本の一ページ目
とおい昔、ある兄妹がいました。
兄と妹はすごく仲良しでした。
兄は妹を守るため、剣を持ちました。
二人仲良く暮らすため、兵士になりました。
ある日、戦争が起きました。
兄は戦争に駆り出され、妹は兄の帰りを待ちました。
敵国はとても大きな国で、負けることは目に見えてました。
当然戦争には敗れ、妹は殺され、兄は生きながらえてしまいました。
兄は自分の弱さを呪いました。
大切な人一人守れない剣を呪いました。
そして、剣を振りました。
次は大切な人を守れるように
剣を振りました。
大切な人がいない現実から逃げるように
剣を振りました。
剣を振りました。
剣を振りました。
そして、時が経ちました。
寿命がきて、肉体が朽ち、骨のみになっても
強い意志でその身はスケルトンとなり
それでも剣を振りました。
ずっと、ずっーと、剣を振り続けました。
………
……
…
.
剣を振り続ける彼を見てるお方がおりました。
冥界の女神様です。
女神様はいつ迄経っても還らない魂に疑問を覚え冥界から降りてきたのです。
女神様は思いました。
なんて悲しい剣だろう、と。
その剣技は神様でさえ見惚れる物なのに
剣から彼の優しさが滲み出てるのに
彼に守るものがいないから彼の剣は輝かない。
神様は悲しくて哀しくてあることを思いつきました。
彼は偶然にも女神様が心奪われるほどの剣を見せてくれました。
褒美を取らせる必要があると思いました。
神様は彼に近付き言いました。
【汝、その剣技見事なり。褒美として何を望むか。】
彼は神々しい彼女を見てすぐさま女神様だと気付きました。
彼は頑張って骨だけとなった顎を動かしこう言いました。
「女神様、私が望むものは生きる理由です。私は妹を失ってから剣を振りました。守れるものを守れるように剣を振りました。だけど私には肉体も守る人もいないのです。自分の存在価値がわからなくなるのです。だから生きる理由が欲しいのです。」
女神様は言いました。
【ならば汝に命ずる。すぐに山を降りなさい。さすれば汝の望みは叶う。】
女神様は彼に女神様の血を数滴与えました。
彼の骨が女神様の綺麗な髪と同じ濡羽色に変わりました。
女神様は彼に新しい名を与えました。
彼は記憶の底にある前の朧げな名前を思い出し、『アレストレア・リードレア』と名乗ることになりました。
女神様は彼に一振りの剣を与えました。
白金に輝くロングソード。絢爛であるのに細工は一切無く、とても薄く細いのにその存在感は逸品の一振りだと誰もがわかることでした。銘は【世界照らすもの】。
女神様は彼に言いました。
【汝、これより二つ名 剣神と名乗ることを許す。】
彼は魔物だったので階が空白でした。なので女神様は彼に階を与えました。
【憐れな魂よ。可愛い愛子よ。汝が何を持って何を為すか。輪廻の淵で待っています。】
女神様はそうして彼の目の前から姿を消しました。
彼は女神様にお礼を言い山を降りました。
そして物語は動き出します。
彼を中心として世界がかわっていくのです。
『大偉人伝初巻 大英雄リードレア 第一章 』一節 名も知らぬ神との邂逅