54 だってしんちゃんと遊びたいんだもん
わしゃぁ源さんだ。なぜだか最近は源爺さんと呼ばれとる。こんなにぴちぴちした青年を捕まえて爺さんたぁけしからん!!
「みぃ?おい。みぃ?」
大事な妻を呼ぶが、最近返事をしてくれん。誰だか分からんが、頼子という怖いおばさんがわしになにやら言ってくるだけだ。頼子は怖い。目をつり上げて、
「お爺さん!!なにしてるんですか!!」
っていっつも怒るんじゃ。なんもしとらんがな。わし、お爺さんじゃねえし・・・多分・・
仕方ねえからいつもでかける・・・
何だか電柱の影が好きでのう・・・たまに犬がシュッと欠けてくるのが玉に瑕だがな・・・
おう!!今日もかけられちまった・・・また頼子に怒られる・・・
だが・・今日は、しんちゃんと話が出来るはずだ。青い箱の中から持ってきたこのけーたいでんわって奴。
ううむ・・・電話もちいさくなったもんだのう・・持ち運びが出来るようになるとは知らんかったぜ。
これで・・・えっと・・・あれ?しんたの電話番号はなんだったかのう・・・・
ま・・いっか。
「おおい。しんたぁ?」
『おおい。げんちゃん?』
「おお。繋がったな。」
『かけてきてくれて嬉しいぜ。』
「遊びにいきてえんだが。」
『ここはおめえがまだ来るとこじゃねえから、俺がそっちに行くわ。』
「おおおおおお。きてくれるのけえ?こっちには頼子っちゅう鬼がおるんじゃ。」
『鬼?鬼はここにもうじゃうじゃいるんだが、そっちに一匹逃げだしたかのう?よしよし。俺がやっつけちゃる。』
「さすがしんちゃんだ。」
『もうじき討ち入りの季節だのう。』
「討ち入り?」
『昔良く一緒にやっとったろう?』
「ああ。松の廊下ごっこか。」
『それそれ。それに習って討ち入りをしようぜ。頼子を捕まえてじご・・・ごほんごほん・・・吉良の代わりに懲らしめたろう。』
「ありがてえ。」
るんるん・・・シンチャンは頼りになるのう・・・松の廊下か・・・おおそうだ。確かこの前頼子が袴みてえなもんをもってたな・・・あれをつかって・・・・
ずるっずるっ・・・
お。あそこにいるのはきよこ婆・・・
「電柱でござる。通信障害で生涯になりそうでござる。」
「意味が分からんわ。」
「さっき、しんちゃんから久しぶりに電話が来たのじゃ。」
・・・・
「ええええ(゜Д゜)」
何でこの婆目をぎょろぎょろさせて変な顔してるんじゃ?そうじゃ。もう一つとっときのを教えとこ・・
・・・
「たまに白い犬からもかかってくるのじゃ。何か知らんがわんわんちゅうてな。」
おれのでんわはすごいのさっ
「誰の電話に掛かってくるんだい?」
「たろうの携帯じゃ。」
・・・あれ?たろうって誰だったっけ?・・・ま・・いっか・・・うううん・・・
「たろうのはおもちゃ箱にいつもはいっとってなあ。拾い出してつこうてると、おこるんじゃ。」
何でわしが使うと怒るんじゃろうなあ・・・ん?たろうって誰じゃ?
「あれを使うとしんちゃんとこに繋がるんじゃ。討ち入りの相談もちゃんとしたぞ。」
きよこ婆。何か年取ってねえか?変だな・・・まあいいや。
「決行は15日じゃああ!!!頼子めええええ!!!」
わしは走る・・・でもって転んだ・・・くそ・・・ずるずるは良くねえな・・・あ。穴が開いた・・・・動きやすくなったな・・・
「お爺さん!!」
げえええええにげるんじゃあああああ・・・しんちゃああああああん!!!
しんちゃんと遊びたいんじゃあああああああ!!!!!!じゃまするなああああああ・・・・




