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召喚の力

「その、ベルゼブブ? 呼び出したり出来ないのか?

 悪魔召喚とかで」

「所長、頭大丈夫デスか?」


 五島がジャストアイデアとばかりに口にした作戦はアナスタシアが一刀両断にした。


「いや、だって、お前さん、召喚得意なんだろ?」


 だが、食い下がる五島。


「ノンノン。私は自分の味方しか呼び出せないデス。

 敵を呼び込む必要、アリマスか?」


 シキシマシステムサービス、全員が顔を合わせての月一の定例会議。

 本日は二回目。

 議題は必然、一向に成果の上がらないベルゼブブ探し。


「妙案無し。

 次の議題言って良いスカー?」


 進行のTさんを無視してアリスと五島は続ける。


「悪魔召喚、か。それ自体は居そうな能力よね。

 ちょっと、探してみる価値はあるかも」

「探してそいつに退治依頼するのか?

 金は無いぞ?」

「御楯が飛んでけ」

「言ったでしょう? 目印のところにしか行けないって。

 会ったことの無い奴の所へは行けないんだよ」

「なら、ナーシャがその召喚者を味方にして御楯と召喚者を呼び寄せる」

「嫌デス。信用出来ないデス!」


 ……俺の事は信用してんのか?

 意外だな。


「まあ、何にせよ、その悪魔召喚能力者探しだな。

 それは……有珠、よろしく」

「軽く当たってみます」


 唐突の振りにあからさまな溜息を一つ吐いて応じるアリス。


「御楯は、その召喚者の所へ行く方法を見つけろ」

「無理すよ」

「どんな方法でも良いよ」

「はあ」


 無理だよ。

 自分の能力は自分が良くわかってる。


「じゃ、次の議題行きまっせー。

 キッチンカー・Teraの新メニュー」


 御識札の無い所へ飛ぶ。

 そんな事が可能だろうか。


 ◆



「ちょっと、良いかしら?」


 帰宅途中の俺は、マンション前に停まっていた車の中から声をかけられる。

 左ハンドルのテスラ。

 珍しいな。


「何でしょう?」


 運転席で俺に笑顔を向けるのはハナ・ウィラード。


「乗って」

「光栄ですね」


 美人にドライブに誘われるとは。

 静かなモーター音と共に滑るように動き出す電気自動車。

 彼女の趣味だろうか。

 どことなく知性的な大人の色気を漂わせる彼女に相応しい。そんな風に思えた。


「何の用でしょう?」

「G Play内部の座標点。

 それをこちらから補足する。

 そう言う研究をしている知り合いがいる」

「行き先が指定できるようになる。

 そう言う事ですか?」


 ハナはさらりと言ったが、それはとても重要な研究なのでは無いか。

 俺に言って良いのだろうか。

 いや、何か裏がある。

 こんな風に考えるのは癪だが、そうでもなければ俺とドライブなんてする訳ないのだ。


「理解が早いわね。

 だけれど、まだ研究段階」

「それで? 俺にどういう関係があるんでしょう?」

「君が向こうへ行った直後、帰還する直前。

 その座標点が増加する。

 どう言う理由があるかわかるかしら?」

「行った直後と帰還直前……。

 それ、何時からですか?」

「シキシマセキュリティサービスに機材を搬入してからね」


 まさか、御識札か?


「ハナさんは、俺がその座標点に関係があるとそう言いたいんですね?」

「そうなのかしら?

 そうだとしたらそれは是非確かめさせてもらいたいわ」


 俺が置いた御識札。

 それが、G Playのシステム越しに認識されている。

 本当だろうか。その真偽は、俺も確かめたい。


「所で、どこへ向かってるんですか?」

「横浜にある研究所」

「そこで、実験?」

「協力してくれるかしら?」

「……良いですよ。

 その代わり、一つ条件が……」


 ◆


 結論から言えば、俺が置く御識札は転移のマーカーになり得た。

 結果、ベルゼブブ召喚の作戦は、レアーによる協力の約束を取り付ける事によって一気に現実味を帯びる。

 それを受け、アリスは悪魔召喚の能力者を探す。


 銀城ぎんじょう文香ふみか

 ゴスロリ姿のその女がシキシマセキュリティサービスへ現れたのは十一月二十一日。

 奇しくも、桜河さんの試験日だった。

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script?guid=on 新作もよろしくお願いします。
サモナーJK 黄金を目指し飛ぶ!
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