表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/55

2 今時の子

 やあ。あたしゃきよこババアだ。




・・・・・ごめんよ。

 何謝ってるだって?謝っちゃいねえさ。尋ねてきたんだろうがよ。何?分かってるって?おまえも大概意地の悪い婆さんになったね。


 そんなことはどうでもいいや。松江ばあさん,今日はいたんだね。おや。娘の杉ばあさんも一緒かい?え?杉ばあさんと言うな?じゃあ,杉ババアだな。


 よっこらしょ。お邪魔するよ。気が利かないねえ。茶位持ってきな。


・・・・


・・・・ずずずずず・・・まあまあかね。前より美味く入れられるようになったね。

 は?なんだい?松江ばあさん?ほう。とっくんしたのかい。ははは




 そういえばさ,昨日は、すうぱあに行ったんだよ。すうぱあってとこはなんだね・・・なんであんなに寒いんだい?


 は?れいぼう?氷で冷やすやつだね。違うって?へえ・・・えあこんねえ。杉ばあさんは物知りだのう・・・


 ま・・そんなんどうでもいいんだよ・・寒いんだよ。すうぱあってとこはさ。夏だってのに。


 慌てて家に帰ってさ,あたしゃはんてん着ていったよ。行く道々熱くてさ。道行く人に変な顔で見られたんだよ。汗だらだらになって着いたんだけどさ。やっぱり寒かったよ。はんてん最高だね。え?行き帰り?暑いわなあ・・・ま。仕方ないじゃないかね。全く困ったもんさね。




 そう言えば,寒いで思い出したけどさ。この前バスに乗ったんだよ。おお。それそれ。あの大きい車な。最近色が変わってさ。昔はくりいむ色だったって思ってたんだがいつの間にかつーとんからあって奴になってたんだよ。なんなんだい。あの色は。気に入らないねえ。一色でいいじゃないかい。


 え?寒いと全然関係ないって?まあそうだね。続きも聞いとくれよ。




 ちょうどあたしが乗ってた,そのばすとやらに・・小学生の集団が乗り込んできたんだよ。二年生かねえ。三年生かねえ・・・近くの商店街に見学に行くとかでさ。2~30人はいたかな。今時の子どもはおとなしいかと思っていたら,これが五月蠅いのなんのって。


 あれは親のしつけが悪いんか,先生の言うこと聞かせられねえ先生が悪いんか?どっちだ?

 あ?松江ばあさんは,先生だってか?

 あたしゃ親のしつけだと思うんだがね。

 え?杉婆はどっちでも良いって?

 まあどっちでもいいって言えばそうだけどさ・・・続けて良いかい?




 そしたらばすの中で喧嘩を始めたのさ。それも男の子じゃないんだ。女の子同士だ。喧嘩してるのはさ。


 取っ組み合ってんだよ。あり得なくないかい?公共のとこだろ,ばすって。


 先生も困ってたな。気の弱そうな先生だったから,あたしゃ代わりに一喝させて貰ったよ。一瞬で空気が凍ったのは何故だろうねえ。寒くなったって言ってる子どもがいたんだけどねえ。ちっとも寒くなかったのさ。


 そしたら降りるとき、妖怪とか、クソババアって声が・・・確かに聞こえたよ。ふん。




 あたしかい?

 ばすで?

 ああ。整形外科って所に行ったんだよ。そしたらさ,世の中,暇な年寄りが多いんだねえ。あたしみたいなババアとジジイばっかりだったよ。


 若くてぴちぴちの子?ああ。いたね。骨折したってピイピイ泣いてた子。お母さんが困ってたな。泣いても痛いのは治まんないだろうにねえ。

 あんまり五月蠅いから怖い顔してにらみつけてやったら、ますます泣くんだよな。にらまれたら,普通静かになるだろ?

 え?ならないって?

 そうかい?

 何?怖くて泣いた?

 は。今時の子がババアを怖がるもんかい。


 あんたはいるだけで怖いって?そりゃ、褒めてるのかい?訳ねえって?どういうことだ?

 せまるな?迫るもんかい。ババアに迫ってどうする。迫るんなら、あたしゃ若い男が良いねえ。なに?痴女?なんだそれは?褒めてるのかい?


 は・・まあそんなことはどうでもいいや。なあ、松江婆さん、整形外科はいいよぉ。あんたも行こうよ。温かい電気で背中は温めてくれるしさ。手を取って案内してくれるしさ。お湯に手を浸けてリハビリってのもしてくれるよ。うんうん。マッサージ器ってのもあったよ。

 おおそうだ。乗って寝転ぶと船みたいにゆらゆらしているくせに下をローラーが回ってマッサージしてくれるもんもあったよ。そうそう。極楽極楽。


 なんだあ?杉婆?地獄行きだろうって?訳の分からんことばかり言うな。

 耄碌したんかえ?あ?まだ70だ?88と幾つも変わらんだろうが。

 何怒ってる?70も80も大して変わらん。

 なあ、松江婆さん?なに?80も90も変わらねえって?

 じゃあ、松江婆さんも、あたしも、杉婆もみんな同じかい。ははははは・・・・


 ははははは。じゃあそろそろ帰るわ。また明日な。




 なに?だれだ?来るなって言ったんは!!!






 明日は皮膚科に行くでな。その次は眼科かな・・・・

 おお。松江ばあさん。いいぜ。一緒に行こうぜ。

明日は皮膚科に行くでな。その次は眼科かな・・・・おお。一緒に行こうぜ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ