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【完結】Re:LIGHT  作者: アレテマス
第三幕
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特別回【バレンタイン】②


 TMA。本日もここではスタコレのリハーサルが行われている。ダブル・アイは一馬が衣装の調整をする為に二人の元を離れて、ジュリと二奈は用意された椅子で待機していた。お互いにスマホを見て其々の時間を楽しむ中、ジュリの方から二奈へ話を振る。


ジュリ

「…二奈、少し聞きたいんだけどさ」


二奈

「んー?何々ー?」


二人はスマホ画面から目を逸らさず、淡々と会話をする。


ジュリ

「一馬さんって甘いの好きなの?」


二奈

「好き好き!にーには甘党だからねー」


ジュリ

「甘いのレベルって、ゲロ甘って感じ?」


二奈

「うんうん、ゲロ甘!…で、どしたん?そんな事いきなり聞いてさー?」


二奈はポケットにスマホを入れて、ジュリの方へと振り返る。彼女は依然としてスマホを触ったままである。


ジュリ

「別に?聞いてみただけ」


二奈

「……」


ジュリ

「…何?」


いつもなら会話を振れば横でギャーギャーと騒ぐ二奈なのに、珍しく静まり返っている。ムッとした表情で二奈の方へと顔を向けると、彼女は口を手で抑えてニヤついた目で此方を見ていた。


二奈

「…バレンタインだなぁ?」


ジュリ

「……」


ジュリ

「…そうだよバレンタインだよ。なにか文句ある?私はこの機会にただ渡そうと思ってるだけで、季節イベントに沿ってそれに従ってるだけなんだけど?あぁ、勿論二奈にも渡すつもりだったから。あくまで一馬さん一人だけじゃなくて、別にいつもお世話になってる人に向けてで…」


二奈

「めっちゃ早口になって草。そんなのなら早く行ってくれたらいいのにー!ウチ、メッチャ手作りチョコ作るの得意なんだよね!ジュリっぺが渡したいなら手伝ってあげるし!今日のリハ終わってからジュリっぺの家に凸しようず!」


ジュリ

「は?マジで言ってんの?二奈の手伝いなくても作れるんだけど」


二奈

「まーまーそう言わず!こういう時こそ熱き友情イベントってあるじゃん!?くふふ、にーにも喜ぶだろうなー!」


……


 そして迎えた当日。Sunna事務所にジュリがやってくる。


ジュリ

「おはようございま……」


ロビーに入ると思わずその光景にピタッと止まる。


一馬

「おはようございマス、ジュリちゃん」


二奈

「ジュリっぺ、おはぽよー♫昨日は乙乙〜!」


流王兄妹が迎えてくれたのだが、なんと一馬は華やかなスーツ姿だったのである。


一馬

「二奈から聞きまシタ。ジュリちゃんからバレンタインチョコを貰える…それはつまり、僕の人生において究極一大イベント……さぁ、ジュリちゃん。チョコを僕に渡して頂けマスカ?」


そう言って一馬はゆっくりと手を差し出す。あまりにも身勝手な一馬にジュリは怒鳴る。


ジュリ

「いや恥ずいわ!!もっとこう!自然体に渡したいんだけど!?」


一馬

「ダメデス。ジュリちゃんから貰えるチョコをいつもの格好で貰う等、僕のプライドが許しまセン」


ジュリ

「その意味のわからんプライド捨てろ!!…〜ッゥ、あぁもう!」


面倒臭い男に対しジュリはイライラと頭を掻く。そして、溜息を吐くとバッグから綺麗に包装されたチョコレートを取り出して、差し出している一馬の手の上へ乗せた。彼女はそっぽ向いたまま話す。


ジュリ

「…初めてだから」


一馬

「…?」


ジュリ

「その…初めてなんだ。誰かの為に手作りチョコを作って渡したの。…だから…まー…何?上手く出来てないと思うけど……食べて……くれたら……なって……」


ジュリ

「あぁ、でも勘違いしないで。それは日頃の御礼。二奈も協力してくれて……二人が居なかったら、もっと早くに干されてただろうし……えと……二人には感謝してる……」


ごにょごにょと話して、彼女は照れている顔を隠す。その様子に二奈はニヤつき、一馬は無表情のまま相槌を打った。


一馬

「僕達も、ジュリちゃんが居たからこそ、新たなステージへ挑戦出来ている事を、少し足りとも忘れた事がありまセン。…ありがとう、ジュリちゃん。今日も、最高に、可愛いデスネ」


ジュリ

「…うっせ」


そう言いつつも、一馬の感謝の言葉を聞いて彼女の口元はニヤついていた。


一馬

「…さて、チョコも頂けたことですし……じいや」


じいや

「はい、ただいま」


ジュリ

「…え?」


一馬の手を叩く音に執事服を纏った老人が現れ、ジュリのチョコを預かると丁寧に丁寧に扱い、豪華な装飾箱の中へと保管された。


一馬

「このチョコは我が流王家の家宝として扱わせていただきマス。ジュリちゃん、ありがとうございました」


ジュリ

「いや食べろよ!?ていうか、その人って、まさか…」


じいや

「あっ、テイミーで雇われたバイトです」


ジュリ

「アルバイトかよ!!」


ジュリの迫真のツッコミがロビーに響き渡る。


 ダブル・アイの絆は、バレンタインを通してより強さを増していくのであった。そして、ジュリと一馬の愛の行方もまた少しだけ距離が近付いた……?のだった。


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