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神様の玩具  作者: じゅん
7/20

奴隷

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 あたしの名前はクローディア。

奴隷です。

キロという小さな村の出身になり、数年前に村の人間が生きていく為に奴隷として売られた一人です。


 ・・・その年の冷夏より思った以上に作物がうまく育たず、このままでは冬を越せない事が分かり、村人達で話し合いを行い、村人を奴隷として売り払う事が決定しました。

村が奴隷として村人を売るのは珍しいことではなく、数年に一度のペースであったようです。

奴隷として売られる人間を決める為、各家から一人づつ集められました。

村長さんの家の前に集められたのは全て若い女の人や子供です。

農作業に役に立たない子供は一番最初に切られます。

子供たちも内心わかっているため、文句などはいわず、ただじっと時を待ちます。

大柄な男の人と黒いマントの男の人がやってきました。

あたし達の周りを何週かした後、6人が選ばれ他の子供達はすぐに家に帰された。

あたしはその6人の中の1人なので帰る事は出来ませんでした。

マントの人が村長さんにお金の入った袋を渡した後、大柄な男の人にあたし達6人は連れて行かれました。


 その先には馬車があり、すぐに乗るように指示を受けましたが、あたしの体では、まだ馬車の荷台に届かないため、最年長のシフルが先に上がり引っ張り上げてくれます。

4人全てが乗り終わると馬車がゆっくりと走り始める。

あたし達は両親と別れの挨拶さえ出来ませんでした。

売られたお金で村の皆が死なないで済むならと思うと、不思議と悲しい気持ちにはなりません。

荷台の中では、ほかの村から売られた女の人が数人乗っています。

その一人は声を殺して震えながらずっと泣いていました・・・





 村を出発してから数日。

大きな町が見えてきました。


 あたし達は村から出た事がないので、荷台の上から身を乗り出し、はしゃぎ始めてしまいました。

年長者のシフルが何とか諌め様としますが、あたし達は興奮のあまり中々おしゃべりを止める事が出来ません。

町の入り口で馬車は止まり、大柄な男の人が荷台に怒った顔を出し、その時おしゃべりをしていた二人の子供が荷台から引きづり降ろされ、大柄な男の人が持っていた棒で何回も何回も打たれました。

あまりの恐ろしさにあたしは何も出来ず、ただただ震えていました。

シフルが二人の子供を庇って事なきを得ましたが、子供達は泣いてしまって手がつけられません。

余りのうるささに大柄の男の人はシフルまで叩き始めます。

シフルが叩かれ始めた事に気づき、子供達は無理やり泣くのを止め、ひっくひっく、と黙って肩を揺らします。

大柄な男の人は全員が黙るのを確認すると馬車を町の中へと進めました。

今度は誰も、おしゃべりなんてしようと思いません。


 しばらく町を進んでいくと大きなお屋敷が見えてきました。

馬車より大きな門が開きお屋敷から何人も人が出てきます。

あたし達は馬車を降ろされ、順番に首に鉄の首輪を無理やり着けられていきます。


首輪を着けられた順からお屋敷の中に連れて行かれます。

大きな階段を上り格子状の扉がついたお部屋に連れて行かれました。


 お部屋の中には人がたくさんいて、膝を抱えている人や叫んでいる人、喧嘩している人。いっぱいいます。

 お部屋の奥にはトイレ用の大きな瓶一つと鉄格子の前に家畜用の水飲み場がそこにはありそれ以外には何もありません。

 お部屋では春、気温が暖かくなる頃になるとたくさん人がいなくなり、冬になり寒くなると新しい人がたくさん入ってきます。

 シフルはその年の春初めに「すぐ戻るから・・・」と残しお部屋から出されて帰ってきませんでした。

あたしはほかの子供達と共にお部屋の中で1年を過ごします。

 そんなある日の朝、お屋敷が騒がしくなった日、お屋敷の人たち集まって来て部屋から出るように指示が出されます。幼馴染のジミーと一緒にお部屋を出てお屋敷の外に向かいます。

お屋敷を出た瞬間、緑のいい香りがあたしを包み、その時とても懐かしい気持ちになりました。

お屋敷の広場中央まで移動した後、あたし達は一列に並ばされ、男の人があたし達の首輪に次々と鎖を巻きつけて行きます。

 最後の子供に鎖が付けられると、先頭から順に少しづつ動き始めました。

年下のジミーが不安そうにあたしに声を掛けてきます

あたしも不安だけど、以前リフルが励ましてくれた時のように我慢してジミーを励まします。

町のはずれの大広場まで連れて来られて、とうとうあたし達が売却される事に気がつきます。

そのまま大きなテントが設置してある方に移動し、小さな鉄格子のお家に入るように言われました。

その時にジミーとは離れ離れになってしまいます。心配ですが、仕方ありません。

夜になると町がザワザワと騒がしくなってきました。

時たま、大きなドンッ!と言う音が聞こえて不安になります。

近くにいたお姉さんが何の音か教えてくれたけど、よく意味が分かりませんでした。

鉄格子の扉の前にお屋敷の男の人がやってきて女の人を何人か連れていきます。

さっきのお姉さんも連れて行かれました。

最後に横顔を見ましたが、涙目になっていたのを覚えています。


 残されたのは、あたしを含めた子供だけ。


 また、大きなドンッ!という音が鳴り、しばらくしたら遠くのテントが大きく燃えあがり始め、色々な人の騒いでいる声が聞こえました。


お家の中にいた男の子が「逃げなきゃッ!」と鉄格子の南京錠を石で叩き始めます。

何人かの子供はそれに続き手に持った石で一生懸命壊そうとガンガン、南京錠を内側から叩きます。

ガッチャン!っという音と共に南京錠は壊れて鉄格子の扉が開き一斉に子供達が鉄格子の家から飛び出しました。

あたしもその後に続きます。

ジミーやほかの村の子供を捜しますが見当たらず、火の勢いは強くなるばかりです。

・・・・

・・・

・・


 気がついたら、あたしは知らない子供達と共に知らない場所にいました。

周りの子供達に、ここはどこなのか聞いて回りますが、「リーダーに聞いてくれ」としか言いません。

 

 しばらくすると奥から、松明を持った青年が現れました。

どうやら、火事場泥棒しようとしていた時に、倒れていたあたしを発見し、この青年がここまで連れてきたそうです。


 そんな彼らは元奴隷や親に捨てられた浮浪児の集まりで今回の放火犯人。

今回の放火は大成功で金品をごっそり奪っていけたそうです。

戻る場所のないあたしはそんな彼らとこのまま2年を過ごします。







9/8 読み返してみたら、おかしかったので直します。

「リフル」×「シフル」○

同一人物です。

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