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殺人同好会 〜橋口まどかの存在証明〜  作者: ゆこさん
7章
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7章-8.罰ゲーム 2023.11.15

 朝日が差し込んできて、あまりの眩しさにレンヤは目を覚ました。しかし、寝ぼけたままに回りを見回してみるが、そこが自分に宛がわれた部屋ではない事に気が付いた。その途端、左側頭部にビリッと痛みが走った。


 一体ここはどこだろうか。部屋の様子からシラウメの豪邸の内部である事は間違いがない。そして、自分はベッドではなく室内のソファーに寝かされていたのだと気が付く。これはただ事ではない。レンヤは何とも言えぬ恐怖を感じ、一気に脳を覚醒させた。


 そして懸命に昨日の事を思い出そうと試みる。夜12時を回ってもサクマが部屋に戻ってこないため、迎えに行ったはずだ。きっと夢中で遊んでいるのだろうから、遊ばせてあげたい気持ちもあったが、流石に寝る時間であると判断して連れ戻しに娯楽室へと向かった記憶がある。


 そして、娯楽室に入ると、何故かアイルがそこにいて居て。それでビンゴと戦うはめになって、それで――。


「あ……。俺、負けたんだ。」


 レンヤは思い出す。自分はビンゴに負けて気を失った。これが最後の記憶で間違いない。


 という事は……?

 

 レンヤは恐る恐る自分の胸元に視線を落とした。と、同時に凍りついた。


 なんだこのひらひらの服は!?あー。そうか。これが所謂メイド服って奴だ……。


 レンヤは絶望に浸りながらも、着せられたメイド服というものを見る。黒の長袖の長いスカートのワンピースに、真っ白なエプロン。襟や袖口は白く、スカートの裾には白のフリルが付いているようだ。落ち着きのあるデザインのメイド服である。そして自身の頭部を触ると何かひらひらとしたものが付いていた。髪飾りだろうか。良く分からないが触らない方が良いだろう。


 そして改めて、ここはどこなのかと考える。生活感のある部屋だ。つまり誰かの部屋。

 

「あれ?目が覚めたのかい?メイドさん。ここはオレの部屋だよ。」


 突然背後からアイルの声がした。レンヤは瞬時に振り向くと、ニヤリと笑うアイルがいた。


「なっ!!?」


 レンヤが何か言おうと口を開いた瞬間。アイルに手の平で口を覆われてしまった。


「ダメだよ、喋るのは。オレの気分が台無しになってしまう。それにもし目の前のメイドさんが男だと認識してしまったら、オレは手をすべらせて、君の喉をかっ切ってしまうかもしれない。」


 アイルがとても楽しそうに、ニコニコ笑いながら言った。この瞬間から、レンヤはもう何も言えなくなってしまった。口を開けば死だ。


「君は本当に素晴らしい。ここまで似合う人間はいないだろうね。それにしても、何故男だったんだろうね。」


 知るかよ。


「女なら間違いなく口説くのになぁ。」


 男で良かった。男最高。


「でもいいか。君は最高だよ。」


 お前は最悪だよ。


 レンヤはひたすらに沈黙を貫いたまま、自嘲気味に笑い続けた。


***

 

 一方その頃シラウメは。

 

「なんで女装なんか手伝ってしまったんでしょう……。」


 自分の愚かさを呪っていた。昨晩、レンヤの女装という誘惑に負けて、手伝ってしまったのが間違いだった。ただでさえ仕事が山積みで猫の手も借りたいくらいの状況であるにも関わらず、誘惑に負けて遊んでしまうなんて……。自身の好奇心が憎い。従って現在、大量の残務に囲まれて奮闘している。徹夜で頑張ってはいたのだが、それでも増え続ける業務に頭を抱える。


「眠い……。けれど自業自得です……。」


 シラウメはそんな独り言を言って、気を引き締めた。やらなければ終わらないのだから、やるしかない。


「はぁー。レンヤ君可愛かったです……。むしろあれは綺麗系ですね。軽くショックです……。アイルが一日あれを独り占めなんて、ずるいじゃないですか。」


 徹夜のため意識が朦朧としており、シラウメは手を動かしながらも無意識のうちに独り言を零してしまうようだ。むしろ、口を動かしていないと寝てしまいそうになる。


「正統派メイド服……。あんなに似合う人、初めて見ましたね……あはははは。」


 シラウメはそう呟くと、自己嫌悪からかゴンと額を机に打ち付けた。そしてそのまま疲労のピークを迎え眠りについてしまった。


***

 

 その頃、サクマはマドカの部屋に来ていた。


「マドカ姉ちゃん!見て見て!レン兄のメイド服姿。」


 サクマはニコニコしながら、昨晩撮った写真をマドカに見せる。


「うっはー!激カワじゃん!やばいねぇ、これは。」


 マドカもそれを見てかなり興奮していた。


「生で見たいなぁ。」

「うーん。アイルさんの事だから、今日はレン兄独占されると思う。明日あたりなら来てもらえるかも。」

「マジで!サクマっち呼んできてね!頼んだよ!」

「うん!」


 マドカとサクマは楽しく会話をし、平和な時を過ごしていった。


 それぞれがそれぞれ、迫り来る嵐のような未来を気にしながらも、今という平和な時間を満喫していたのだった。

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