表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/11

幕間-1

 失っていた記憶が蘇った。


 それは即ち、『翡翠の王』の寿命が尽きる時でもあった。


 地界を飛びまわり、魔物の群れから逃れてきたが、ついには取り囲まれてしまった。


 一か八か。アルティアは力強く大地を蹴って上空へ飛んだ。目指すは天空界。一番低い位置にある闇の国にひとまず駆け込みたかった。


 アルティアが動くと同時に、魔物の群れが一斉に何かを放った。それはアルティアの尾、後脚、胴に絡みついた。


 必死に翼をばたつかせたが、相手の数は100ときかないくらいに多く、力の差があり過ぎた。その翼にも絡みつき、アルティアは墜落した。


 咆哮すれば首に絡みつき、絞められた。前脚で引っ掻こうとして、拘束される。魔物が頭を押さえつけた。噛みつこうとしたら、口輪で閉ざされた。


 アルティアは、足掻くことができなくなった。


 絡みついてきたものは、魔力で生み出された鎖のように見えたヒト型の魔物だった。強く締め付けられる。痛みが走る。むぐぅ、と声が漏れる。


 ……継承しよう。


 あの島で聞いた『声』が、アルティアの脳内に響く。


 ……蘇りし記憶を喰らおう。


 (やめろ!オレはお前の後継者になんかならねぇぞ!)


 必死に思念で訴えるも、『声』は聞く耳を持たない。


 ……我が命を、この者の命へ。王が喰らいし全ての記憶を、この者に託そう。


 (そんなもんいらねぇー!)


 アルティアは渾身の力を口元に溜め込むと、無理やり口を開けようとした。僅かに開けられた隙間から、細い光が放たれた。それは、目の前の、王らしき姿の大蛇の首を斬った。


 刹那、身体を縛っていた鎖が粉砕した。ヒトの悲鳴のような音が耳を痛めつけたが、怯むことはなかった。


 解放されたアルティアは、翼を羽ばたかせると、素早く四肢でしっかり身体を支え、咆哮した。


 幻獣の咆哮は、地界を震わせた。遠く離れた天空界にもその波は届いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ