45億5000万年目のカップル
「ねえ、本当にこんな事やって大丈夫なの……?」
心配そうに見守る私の目の前で、彼はてきぱきと作業を続けていた。
「大丈夫だって、心配すんなよ」
私の彼はいつもそうだ。心配するな、きっと大丈夫、何とかなる。そう言って毎回色々と大変な事態になって慌ててしまっている。
この前もそうだった。最近調子が良いからちょっと近所から友達を呼んでくる、なんて言ったらやってきたのは物凄い『強くて大きな』友達。正直彼はそこまで大きくない、って考えていたらしいけど、見事にその楽観的な予想は覆されてしまった。
その後に待っていたのは、阿鼻叫喚の様相だった。『彼』の体は荒れに荒れて、それから何年も冷え性に苦しむ羽目になってしまった。自業自得なのかもしれないけれど、この時ほど私が手も足も出せなかった事を悲しいと思った事は無い。
「今度も前のようになったら、私……」
「だから気にすんなって、どういう状況になっても、最後はうまくいってるだろ、俺って?」
正直、私がいくら心配しても、最終的には何もかもうまくいっていた。
私と彼が出会ってから少しだったころ、彼の体が『酸素』とかいう新しいファッションで包まれたときには、慣れない感じの衣装で悪戦苦闘してしまったけど、結局は上手くいっていた。
いつだったか、彼の体が大爆発しそうなほど大変な事態になったことがある。スーパーなんとかだ、と得意げに彼は話していたけど、正直そんな問題じゃない様相だったし、あれから長い間彼はボロボロの姿を私の前に晒し続けていた。とは言え、最終的にはいつもの調子に戻り、元の姿を取り戻していたのは確かだ。
「……まぁ、心配する気持ちは分かるっちゃわかるけどな……」
「分かってほしいわよ、どれだけ一緒に居続けていると思ってるの?」
――もう40億年以上も、同じ場所に居続ける身にもなってほしい。
ちょっと厳しい言葉を言っちゃったけど、それでも私は『彼』の事をいつも頼りにしている。
私は毎日彼の周りをぐるぐると回転し、彼の綺麗な肌を眺め、そこに大きな丸い影を作り続けている。彼の方も、私の方に手を伸ばすように、体を包み込む青い『肌』を伸ばし、波の模様でお洒落を作っている。
数えきれないほどの日々だけど、何度も彼に振り回された身だけど、それでも私は彼の事が大好きだ。
「ところで、今回って……」
そう言えば、久しぶりに体を動かすって言うのは聞いていたけど、今回はどのような事をするのかという具体的な事をまだ聞いていなかった。
「あー、ほらここ、ちょっと燃えてる所あるだろ?」
そう言って彼が見せたのは、青い肌のずっと下にある大きなでっぱり。『海底火山』って言うらしいけど、どうやら今回はこれを思いっきり爆発させて、思いっきり汗やマグマを流してリフレッシュするつもりらしい。
「最近なんか身体が鈍っちまってなぁ……空気も悪いし、なんか灰色ばっかりでダサいし……」
「ま、まぁそれは好み……かな?」
彼は青と緑の体が大好き。私もそう言う彼の体が大好き。
しばらく悩んだ後、私は今回も彼の好きなようにさせることを決めた。
やる気を出した彼の体が、少しづつ赤みを帯び始めている。多分またこの後、熱いだの寒いだのてんてこ舞いになるだろう。でも、それを含めて、私の大事な彼――「地球」なのかもしれない。
お題:楽観的な彼




