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明るみになった事件

『監禁されていた女性を解放。

 不明の被害者は十人以上か?』


 G Play攻略セミナーを騙り、若い女性を一人、個室へと誘い込み薬物などで眠らせた後に監禁、暴行を加え、その後にG Playへと送り込む。

 そう言う事件が起きた。

 いや、今のところ正確にわかっている事はG Play攻略セミナーを語り女性を監禁していた事だけ。

 その被害者がG Playで異世界へ送られた事、そして被害者数が十を超えると言う事はまだ状況証拠でしか無い。


「でも、これを許すほど警察は甘くない。

 何があっても口を割らせるはず」


 しとしとと降り続く雨と忙しなく動くワイパー。

 コンビニの駐車場に停められたフィットの中は俺とアリス二人。

 そして、横のアリスこそが、その事件の未遂の被害者であり摘発者なのだ。

 尤も被害は未遂で終わり、あのアパートの二階に監禁されていた女子大生を救い出したのは彼女なのだけれど。


 ネットもテレビのワイドショーも、今やこの事件一色。まだ発表されていない被害者探しや、同様の手口を使っていた連中探し。G Play攻略セミナーと一括りにされた胡散臭い連中のやり口。そんな物が次から次へと飛び出してくる。


 そして当然ながらG Playそのものに対する批判的な意見も。


「真壁さんは何て?

 主に、俺とアナスタシヤについて」


 その余波を受けてか、彼は多忙を極めているらしい。これは、アリスからの情報。


「別に何も。

 今までと同じって事でしょ」

「じゃ変わらずレポート書きか」

「それ、さっさと終わらせた方が良いわよ」

「何で?」

「G Playの利用に規制がかかる」

「は?」

「どう言う形になるかわからないけれど、この世論を真壁がフイにする訳ない」


 ……いや、今までがおかしかったのだ。

 死に直結するする様な施設が街中の至る所にある。そんな状況が。

 だが、そうなると変な形で負債を抱えた俺としては困る。


「真壁は、人が嫌がる事を進んでやる奴だから」

「成る程」


 弱みに付け込むのは上手そうだ。

 なら、残りのレポートはさっさと出してしまおう。

 幸いもうすぐ夏休み。


「まあ、あの施設の周りは暫く騒がしいだろうけど」

「気配を殺すのは得意なんで」

「でしょね」


 どうしてそこで同意が返るのだろう。


「じゃ、何か分かったら教えてくれ」


 別にそんな期待はしていないけれど、そろそろ話を切り上げるタイミングだろう。


「家まで送るけど?」

「いや、結構。

 母親に見られてあらぬ誤解を受けたくないんで」


 最近ナーシャに冷たいんじゃない?

 とか言いやがって。

 最近じゃなくて最初からだ。


「紹介してよ」

「はあぁあ?」


 その台詞は、桜河さんから聞きたい。

 そして、桜河さんと母とを引き合わせたくない。


「会ってみたいじゃん。

 生ける伝説とやらに」

「……ウチの母親って何者なの?」


 その問いにアリスは小首を傾げ暫く考える。

 そして、捻り出した答え。


「ジャバウォック?」

「怪物かよ!」


 じゃ、その息子の俺は何な訳?


「冗談。ナーシャによろしくね」

「そうだ。

 何とかってカフェ、連れて行ってやれよ」

「ああ、アレね。

 ……うーん、そうだな。全部とは言わないまでも、ある程度片がついたら」

「言っとく」

「よろー」


 車から降り、ビニール傘を広げる。

 そしてそのままコンビニに寄りコーラを買って帰る。

 会計を済ませ、再び外へ出た時には黄色のフィットの姿は無かった。



 ◆


 ノートに記された設定。

 魔王の座を争う七人の魔人。体に歪みの刻印と呼ばれる七芒星の印を持つ。


 ……それが、向こうに現れた。二体。


 目の前のノートの雑な設定を見返す。


 ────────────────


 【傲慢】ルシファー

 三対六枚の翼を持つ

 その姿に畏れを抱いた者は立ち上がる力を失う


 ────────────────


 これは既に倒した。


 ────────────────


 【色欲】 アスモデウス

 おっぱい


 ────────────────


 いや、確かに……。


 ────────────────


 【強欲】 マモン

 金色の穴蔵の主

 無数のゴブリンを配下に持つ


 ────────────────


 うーん。

 魔王なのにゴブリンかぁ……。


 ────────────────


 【暴食】 ベルゼブブ

 全てを喰らう者

 呑み込んだ力全てを吸収し血肉に変える


 ────────────────


 吸収か。

 しかし、この先はもっと非道い。


 ────────────────


 【嫉妬】 レヴィアタン

 どんな攻撃も通用しない

 嘘つき


 【怠惰】 ベルフェゴール

 不死


 【憤怒】サタン

 魔王に最も近しい者

 ラスボス(噛ませ)


 ────────────────


 雑!

 攻撃が通用しないとか、不死とか、どうやって倒す予定だったのだろう。

 ラスボスに至っては噛ませと来た。


 はあ。

 此等この先現れるのだろうか?

 いや、偶然だよ。七つの大罪の象徴アイコンたる悪魔なんてありふれた話だし。

 でもおっぱいは出てきたしなぁ……。


「ごーはーん」

「はーい」


 ノートを厳重に机の中へ仕舞いリビングへ。


「今日はビーツのサラダデス!」


 エプロン姿のアナスタシヤ。

 なんだろう。この馴染み様。

 下手すりゃ後一年以上こんな感じなんだよな……。

 最近ロシア料理が並ぶ様になった食卓を三人で囲む。


「部活はどう?」

「楽しいデス!」


 アナスタシヤは最近軽音部に入った。

 タンバリン担当。

 知らなかったが村上も軽音部らしい。意外。


「ヨリチカも何かやれば良いデス」

「本当にね。あんな所ばかり行ってないで」

「そうデス」

「オイ、俺は誰の為にあんな所に行っていると思ってるんだ?」

「頼んでないデス」

「恩着せがましい男はモテないわよ?」


 何でお前ら結託してんの?

 バカなの?


「別に体は動かしてるし」


 KBC以来、夕食後にランニングを始めた。

 最近は毎日5キロは走っている。


「夜中にウロウロしててそのうち職質されるんじゃないかしら」

「ありえマス。目付き悪いデスから」

「ねー」


 何なの。

 お前ら。

 マジで。


 俺がさっさと独立する為の資金を稼ぐ為には真壁が変な規制を作ると困ると言う事だけははっきりとした。

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サモナーJK 黄金を目指し飛ぶ!
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