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パソコンな先生と俺

「うー遅刻遅刻!まずいまずい!」


 今凄い急いでいるこの俺は、学校通いの一応普通の学生。

 今日も無事に学校が終わり、いつものように本屋に寄り道して漫画を立ち読みしていた俺だけど、よりによって今日に大事な用件があるのをすっかり忘れていた。慌てて漫画をほっぽり出して、急いで家に向かっているわけだ。


「やばいやばい、あと何分だ……!?」


 本気で時間がない。早くしないと。


 仕方ない、と言う感じで普段は通らない近道を使って帰った俺。家の玄関の前についたのは、約束の時間の『30秒前』だった。


「はぁ、はぁ……ど、どうだ……?」


 母さんへの挨拶もそこそこに急いで自分の部屋に戻った俺。そこにある机の上には、一台のパソコンがあった。急いで電源を入れ、そして画面が少しづつ見えてきた。



『おっそーい!ギリギリ遅刻だよー!』

「あわわ、す、すいません……!」


 そこに映っていたのは、ポニーテールの髪型をした美人の姿。慌てて謝る俺は、これからは道草を食わないように、と注意されてしまった。やっぱりばれちゃっているのか。


『まぁ、でも今は息を整えるのが大事かな』

「き、気を付けます……」


 何やら電子機器の言いなりになっているような俺だけど、仕方ない。だって、ここに映っている女性、いやこのパソコン自体が、俺の『家庭教師』なのだから。


『それじゃ、今日の勉強の中身をもう一度確認するよ』

「お願いしますー」


 パソコンの前に座った俺は、そこに映る『先生』の言うとおりに教科書を広げ、そしてパソコンのスピーカーから聞こえる声に従って文字を声に出して読んだり、英文の問題を解いたりしていく。学校が終わった後、俺はこうやって今日の復習を進めていく。


 正直、最初の頃はパソコンが俺の家庭教師だ、と父さんや母さんに紹介されてもピンと来なかったし、恐ろしく違和感があった。確かにこのパソコンは喜怒哀楽と言う感じの『心』を持っていて、勉強が苦手な俺の事を心配してくれていたけれど、どうしても人間とパソコンと言う間柄だと受け入れることは出来なかった。

 それでも、画面に映る俺好みの美人の『先生』の姿や優しくもしっかりとした良い声に後押しされる形で、俺は勉強に取り組んだ。そして今、その成果は少しづつ上がろうとしている。


「どう、勉強は順調かい?」


 パソコンに向かって勉強していると、母さんが部屋に入って来た。俺の大好きなお菓子を持ってきて、一服しないかと勧めてきている。


「あ、ありがとう母さん」

『あ、お母さん。お疲れ様です』

「いつもご苦労様♪」


 母さんとパソコンの『先生』は、気づけば凄い仲良しになっている。女性同士気が合う、という事かもしれないけれど、どことなく性格が似ている、と言う所もあるのかもしれない。そう言えば、『先生』の声がなんとなく母さんのトーンに似ているような似ていないような、そんな気もする。


 とは言え、今の俺の家族にとって、『先生』……いや、このパソコンはまさに大事な存在になっているのは確かだ。帰ってきたら父さんが『先生』の先生になり、色々な経理のプログラムなどをインプットすることになっている。

 今日も俺の家は、とても明るく、光り輝いているのかもしれない。



「ところで、テストはどうだったの?」

『はい、それが……』


「わわ、そ、それだけは勘弁してくれ!」

お題:栄光のパソコン 必須要素:「うー遅刻遅刻!」

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