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神様の玩具  作者: じゅん
5/20

別れと出会い


ちゅんちゅん。

鳥たちが囀りながら私を眠りから起こしてくる。

朝かぁ・・・

そっか、昨日はあのまま話をしながら寝ちゃって・・・。

「おはようっす!」

元気よく犬人間が挨拶してくる。

「・・・おはよー」

低血圧な私は少し寝ボケながら答える

「もうそろそろ親分が起きますんで起きたら出発になりやす。今日はどうしますか。歩けやすか?」

「うーん」

正直、また馬車乗ったら酔ってしまうと思う。

かといって歩くにしてもこの傷じゃあ。。。

あれ?

昨日の傷がいつの間にか消えている。痛みもない。

「あれ・・・治るの早くない?」

「はい。あの薬は親分の特別品でして、たとえ斬られて上半身と下半身になったとしても、この薬塗ってくっ付ければ次の日には治っちゃう優れものっす。その程度の怪我でしたら余裕っす!」

・・・あーファンタスティック・・・どんな薬ですよ。魔法かい。あ、魔法の世界か。。。

自慢げに犬が話していると黒髭が起きたようで「出るぞー」と犬を呼ぶ

呼ばれた犬は走って主人の元へ。

忠犬だねぇ。

また酔うのもいやなので私は歩くことにした。



---------------------------------------------------------------------


旅は順調に進み、お昼前にアンセイムへ辿りつくことが出来た。

入城の手続きは黒髭がすべてしてくれた。

この人には感謝しても仕切れない。

見ず知らずの人間にあそこまでしてくれるのは早々いないと思う。


彼らはこのまま奴隷市に向うらしい。

私としてはあんまり関わりたくないので、そこで彼らとは分かれることに。

最後に犬人間から「お守りあげますよー」とちいさなポケットナイフを貰う。

昨日の夜、教えてくれたが、女の子1人だと何かと危ないらしい。

護身のためにもありがたく頂戴する。

最後に、あんな犬なら一匹飼ってもいいなとかおもった。


犬人間に聞いていた町の案内所を探していたが、正直・・・迷った。

町の住民に場所を聞くが、同じような建物が多くどうにもいまいち分からない。


ひとまず、大広場に出よう。

そこに行けば目印か何かあるはず。


その時、

ドンッ!と後ろから押されて、おもいっきり前のめりに倒れこむ。いたい

どうやら後ろから走ってきた子供が私にぶつかった様だ。

子供も転んで持っていたパンのようなものを地面に散乱させていた。


「コノヤロォォォ!!!まてェ!!」


後ろから数人の子供が木の棒を持ってやってくる。

転んでいる子供はそれに気付くが、中々起き上がらない。


「パン盗みやがって!!この裏切り者!!!」


子供たちがパン泥棒(転んだ子供)に向けて木の棒で滅多打ちにし始める

さすがの私も引く。

こりゃひどい。

周りの人!なに見てみぬふりしてるの?

あーー!!とにかくこの子供たち止めないと。。。。


「ちょッ!!あんたたち止めなさいよ!」


私は子供たちを押しのけて、パン泥棒の子供を背に立つ


「あんたは関係ないだろ!!あっち行ってろ!」


ああ・・・完璧に怒っていらっしゃる。


「事情はあるとは思うけど、こんなこと酷い事する必要ないじゃない!」

「うるせぇばばぁ!!お前も殺すぞ!貧乳は死ね!」


このガキ・・・・。お前は私を怒らせた・・・・臨戦態勢に入ろうとすると前方から、鎧を来た兵隊が走って数人やってくる。


「やば、警備隊だ!お前らパン拾え!行くぞ!!!」


くそガキが散ってく

おおー!

さすが、国家権力!ここぞっていう時に力を発揮する。

どこぞの国の警察とはわけが違う!


「おい!逃げた奴はお前が追え。」

「ハッ!」


こんなに清々しい敬礼は始めてみた。

こっちまで勝ち誇った気持ちになる。


「君!そこの子供、君の?」


おいおい。子供いるような歳に見えますか私が・・・。


「いえ。さっきの逃げた子供達に殴られていたので助けただけですが・・・」

「じゃあ君が保護したんだね?」

「あ、はい。」


子供の状態を確認していたもう1人の兵隊が話しかけてくる。


「隊長!この子供、脱走奴隷です。2年前の火事の時に逃げた奴隷です。間違いありません!」

「そうか。わかった。」


え、奴隷?


「・・・さて、君にはこの奴隷を所有する権利がある。」

「はぁ?」

「所有を拒否する場合はこちらで処分する。」

「処分ってあんた・・・・」

「後の仕事も残っている早く決めてくれ。」

「いやいや。意味分かりませんよ!どうして私が!」

「ふぅ・・・。所有者を失った逃走奴隷を一時的に保護した場合、所有権は保護した者に譲渡される事になっている。拒否は出来るし。早く決めてくれ。」


抗議してみるが冷たく突き放される。

お役所がぁ。

・・・・う、うーん。

まるで捨て猫を拾ってきた気持ちだ。

家では買えないから棄てて来いと親に言われたけどかわいそうで棄てる事ができないそんな状態。

・・・・・・・

わかったわよ・・・飼えばいいんでしょ?


「・・・後味悪いし。保護します。」

「よろしい。では手を出してくれ。」


結婚式よろしく、シルバーの指輪を付けさせられる。

付けてくれた場所は中指だが・・・。

振り向くと気を失っているパン泥棒にも同じような首輪が取り付けられる。


「********」


さっきまで話していた兵隊がなんか聞き取りづらい言葉を発し終わった瞬間に指輪と首輪から赤い光が一瞬出て消える。


「んっ!?」

「なぁに。登録作業だ。正式にアレは君のものだ」


人間をアレ呼ばわりに少しだけ、ムッとする。


「じゃあ私たちは警備に戻るからあとは―」

「ちょっとまって。あの子放って置くの?!」

「アレは正式に君のものだ。私たちには関係ないことだ。君が面倒を見て欲しい。あと、この道をまっすぐ進むと宿屋がある。その隣が居酒屋で、一番奥に見えるのが案内所だ。さっきから探していたのは君だろ?」

「・・・わかったわよ。私が連れて行く。」


よいしょっと、パン泥棒を背負う


「問題を起こさないでくれよ?では。」


最後に清々しい敬礼をして兵隊は警備に戻っていった。





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