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おうごん旅行記

 僕が長い眠りから覚めたとき、そこには汗水を流すおじさんたちの姿があった。


「ふー、ようやく見つけたぜ!」

「おーい、これ運んでくれー」


 その言葉が聞えると、僕の体は宙に浮かび、ごろごろと乱暴に乗り物の中に詰め込まれた。ごつんごつん、と周りの仲間が当たってちょっと痛かったけれど、明るい太陽はとても眩しかった。まだちょっとだけしかその光を浴びることは出来ないけれど、僕の体を明るく照らしてくれた。


 それから、僕は長い旅行に出かけた。


 小さい乗り物から降ろされた僕は、ごろごろと滑り台を降り、別の大きな乗り物に乗り換えた。外でおじさんたちが言うには、これは『貨物列車』と言うものらしい。とても大きな車両の中に、ちっぽけな僕の体が乗っかるという格好だ。

 おじさんたちは、こういう列車での旅が大好きらしい。でも、僕にはちょっと向いていないかもしれない。だって体ががつんがつんと当たって痛いんだもの。しかもそれがずーっと続くものだからたまらない。

 数日たって、僕を乗せた貨物列車はどこかに止まった。すぐに僕はゴロゴロと下ろされ、また別の少し小さな乗り物に乗せられ、再び別の場所へと移動させられた。


 そして、その場所に着いた後、ようやく僕を包んでいた固く重い『服』が脱がされ、きらきらと光る僕の体が露わになった。


「ふう、これは上質だぞ」


 そう言いながら、目の前にいる男の人は嬉しそうに言っていた。その言葉に感謝を示すために、僕はさっきまでよりもちょっとだけ光を増した。


 そして、またまた僕は別の場所へと移されることになった。何でも、どうしても『僕』が必要な人たちがいるらしい。話だと、まさに僕のような光り方をする仲間がいっぱいそこで働いているというのだ。

 いったいどんなところだろう、と思っていたら、当然僕の体がハンマーで叩かれ始めた。がんがん、と凄い音を立てながら、僕の体はどんどん平べったくなっていく。ダイエットに成功したのかな、なんて冗談も考えてしまったけれど、次は僕の体がチョキチョキと切られ始めた。何がどうなっているんだろう、いったい僕はどうなっちゃうんだろう。いつの間にか、僕の心は不安に包まれてしまった。


 そして、僕の体は少し寒い場所に出された。


「よし……ここか……」


 そう言う声が聞こえたとき、僕は大空を見下ろす所に固定された。



 後で分かった事だけれど、この場所は人間たちが『金閣寺』って言う場所らしい。金色に光る眩しいお寺の輝きをずっと保つため、新しい材料が必要になり、そこで僕に白羽の矢が立った、と言う訳だ。


「うわー、綺麗!」

「凄いなー、さすが金閣だ」


 僕がきらきらと光ると、人々はいつも嬉しそうな言葉を上げてくれる。



 今、この場所にいて僕はとても幸せだ。

 黄金に輝く寺の一部――屋根を覆う『金』の一員――になることが出来たのだから。

お題:黄金の旅行

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