異能バトルは必要ですか?~ある日突然異能を手にした兄弟が進んだ道とは?~
「ねえねえ~このライブ楽しみだったんだよ!誘ってくれてありがと!修次お兄ちゃん!」
妹のまどかは15才なのに18才の俺にべったりだ。
ここはライブ会場、俺は友人が来れなくなった代わりにロックスター「ミエル」のライブにまどかを誘った。
「なんもだよ。あ、始まるよ」ライブ会場が暗くなった。
パン!パン!銃声が鳴り響く。
「えっちょっとなにこれ?」
「怖い―」
周囲の客がざわつき始めた。
ステージの光がつき、シルエット帽子を被った伯爵のような男が立っていた。
その男の後ろには長髪の赤髪の女と顔面カエルの男と仁王立ちで人間のように立っている三毛猫がいた。
「何だよこれは!」
「お兄ちゃん怖い!」
妹は体を震わせている。俺はとりあえずまどかの背中をさすった。
伯爵が言った「俺達は異能を持って世界を征服する野望がある。お前らにも異能をやろう」
伯爵は両手を観客側に向け広げる。
妹が浮き始めた。
「なにこれ?怖い―下ろして!」
俺は妹を引っ張り近くで浮きそうな妹を抑えた。
どうなってるんだ!?
観客の20代くらいの男性は目からビームを出し、前の男は体を火傷し倒れた。
俺の両手が光り始めた。なんだこれは?
手から煙のような雲のような白い靄が溢れてきた。
これを持って俺はどうする?
魔法の解除を求めるか?でも、こんな便利な力があれば―――。
この力を使おう。雲のじゅうたんだ。
俺は雲のじゅうたんを作り、雲のじゅうたんの端に妹の服を結んだ。
「え?お兄ちゃん?何してるの?」
「今にわかるさ!捕まってろよ!」
伯爵が「待て!」と叫ぶが雲のじゅうたんに俺とまどかは乗りステージを出て廊下を駆け抜けるように飛ぶ。外に出るとふわふわと空中に上がっていく。
「おい待て!」
赤髪の女が建物から外に出て追いかけてくる。
「嫌なこった!よしこのまま母が住んでいる街に行くぞ!」
「お母さんに?」
「そうだ。久しぶりだろう。雲よ!僕らをイギリスに連れってって!」
雲が空を駆け、辺りの景色は水色から茜色、深い青に変わった。
じゅうたんが何故か聖堂の中へ入っていく。
「お兄ちゃん、ここはどこ?」
「わからない。聖堂かな?」
じゅうたんを降りた僕たちは聞き覚えのある歌声に気づく。
振り返ると、ステージの上で昔よく歌ってくれた「ハレルヤ」を歌っている母さん。
母さんは彼らを見つめて優しく歌っていた。
「お母さん……元気だったんだね」
「これが俺らが見るべき本当のステージだったんだ」




