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中学1年生

中学へ入学と同時に、祖母が病気で入院した。

ちょうど入学式の4日前だった。

クラス分けの発表の日でもあったので、中学校へ行っていて、その日は結局祖母の顔を見てない。

学校が始まってから何度かお見舞いに入っていたけど、次第に忙しくなったことを理由に、会いに行くことが出来なくなっていった。


入学当初、私は小学生の頃からずっと泣き虫だったのを変えたくて、長く伸ばしていた髪を短くショートカットにした。

理由はもう一つあって、3つ違いの姉と区別させる為に。


どうしてそんな風に思ったのかというと、私の住んでいる小さな町は小学校が2つと中学校が1つしかないこと。

なので、同じ小学校の子達ともう一つの小学校の子達が一緒に同じ中学に入学することになる。

だから、教師は姉のことも知っていて。

入学当初から、何人かの先生から同じように言われたのが、「姉とそっくりだね」という言葉。

それを言われる度に、私を通して姉を見ている様に思えて。

ただの思い込みだと思うけど、比べられてると感じて、それが凄く嫌だった。


同じ小学校の子達は、姉のことはもちろん知っていたので特に何も言ってこなかったけど、別の小学校だった子達から、「お姉さんって、有名だったの?」と聞かれて、私とは正反対だとしか言い様がなく、そして自己嫌悪していた。

姉は私と違い活発で、小学校では生徒会にも入っていた。

中学でも放送委員に入ってお昼の放送で音楽を流していたりと、いろいろな活動をしていたので多くの教師達が覚えていたのだった。

それに比べて私は無口で大人しく、対照的な性格だった。

このことを理由に、姉が髪を伸ばしていたので一緒に見られたくなくて、髪を切ったのもあった。


でも、正直言って、あんまり意味はなかった。

この頃、体調が不安定で、また病院通いしていてたこともあって、ほとんど学校を休みがちだった。

毎朝起きても体がだるく、登校時間になってもご飯が食べられなくて何度か遅刻していた。

学校へ行っても体調が悪く、よく保健室に行ったりして早退もした。

病院へ行ったときに、「低血圧と自律神経失調症」と診断されて、血圧の検査で一番最初の時に立ちくらみしてベッドに座り込んだりして、その時に「最低血圧が測れない」とまで言われた。

そんなコトもあって、ほとんど学校へ行ってなくて。

本当にいろいろと不安定だった。


でもその不安定な状況がピークに達したのは、夏休みに入ってからのこと。


入院していた祖母が、胃がんで亡くなった。

ちょうどお盆の頃。

そのショックで、自立神経失調が悪化して、2学期が始まっても、ずっと休んでいた。

表向きは、その病欠と言うことで。


本当は、医師からは「学校に行っても大丈夫」と言われていて、何とか体育祭は出られたけど、ずっと救護テントで休んでいた。

でも、文化祭の時はほとんど学校に行かなかった。

その頃、各授業で作品作りをしていたけど、休みがちな私はほとんどが出来てなくて。

同時に、一番見て欲しかった祖母に、もう見て貰えないことが悲しくて、作ることが出来なかったこともあって。

結局、作品は一つも完成しないまま、文化祭も休み、そのまま完全に不登校になっていった。


文化祭が終わってから、少しずつまた学校に通い始めたけど、その時に誰もが普通に挨拶してて、なんだか少しだけ素っ気ない感じ委がした。

表向きに病欠として休んでいたこともあって、体調を心配してくれた子もいたけど。

私の他にも、不不登校の子がいた。

その子は私と同じイニシャルで、クラスの皆と馴染めてなくて。、いつも一人でいる子だった。


ある日の学活の時間に、担任がその子のことで皆との話し合いを持つ時間に使った。

その子のことをイニシャルで黒板に書き、彼女をどう思うか、どうすればクラスに馴染んで貰えるかを考えてほしいと、一人一枚プリント用紙を配られて、それに書いてほしいと言われたけど。

私は何も書けなかった。


自分だって不登校だった、今でも馴染めない子達もいる。

そんな私に何を書けばいいのか分らずに、何も書かないまま提出した。

でも、他にも何も書かずに提出して子もいたらしく、特に名前の記入もなかったので、担任は何も言わなかったけど。

結局、その子が学校へ来たときに、積極的に話しかける様にするということで、まとまった。


そして暫くして、その子が学校へ登校してきた。

皆が積極的に挨拶して、その子に話しかけているけど、私は何もせずに、ただクラスメイト達が話しかけてる様子を眺めていた。

その子は、なんとなくつまらなそうな顔をしていて、たぶん、担任からの意図があると気づいたのかもしれない。

次の日から、またその子は学校を休んでいたから。


結局、そのまま2年生になっても、その子は不登校のままだった。


その反面、私は少しずつクラスの子達と馴染み始めて、学校へ通う日数も増えていった。

その際に、一人の男の子が優しくしてくれたのが嬉しくて、ちょっとだけ気になってしまった。

後々考えれば、彼は学級委員をしていたから、と言う意味で優しくしてくれただけだったかもしれないと思うけど、当時の私はそこまで考えが至らずに、ただ、男の子に優しくされたのが初めてで、最初の頃は戸惑ってしまった。


ある日、日直の仕事でプリントの返却をする際に、列ごとでまとめたプリントを渡されたが、クラス全員の名前と顔が一致してなかった私に、彼が声を掛けてくれた。

「皆の顔、まだ覚えきってないんでしょ?半分手伝うよ」と言って、私の手元からプリントを取って、それぞれの列の先頭の子達に配ってくれた。

私はちょっとだけ恥ずかしくて、小さく「有難う」と言うと、彼は笑って「いいよ、これくらい」と言ってくれた。


このことがきっかけで、それ以来、いつも彼を目で追う様ようになっていた。

気づいたときには、もう好きになっていた。

でも、小学校の時の、初恋の相手から暴言を言われたことがトラウマで、誰にもそれを言わずにいた。

もちろん、本人に告白なんてもってのほか、誰にも言わずに、ただ影から見て至れれば良いと思っていたけど。

同じクラスになったS美にばれてしまった。

だけどS美は人が嫌がることは基本的にしない子だったから、誰にも言わずに、ずっと秘密にしてくれた。

私が小学校の時に好きな子から暴言を言われてたことを知っていたから、多分信頼できたんだと思う。

S美は本当に優しくて、頼れるお姉さん的な感じで、他の友人達からも信頼されていて、私の憧れだった。





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