28.5話【定番トーク】
たこ焼きパーティーも終え、食器も片付けて四人はテーブルを囲んでトークに盛り上がっている。そんな中、この空気に馴染めず、ずっと聞く側の姫川はふと考えた。
姫川
(どうしよう…みんなが楽しそうに話してるのに、私は面白い話が何も思いつかない…)
姫川
(何か…私から話した方がやっぱり良いのかな……よし…)
会話が弾む三人に姫川が遂に口を開く。
姫川
「…あ、あの…」
春香
「?どうかしましたか姫川さん?」
姫川
「皆さんは、サンタクロースを何歳まで信じてましたか?」
三人
「……」
急に口を開いたと思ったら、何を言っているんだと三人はポカーンとした表情で姫川を見た。無論、自分自身意味のわからない話のフリをしている事に直ぐに気付いて恥ずかしさのあまり、姫川は顔が赤く染まっていく。
姫川
「ご、ごめんなさい…!意味のわからない事を言ってしまって…!自分でも何故こんなことを急に聞いたのか理解できてなくて…!」
春香
「…あ、あーっ!サンタさんですか!?実は私中学3年生まで信じてたんですよね!」
姫川
「や、止めてください春香さん…!私の為に気を遣わなくても…!」
難波
「自分、びっくりするぐらい会話下手なんやな。さっきからずっと黙って聞いてるだけやったし。何や面白い話せなあかんと思うたんやろ」
姫川
「ウッ…仰る通りです…」
RABi
「そんな無理しなくてもいいのにー姫川さん。まーでも、姫川さんも楽しめるトークの方がいいよね」
姫川
「い、いえ本当にそんなつもりじゃなくて…聞いてるだけでも楽しいですから」
RABi
「まーまー、そう言わず!丁度テーマ変えたかったし?そうだなー…それじゃあここらで、定番のアレ、いっちゃいますか!」
難波
「定番?」
RABi
「女子会の定番って言ったらアレでしょ!そう、恋バナ〜!」
春香
「おおー!いいですねー!」
RABiと春香は勝手に盛り上がり燥ぐ。逆に姫川と難波は反応が薄かった。
姫川
「恋…バナ…?」
RABi
「うん!そんな訳で早速だけど、ハルちゃんって彼氏いるの!?」
春香
「ええ!?私からですか!?……いやー、私は残念ながら一度も彼氏が出来たことがなくてですね…」
難波
「ハァン?嘘ついとらんか?アンタみたいな別嬪さんなら、男二、三人ぐらい付き合っとるやろ」
春香
「いやいやいや!本当にいないんですよ!でも、それで良いと思ってます!」
RABi
「どうして?」
春香
「双葉さんは寄ってきた男の人達を全員振ってたみたいで……憧れに近付く為なら私も作る必要はありません!」
ムフーとした自信あり気に春香は答える。難波からは冷たい視線が向けられていた。
難波
「アンタの双葉LOVEなんは、ちょくちょく耳にしてたけど…そんなところも真似するんかいな。…そう言われてみれば双葉って、彼氏の情報とか一切無かったな。上手い事隠し通してたんやろか」
姫川
「あっ…それは本当に彼氏は居なかったかと…双葉さん、相手が誰であろうと、絶対に断るのは芸能界で話題になってましたので…付き合いたい俳優男性ランキング1位の【山下哲平】さんからの誘いもあったみたいでしたが…全部断ってたそうですよ」
RABi
「えー!?山ピーも断ってたの!?あんなイケメンであろうと双葉ちゃんの心を掴めないとは…流石は【パーフェクトモデル】…恐るべし…」
難波
「もしかすると双葉は顔よりも中身を大事にしてるかもしれへんな。春香も双葉の真似すんなら、そこら辺ちゃうか?」
春香
「えっ、山ピーに告白されたら…悩んじゃうかもしれないですね…アハハ」
難波
「あかんやないかい!!…まぁええわ。姫川、アンタは彼氏おるんか?」
姫川
「私…ですか…?」
自分の出番にアワアワとしながらも、少し考えて俯き気味に話す。
姫川
「…います…いえ、【いた】と言った方が良いのかもしれません」
春香
「…?どういう事ですか?」
姫川
「その…モデル業界に就いてまだ浅い時にですが、まだ業界の空気に慣れない私に寄り添ってくれる男性モデルの方がいたんです。その人と交流を深めていく内に、相手から告白を受けて正式にカップルとなった訳ですが…」
RABi
「そうそう!こういう話が聞きた…」
姫川
「私の方が人気になりだしてからは、服を買うのにお金がないから貸して欲しいと何度もせがまれ…必ず返すと言ってくれていたのですが、日に日に貸す金額が増していき、デートといった遊びもいつしか無くなって……最後には連絡が取れなくなりました」
姫川
「何か事件に巻き込まれたのではないかと心配して暫く街を探し回っていると…他の女性と遊ぶその人の姿を見つけて……兎に角、無事だった事さえ確認出来た私は彼を責めずにそのまま帰ったのです」
姫川
「連絡は取れなくなっても、別れの言葉も聞いてはないのでまだカップルなのか…それとも、もう私達の関係は終わってしまっているのかわからないので…」
想像以上に暗い話だった姫川に、春香とRABiは寄り添い背中を撫でたり頭を撫でたりする。流石に難波もこれには苦く笑う。
春香
「姫川さん、そんな男の事もう忘れていいですよ」
RABi
「私達ズッ友だから、次付き合う時は絶対相談してね…?」
姫川
「え…?あ…あ、ありがとうございます…」
難波
「まぁ…なんていうか…ええ男と出逢えたらええな」
春香
「難波さんは彼氏いるのですか?」
難波
「おるで」
RABi・春香
「「ええっ!?」」
難波
「何やねんその反応!?おらんと思っとったんかい!!」
RABi
「だって難波さんってチョー強烈じゃん…?付き合う男の人も物凄い勇気出さないといけないっていうか…」
難波
「どういう意味やねん…まぁええ。丁度写真もあるで。見せたるわ」
そう言って難波は自身のスマホを操作する。待たされてる間、三人はヒソヒソと話す。
RABi
「難波さんの付き合ってる人ってどんな人だと思う…?」
春香
「それはもう…夏でも黒いスーツジャケット羽織ってサングラスのかけたガタイの良い…」
姫川
「…それ、ヤクザの方では?」
難波
「これやこれ。ほれ、見てみい」
難波はスマホ画面を此方に向けて見せてくる。
そこに映っているのは仲良さそうにくっついて自撮りで撮影する難波と爽やかなイケメンの男性。男の顔を見てRABiはアッと驚く。
RABi
「エェー!?この人【小西勇樹】じゃん!?嘘!?マジで!?」
姫川
「小西勇樹って確か俳優の…?」
RABi
「そうそう!今チョー人気の人だよ!?小西君と付き合ってたの難波さん!?」
難波
「どや?凄いやろ?一応世間には公表せんようにしててな。こんなんマスコミが知ったら、めんどい事なるに違いないし」
春香
「す、凄い…私はてっきりもっと怖い人と付き合ってるのかと…」
難波
「…アンタ、ウチを何やと思うとんねん……まぁええわ、最後はRABi。アンタやで」
RABiの番になると、彼女は腕を組み得意気な表情を見せる。
RABi
「フッフッフッ!私ですか?いいでしょう!よーく、聞いてください!」
彼女はピースして舌を可愛く出す。
RABi
「アイドルは恋をしちゃダーメ⭐︎だってアイドルは、みんなのものだ・か・ら♡」
その返しに難波は誰よりも白けた表情でRABiを見た。
難波
「ウーワ…おもんな。今のでゴッツ冷めたわ…」
難波の言葉に姫川と春香も冷たい目でRABiを責める。
姫川
「自分から恋バナを提案しておいて流石にその返しはどうかと…」
春香
「…あっ、サンタクロースの話でもしませんか?多分、こっちの方が面白いと思いますよ」
彼女達に冷たい目で見られ、スンッと真顔になりRABiは改めて答える。
RABi
「……いや、ごめん。普通にいません、はい」
難波
「…ンフッ」
意外にもノリが良かった三人がシュールで、難波は耐えられず吹き出してしまうのであった。この四人の女子会はその後も続き、姫川も楽しい思いが出来たのであった。




