかったのです。
そんな時僕がやる遊びで「リービング・ラスベガスごっこ」というのものがあります。これは映画『リービング・ラスベガス』のワンシーンで、アル中で人生を終える決意をした主人公が家にあるものを片っ端から捨てて火をつけ、全部処分して家を出ていくシーンからもらってます。主人公はお酒をゴボゴボ飲みながら、泥酔状態で色々なものをポイポイ捨てていきます。世間のしがらみや、欲望や、夢や希望や、人生もポイポイ。そのシーンがとても好きで「カッコイイなぁ!」と初めて見たときは思ったものです。
まあ、僕にはラスベガスで酒に溺れながら人生を終えていく予定は無いので、全部は捨てませんが、必要なものと不必要なものを分けて必要なもの最小限で生きれたらなと思うわけです。ところが、実際不要必要にわけようとすると「これはもしかしたら今後使うのでは?」という物欲の亡霊からの声が聞こえていきます。僕はその声には弱いので「じゃあ、これ残さなきゃね。いつか使うからね。残さなきゃね」と残して結局部屋と僕を圧迫する物が増えていくということになります。
それを防ぐのがリービング・ラスベガスごっこです。ウイスキーをアホほど飲んで泥酔した状態で、ポイポイ捨てていくと、物欲の亡霊の声なんか消え去って、頭の中をジョニーウォーカーが闊歩してるだけの最高の状態になるので、バンバン捨てられるようになります。時には印鑑や電気料金の請求書など必要なものも捨ててしまいます。めちゃ困ります。それでも、僕がこのリービング・ラスベガスごっこをするのは、必要なものすら捨ててしまわないと、本当に必要なものだけで生きるのが無理なのかなと考えるからです。
冷静に、胸に手を当てて考えてみて、何があれば僕は生きていけるのか、その問いに強引に答えを出す手法の一つかなと。必要なもの捨てたらダメなので、真似はしないで欲しいですが。
僕は今、色々な人に囲まれて暮らすと同時に、色々な物にも囲まれています。それらを所有しています。目につくもの、気になったものなんでもかんでも、僕の心の中に入れていっています。そのせいで、僕の心が若干疲れを見せていると感じる時もあります。物や人に囲まれているせいで、僕の内側から出てくる光がかき消されるときもあります。そんな時、僕はポイポイ捨てていきます。世間のしがらみも、欲望も、夢も希望も、まともな人生も。
僕が生きていくために本当に必要な物ってなんなのか。何もいらないのかな。
持たない生活をたまにはしてみるのも一興かと、ちょっとやってます。