サンタクロース爆破計画
今日は2月1日。前年最後のイベント『クリスマス』から間もなく一か月が経過しようとしている中、人々は節分やバレンタインデーなど次のイベントに向けて大忙しです。
しかしその一方で、それからずっと後に訪れる新たな『クリスマス』に向けて、この段階で既に動き出す者たちがいました。
「いよいよこの日が来たのね……」
「はい、お姉様」
そこにいたのは、未来の世界で指名手配されている2人の美人姉妹でした。
彼女たちはこれまで様々な世界でいろいろなものを、得意の爆薬を使って粉砕させ続けていました。ミロのヴィーナスの腕を永遠に無くさせたり、戦後の国鉄の列車を脱線させたりとその暴れようは半端なく、未来の時空警察からも第一級の犯罪者としてマークされていたのです。
ですが、彼女たちにとってそれらの犯罪はあくまで前哨戦にしかすぎませんでした。いよいよ今日、彼女たちの真の目的が動き出そうとしていたのです。
「この世界に、クリスマスなんていらない」
「いるのは、私たちの愛だけですわね」
幼いころからずっと貧しい中で育った二人は、世間がイベントで盛り上がる中でもずっと二人ぼっち。周りの子供たちがサンタさんからプレゼントをもらう中でも、彼女たちはいくら願ってもそれを叶えてもらう事は無かったのです。
そして彼女たちは決意しました。サンタクロースを、この世から消し去ってしまおう、と。
「みんなクリスマスの事なんて頭から消えてる」
「絶好のチャンスですわね、お姉さま」
そう言いながら、作戦の発案者である姉に妹はキスをしました。いつもそうやって、彼女は姉妹同士の愛を体で表現し続けていたのです。そうでもしないと、自らの体が爆発しそうな気持ちが妹の中にはありました。
「……いよいよね。あなたには迷惑をかけたわ」
「そんな!私こそお姉さまにいつも……」
いいのよ、作戦を成功させればきっと願いはかなう。
そう言いながら、姉も妹の唇に、自らの唇を重ね合わせました。
この計画さえ完了すれば、二人は永遠の愛を手に入れられる。
……彼女たちは、サンタもろとも、自分たちも死のうと考えていたのです。
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そして、2人の美人姉妹がたどり着いたのは、異次元にあるサンタクロースの本拠地『北極』でした。以前トナカイに密かに取り付けていた発信機を利用し、未来世界にある次元移動装置を悪用してここに向かっていたのです。
既に彼女たちの準備は整っていました。二人の体には大量の爆弾が巻き付けられています。そのまま目の前にある小さな小屋に駆け込み、二人同時に掌のボタンを押し、自分の命ともどもサンタクロースを消し去り、クリスマスを永遠に消し去ろうとしていたのです。
「……いくわよ」
「……はい、お姉様」
そして、彼女たちは一気に行動に乗り出しました。
突然の乱入者に、見張りのトナカイも雪だるまも一切反応が出来ませんでした。追手を猛スピードで退け、あっという間に二人の姉妹はサンタクロースの待つ場所へたどり着いたのです。そして、中で何事かと現れたサンタさんの姿を見たとき、彼女たちはとうとう長年の夢、そして長年の復讐を実行しようとしました。
「「サンタクロース、覚悟!!」」
……ですが、爆弾は起爆しませんでした。
「「……へ!?」」
「お、お姉さま!」
「そ、そんな!」
あっという間に、形勢は逆転してしまいました。二人の美人姉妹は、トナカイや雪だるまたちに取り囲まれてしまったのです。そして、彼女たちの元に、サンタクロースが近づきました。
破れかぶれになった彼女たちは、互いに自分の方を消し去ってほしい、と告げました。ですが……
「そんな、お姉さま!私の方が!」
「でも、貴方が消えたら私は生きていけない!」
「私もです、お姉さま!」
そして、二人は互いに抱き付き、自分たちの罪を、本当に愛する者へわびました。
そんな二人の頭に、ふと優しい感触が……。
「……すまなかったね、二人とも」
「「……え?」」
――ここまで二人を追い詰めていたとは。
彼女たち以上に、サンタクロースは涙を浮かべていたのです。
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それから、二人の爆弾姉妹の姿は永遠にこの世界から消え去りました。
いったいどこへ行ったのか、時空警察でも未だに行方を把握していません。
ですが、この時以来、サンタクロースの格好をした二人の美女が、子供たちにプレゼントを配るようになったという噂が立つようになったそうです。
お題:大きな百合
必須要素:クリスマス爆破計画




