入口
中核へ向かう道の途中、アルヴィが話した。
歩きながら話した。立ち止まらなかった。
「ジャコール・アオンから聞いた条件を、全部話します」
全員が聞いた。
「一つ目。エルド・ラインの意志を持つ者は帰還する。この世界の物語の守り手はここに残る。その組み合わせが揃った時に、歪みは閉じる」
カイは聞きながら、前を向いていた。
「これはカイとリラのことです。最初からそういう流れだった。私たちは、その流れの中にいる」
リラはカバンを胸に抱えた。
「二つ目」とアルヴィは続けた。「破壊の収縮は、内側から解くしかない」
「内側から」とシオンが言った。
「この惑星の中核に、最初の振動があります。それに触れて、別の答えを示さなければならない。外から壊すことはできない」
「誰が入るんですか」とエリオが聞いた。
アルヴィはリラを見た。
「リラとアルヴィさん、ですね」とリラが言った。
アルヴィは頷いた。
「私が道を開きます。リラが触れる」
カイは前を向いたまま言った。「俺は外で待つ」
「そうなります」
カイは何も言わなかった。
リラはカイの横顔を見た。
「カイ」
「なんだ」
「さっき、護衛の役割を受け入れた時——おかしくはなかった、と思いましたか」
カイは少し間を置いた。
「なぜ分かった」
「顔を見てた」
カイは前を向いたまま、少し口元が動いた。
「うるさい」
リラは少し笑った。
建物が途切れた。広場に出た。
中央に、建物よりも古い構造物があった。石と金属が混ざった、円形の台だった。その中心から、かすかなエネルギーが流れていた。
「ここです」とアルヴィが言った。
台の前に立った。
エネルギーが流れていた。見えなかったが、感じた。リラだけでなく、全員が感じた。ティアが耳を押さえた。エリオが計器を確認した。シオンが窓のない場所で初めて空を見るような顔をした。
「どうやって入るんですか」とリラが聞いた。
「台に触れます。私が先に触れて、道を開く。リラが続いて触れる」
「中はどうなっていますか」
「三つの層があります」
アルヴィは一拍置いた。
「一層目は、皮肉と煽りの想像です。本物の痛みからは来ていない。温度のない言葉が積み重なっている。通り抜けられます」
「二層目は」
「悲観の想像です。これは本物の痛みから来ています。引き込まれやすい。私が隣にいます」
「三層目は」
「最初の悲しみです」
アルヴィはリラを見た。
「誰かが想像したものが、届かなかった。その最初の痛みが、ここにある。長い時間をかけて、自分の形を忘れている」
リラは頷いた。
「触れて、何かを言うんですね」
「広場でやったことと、似ています。でも今回は——」
アルヴィは少し間を置いた。
「一人の人間ではなく、惑星が抱えてきた最初の悲しみに対してです」
リラはカバンの中の不思議な本を取り出した。
触れた。
強く来た。今まで感じた中で、一番強かった。
(ここだ。ここに来るために、最初から呼んでいた)
そういう温度だった。
「行きます」とリラが言った。
アルヴィが台に手を当てた。
光が来た。静かな光だった。眩しくなかった。ただ、明るかった。
リラが続いて手を当てた。
光が二人を包んだ。
カイは一歩だけ前に出た。
止まった。
アルヴィとリラの姿が、光の中に消えていった。
カイは台の前に立ったまま、動かなかった。
ポケットに手を入れた。紙に触れた。
出さなかった。
シオンがカイの隣に来た。
「待ちますか」とシオンが言った。
「ああ」
「私もそうします」
二人は並んで台の前に立った。
ブラートが反対側に立った。ティアがカイの肩に来た。エリオが計器を持ったまま、少し後ろに立った。
全員が待った。
台から、かすかなエネルギーが流れ続けていた。




