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物語は遡る
旧式のブラウン管テレビが大量に山積みされた部屋。
部屋は薄暗くテレビから発する明かりだけが一人の男を照らす。
「で?僕は?・・・へー。」
誰かと話しているようだが、男以外には誰も見当たらない。
「了~解。まずは生き返りを選ぶさ。」
人を小馬鹿にしたような口調で答える。
瞬間、部屋は赤く染まり男を中心に無数の刃物が現れる。
まるで時が止まったかのように刃物は宙に浮いたまま、動かず赤い血で滴る剣先を男に向けていた。
「君の話が本当ならとても面白いことになりそうだね」
男は椅子から立ちが上がり背伸びをする。
「・・・・よし。心構え完~了。準備は出来た。はじめてくれ。」
男が喋り終わると部屋が大きく揺れ始め、積み上がっていたテレビが崩れ落ち、叫び声をあげる暇なく男はその下敷きになり圧死する。
残されたのは宙に浮く血の滴る無数の刃物だけとなった。