8話【キャット・シー】
AM10:00 キャット・シー 入場ゲート前
小嶋
「ウォオオオオオ!!キャット・シーだぁああ!!」
森山
「とても盛り上がってますね、小嶋先輩」
小嶋
「当たり前じゃん!!キャット・シーだよ!?みんな!!大好き!!!キャット!!!シー!!!だよ!?」
森山
「落ち着いてください。周りの方が此方を見ています」
小嶋
「うわマジじゃん!?…ご、ごめんよ〜森山ちゃん…なんせ社会に出てからは、テーマパークに行く余裕もなかったからさ〜…久々に学生気分に戻ったと言うか…」
森山
「社会人という事をお忘れなく。今回ここへ来たのも、新アトラクションの記事を書かせていただけるという事で、特別にチケットを貰えたからですよ?これも仕事中だという事をお忘れなく」
小嶋
「ッス、ウッス。流石は森山ちゃんだな。じゃ、早速行く…」
斎藤
「おい」
小嶋
「?先輩、どうしたんすか?」
斎藤
「どうしたんすか?じゃねーよ。何で俺も連れてこられてるんだよ」
森山
「頂いたチケットは三枚でしたので」
斎藤
「なら後一枚は他の奴に譲れよ。オッサンが来る場所じゃねーよここは」
小嶋
「なーに言ってんすか先輩!本当は可愛い後輩達に誘われて心はウッキウキなんでしょ!?」
斎藤
「いや全然」
小嶋
「えぇー……」
森山
「…それは何故ですか?確かに若者向けの遊園地で、40歳の先輩にとっては、とても似合わない場所ではありますが…他にも理由があるとでも?」
斎藤
「サラッと馬鹿にしてんじゃねーよ。…いや、単純に並ぶのが面倒なんだよ。なんでたった5分程度の乗り物の為に、2時間も立ちっぱなしで待たなきゃなんねーんだ」
小嶋
「それならご心配なく!今回貰ったチケットはプレミアムチケット!!たった数分待つだけでどのアトラクションも乗れるんですよ!?」
斎藤
「へぇーそいつはすげーや。じゃ、俺は喫煙所で適当に時間潰すから二人で楽しんでこいよ」
小嶋
「おぉい!!?斎藤ォ!!!」
斎藤
「ハァ…教えてやるよ、小嶋。俺にとって夢の国はキャット・シーなんかじゃない」
斎藤
「俺達ヘビースモーカーの夢の国は、喫煙所なんだよ!!」
小嶋
「カスみたいな事を胸張って言わないでくれます!?」
斎藤
「とにかく!並ばなくともいいだとかじゃなくて、俺はこういう場所にいたくないんだっての。お前らを置いて帰らないだけまだマシだと思って……」
森山
「…三人でアトラクションをキャッキャッと回って、楽しいをウフフと共感して…パーク内のショーに一緒に参加してウェーイと盛り上がる……それが出来ないのですね……」
小嶋
「…森山ちゃん、めっちゃ分かりやすく落ち込んでるじゃん……てか森山ちゃんも楽しみだったんだね、今日…」
森山
「正直に話しますと超楽しみにしてました。前日も8時間睡眠と良好です。……ですが、先輩が乗り気じゃないと分かって、今はしょんぼりジャンボ宝くじです……」
小嶋
「…ですって、先輩。あーあ、女の子を落ち込ませちゃった〜奥さんにもそんな冷たいんですか〜?」
斎藤
「ぐ……分かった、分かったよ。付き合ってやるから、そう落ち」
森山
「では行きましょう。パーク内の移動時間は限られていますので。いつまでもここで立っていては、何も始まりませんよ」
小嶋
「切り替え早ッ!?…ま、まぁこれで今度こそ楽しめそうだな!じゃあ今度こそ…!」
斎藤
「待て。乗る順番を間違えたら時間ロスに繋がる。まずは定番アトラクション【タワー・マジ・ヤバー】…その次に人気の【セントラル・ボルケーノ】に乗れば、丁度正午になるだろう。その時間ぐらいには丁度、パーク中央でショーが…」
小嶋
「いやめっちゃ詳しいじゃないっすか!!?」