特別回【新年】
…12月31日 PM23:02
高田が住むマンションに黒木は呼ばれて、男二人で暖房の効いた部屋で鍋料理を楽しんでいた。
高田
「おい…やべえぞ黒木…今年が終わるのも、残り1時間もねえぞ」
黒木
「そうだな」
高田
「いやリアクションが薄いんじゃ…そういやぁ、新年の抱負はもう決まったか?」
黒木
「…?あぁ、抱負か…そう言えば決めてなかったな」
高田
「おいおいおいおい。マジかよ黒木。どんだけお前は無関心なんだよ。せめて正月らしくそれぐらいは決めろよ」
黒木
「一人で暮らしていると話す人もいないし…」
高田
「バッカお前…俺がついてるだろ?」
彼はウインクをキメる。それを見た黒木は嬉しそうに微笑む。
黒木
「そうだな。今は高田がいる」
高田
「…そこは気持ちわりーとか何言ってんだよって突っ込むところだよ黒木君?」
黒木
「あっ、そうだったんだ。…高田はもう決めてるのか?」
高田
「勿論よ!俺は双葉ちゃんの推しを貫く事を誓います!!」
黒木
「…それ、抱負なのか?」
高田
「ばっきゃろーい!!抱負ってのは決意表明と変わらんわい!で、お前はどうすんの?」
黒木
「それが良いなら…俺も双葉さんの応援をしていく事を誓い…ます?」
高田
「わかってるじゃねえか黒木。そんな優秀な君には、年越しそばを用意してあげよう」
黒木
「ハハ…ありがとう。高田が作る料理はどれも美味いよ」
高田
「おま…よ、よせやいっ」
純粋な彼に照れながら高田は準備をしていくのだった。
…………
同日 PM23:35
聡の住む豪邸に双葉と細田は招待され、居間で寛いでいた。聡は魅惑のステップで人数分の年越しそばを運んでくる。
聡
「お待たせ…双葉ちゃん、明美ちゃん。ファンタスティック流、年越しそばを食べられる貴方達は最高に運が良いわ。おめでとう」
細田
「どう見ても普通の年越し蕎麦なんだけど…」
双葉
「つぶグラ載せちゃおー」
双葉は何度も角度を変えてスマホで撮り続ける。
聡
「ノンノン…わかってないわねぇ明美ちゃん。ここからがファンタスティックなのよ。…ミュージック!スタート!!」
聡は立ち上がりポーズを決める。
部屋は暗くなり、天井からミラーボールが降りてくると七色に輝き出す。聡は何処からかフサフサの扇子を両手に取り出すと、突如流れ出すEDMに合わせて華麗な乱舞を披露する。
聡
「フォー!!今宵はノリノリオールナイト!!さぁ、アティシのファンタスティックな舞いを見ながら食べて!!普通の年越し蕎麦もファンタスティックな味に変わるから!!さぁさぁ!!」
細田
「…お願い。普通に食べさせて」
双葉
「アハハハハ!!聡ちゃんやばー!!」
細田にはウケが悪かったが、双葉は腹を抱え泣く程に笑っていた。
………
其々の年末を迎える中、黒木と双葉はふと思う。
黒木
(双葉さんは…)
双葉
(黒木さんは…)
黒木・双葉
(今どんな風に過ごしてるのかな)
それぞれ離れていても相手を思い、0時を迎えて新年の幕ら開けるのであった。