22.5話【兄妹】
PM14:33 都内のカフェ
双葉
「へー、黒木さんって妹さんいるんだ」
黒木
「はい。もう何年も会ってませんけどね」
趣味探しの最中、休憩に二人は近くのカフェに入った。黒木はブラックコーヒー、双葉はカフェモカを頼んで雑談を続ける。
双葉
「良いなー妹さん。黒木さんの妹なんて絶対に羨ましいでしょ」
黒木
「どうしてですか?」
双葉
「だって顔はカッコいいしスタイルも良いしそれでそれで性格も超良い!良いところだらけのお兄さんだよ?」
黒木
「いえいえ…俺は双葉さんが思ってる程、良い兄じゃないと思いますよ」
双葉
「えー?そうなの?」
黒木
「実家に住んでいる時は妹と一緒の部屋で過ごしていたんですが、当時はよく怒られました。部屋をもっと自由に使わせろとか、同じ部屋で一緒の空気を吸いたくないとか色々言われたっけな…」
双葉
「えぇー…」
黒木
「…あっ、違うんですよ?実家に住んでいた頃の妹は丁度反抗期だったんです。俺なりに怒られないよう努力をしたつもりだったんですけど、あの子にとって全部が気に食わなかったみたいで…」
黒木
「結局、俺が出ていくまで仲良くなる事はなかったんですが…今は自由に部屋も使えているでしょうし、あの子も気が楽になったんじゃないかなって思ってます」
そう言うと黒木は懐かしむ表情で温かいコーヒーを少し飲む。双葉は肘をついてじっと黒木を見つめ、彼が少し寂しそうにしているも感じ取れた。
双葉
「黒木さん。私と黒木さんの関係って覚えてる?」
黒木
「俺にとって特別な存在で、双葉さんは俺の趣…」
双葉
「違う違う。細田さんに言われた事、思い出して?」
黒木
「…あっ、兄妹関係ですか」
双葉
「うんうん。…妹さんに会えないの寂しいだろうし?私が本物の妹だと思って接してみてよ?」
黒木
「いやいや、無理ですよ。双葉さんを妹として見るなんて俺には出来ません」
双葉
「黒木さんは固いなぁ〜。これは遊びだよ遊び!黒木さんが乗り気じゃなくても私が勝手に妹役演じちゃうよ?」
黒木
「まぁ…任せます」
双葉
「やったー!…んー、そうだなぁ。黒木さんの妹…妹…」
そう呟きながら彼女は席を立ち、彼の隣に座ったかと思うと、黒木の腕に手を回して寄り添う。
双葉
「おにーちゃん♡」
黒木
「……ッ!」
双葉の大胆な行動に、黒木は突然そっぽ向いてしまう。
双葉
「あれ?どうしたの?」
黒木
「……いや…なんか…その……強烈すぎます」
双葉
「強烈?」
黒木
「はい、強烈です」
黒木はずっとそっぽ向いたままで、一向に目を合わせてくれない。恐らくだが彼は照れているのだろう。双葉は悪い笑みをニヤニヤと浮かべ更に寄り添う。
双葉
「お兄ちゃ〜ん??」
黒木
「いや、あの、本当に、マジで勘弁してください…」
ギクシャクする彼に、双葉は面白がって暫くは彼を弄り続けるのであった。




