俺の彼女が絵から出て修羅場になった件
『ねえ、これってどういう事?』
「説明して頂戴!」
『そうよ!』
突然だが、今俺は色々と大変な事態になっている。
俺の周りには、三人の女性がいる。くせ毛混じりの黒い髪に可愛い顔、そして活動的なミニスカートにTシャツ姿と露出度が高めの格好をした俺の彼女だ。いや、別に浮気とかそういう訳じゃない。俺の彼女が、『三人』に増えてしまっているのだ。
えー、訳が分からない人がいるので、説明しよう。
『絶対私の方が好きだよね!』
『何言ってるの!わたしよ!』
俺の左右にいる彼女の正体は、先程俺が描いた『絵』だ。
俺はいろいろな絵を描く仕事をしているが、その傍らで最愛の彼女から自分の絵を描いてくれるように頼まれ、そして描くことにした。どうやらその時、気合を入れて特注の絵筆や絵の具などを使ったのが災いしたのかもしれない。
近所の骨董店で手に入れたものなのだが、これで描いた途端、絵の中の彼女は実体化して抜け出てしまったのである。しかも、よりによって二つも描いていたので、彼女が二人とも出てしまった、と言う訳だ。
……ぶっちゃけハーレムと言えばそうかもしれないけど、問題はそのあと。絵の中から出てきた彼女は、本物に比べてやけに大胆だったのだ。今俺の頬についているキスの跡は、本物じゃなくて二人の『彼女』によって描かれたもの……勿論、その唇で。
「ねえ、なんでここまで大胆なの?」
……俺の持つ下心が、そのまま二人の絵の彼女に宿ってしまったことが、本物の彼女に完全にばれていたという訳である。
さあ、どうしよう。このままだと本物どころか、二人の『絵』の彼女からも色々と文句を言われてしまう……。
「と、とりあえず聞いてくれ!」
『何よ!?』『何よ!?』「何よ!?」
……そして、俺は慌てて頭の中に浮かべた言い訳を目の前の三人に告げた。
俺がこういう風に下心混じりの絵を描いてしまったのは、好きと言う心がある、と。当然納得するわけもなく怒りが収まらない感じの彼女たちだが、それを何とかなだめつつ、俺は言葉をつづけた。
「……絵と言うのはさ、自分の心が出るもんだ」
「それはさっき言ったでしょ」
「だ、だから、俺はこうやって二つもお前を描いて……」
『それで?』『それでイチャイチャしたかったわけ?』
その通りだ、とはっきり言った時、明らかに三人の彼女の顔が変わった。最初いったいどうなっているのかわからなかった彼女たちだが、次第にその顔が赤く染まっていく中で、俺は気づいた。
もしかして、三人とも俺の行動を『プロポーズ』と受け取ったのではないか、と。
「そ、そうだ!俺はこうやって、お前と一緒に仲良く暮らしたいんだ!」
「な、仲良くって……」『でも、三人もいるのよ!?』『そんなことって……』
「俺は、三人でも何人でも、お前を一斉に愛してやる!」
もうどうにでもなれ、と言う気分で、まくしたてる様に俺は必死に言い訳混じりのプロポーズを告げた。とは言え、正直それが俺の本心でもあった。彼女と一緒にイチャイチャと仲良く暮らしたい、こんなセクシーな女性と共に暮らせるなんて、まさに最高じゃないか。何せ、彼女は俺のこの絵のセンスを見て惚れたのだから。
そして、彼女から返ってきたのは……
『『「……ありがとう」』』
……その言葉と共に贈られた、熱烈なキスであった。
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それから、俺と彼女はめでたく結ばれ、夫婦になった。勿論一緒の部屋で暮らし、俺は様々な絵画を描いては各地に評価され、たっぷりお金を儲けた。妻はそんな俺をサポートしつつ、様々なバイトをこなしている。
……そこまで見れば普通の夫婦かもしれない。ただ……
「うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」……
……まさか、彼女を何百人も描く羽目になるとは思わなかった。
何せ俺の妻は、自分の美貌に絶対の自信を持っていたわけで、俺が実体化の絵の具を持っているとわかった途端、大量に自分を描かせたのである。
……ま、これはこれで良いかもしれない。
俺の周りには、最高の『作品』が溢れているのだから。
「あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」あはは!」
お題:彼女と言い訳
必須要素:絵画




