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神様の玩具  作者: じゅん
2/20

気がつくと浜辺

―――――うッ。

 ギラギラと刺す太陽の光と小波の音で目が覚める。

浜辺・・・。たしか、船にいた筈だけど・・・流されてきた・・の・・?

無理やり上半身を起こし、ゆっくりと立ち上がる。

身体を見回し、確認を行う。

視界は少しぼやけている。

体中は砂だらけで、服や体の至る所には擦り傷が付いていた。

大きな怪我などはなさそうだ。

体の方は少々だるいが、歩く分には問題なさそうだ。


 ポケットに手を入れ携帯電話を取り出そうとするが、ポケットにはない。

周りを見渡してみるが、このあたりには落ちてはいないようだ。

「・・・あぁ、そうだ。携帯、カバンに入れっぱなしだった・・・どうしよう・・・。」

遠くを見渡してみる。ユラユラと揺らいで陽炎のようにぼやけて見える。

浜辺だろうか。

聞こえる小波の音と踏みしめた時に足に伝わる砂の感覚で判断する。


 しばらく、なにもせず目を瞑っていると段々と遠くの物も見えるようになってきた。

視界がハッキリしてきたので浜辺を歩きながらでも状況を整理しよう。


 まず、確認。

 私、[立花 マリナ]大学2年 20歳 3人兄弟で上に兄が二人いる。末っ子。

4日前、私の誕生日祝いで、両親が用意してくれたパプワニューギニアへのツアー旅行に参加した。

楽しいツアー旅行の帰り、横浜港に向う客船が台風に遭遇。

多少遅れたが出航、座礁、転覆、そして沈没?したと思われる。

館内アナウスの後に船内が大きく揺れて、客室内の床が引っくり返り天井になっていたので間違いない。

生き残ったうれしさとこれからの不安にすこし目をうるわせる。

他に生き残りいないのかな・・・。


空を見上げて太陽をみる。

ギラギラと照らす日差しが、どんどん欝な気持ちにしてくれる。暑い。

歩きながら先を見渡す。

浜辺が永遠と続き、内陸地側には林が見える。

内陸地側の植物を観察してみるが南国のヤシの木に似ている木が何本か確認できた。

この先、浜辺沿いを歩いても収穫がなさそうなので、林の方に捜索してみる事にする。

ここがもしも、南国の島だった場合、最悪、無人島とかもありえる。

飲み水だけは確保したほうがいいかもしれない。


・・・・・

・・・・

・・・

・・



 10分くらいだろうか林を切り分けていくと視界一面に緑の大草原が広がった。

テレビでしか見たことのない風景画そこにはあった。


 少しの間、その風景に見とれていると林の方から、ガザガザと小さな生き物が草原に向けて走っていくのが見えた。

ウサギかな?狸かな?キツネ??もしかしてカンガルーとか?

都会では見られない生き物に胸をワクワクさせてその生き物の後を追う。

生き物の動きが止まり、姿が視認できた。

「え」


思わず声がもれてしまった。

その姿は期待していた生き物とは遥に違うものがそこにはいた。


「なん・・なの・これ・・・・」


40センチほどの大きさのそれは、例えるなら顔はトカゲ、頭にだけは毛がなく、身体は犬のように毛が生えており、四肢はライオンのように鋭いツメがあった。

そんな、アニメやゲームに出てきそうなキメラのような怪物が今、目の前いる。

ゆっくりとこちらに顔を向け奇声を上げた。

あまりの甲高い声に、目を瞑り、耳を塞ぐ。


その瞬間、右の太ももに激痛が走る。

「ぐっぅう!!」

噛み衝かれた。

たまらず、足を振り回して、その生き物を振りほどく。

「ギャァンッ!」と言う鳴き声と共に、この怪物が地面に転がる。

逃げようと走り出すが噛まれた足が痛くてうまく走れない。

ヨロヨロと立ち上がりにこちらに走って向ってくる怪物。

再度、同じ右の太ももに噛り付く。

「あっぐ!!!」

噛み付かれた事により、バランスを崩しそのまま倒れこむ。

倒れた際に、ポケットから家の鍵が落ちた。

怪物はそのまま、胸の上に乗り、奇声を上げてその大きな口を広げる。

噛み衝かれそうになった瞬間、近くに落ちていた鍵を拾い、握りこんだ鍵の先端を怪物の頭に目掛けてぶつける。

「グギャァァァッッ!!」

頭部に刺さった鍵の所から赤い血を撒き散らしながら、怪物は胸から転がり落ちる。

怪物は奇声を上げながら地面をノタ周り続け・・・しばらくすると動かなくなった。

・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・


「ハァ・・ハァ・・・一体、なにあれ・・・。」

このまま、立っているのも辛いので、草原の地面にいきよいよく座り込み。

瞬間、目の前の怪物から淡い光が漏れ出し強く光った後、消えていく。

・・・

消えた怪物の後には、家の鍵と小さい青い原石の様なものが残されていた。

「・・・なに!?なに!?意味わかんない!!私が一体何したって言うのッ!もういやッ!!!」

目からは大粒の涙がこぼれ続けた。




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