6話【今更】
PM11:32 カレー専門店【ゴリラカレー】
高田
「なぁ黒木。俺、すげー事に気づいちゃったんだけどよ」
黒木
「すげー事?」
高田
「そう。黒木が双葉ちゃんといちゃついてたり、ジュリちゃんがリコリスでバイトしてたから、完全に感覚が麻痺ってたんだけど」
高田
「…俺達、この一年間でめっちゃ有名モデル達と対面してるくね?」
黒木
「…言われてみれば、確かに」
高田
「この間の撮影会の時なんかTOP4にも会えたわけだし、マジでやべーよな。つーか、Sunnaの事務所にも入室出来たのも普通に考えてエグいっていうか…なんなら黒木なんてスキャンダルのネタになったし」
黒木
「…一年前の自分に言っても、信じてくれない濃さだな」
高田
「それな。まさかあの時のランウェイチケット一枚から、ここまで広がるなんて俺も予想してなかったわ。俺と黒木の再会は、ガチで縁だったわけか。…で、どうなのよ?」
黒木
「どうなのって?」
高田
「バカ。これだけ日本中が注目しているモデル達と知り合いになった今も、双葉ちゃんを最も推してるのか?」
黒木
「うん。俺は双葉さんと何時迄も一緒にいたい。だから色んな人と出逢っても、この気持ちが変わることなんてないよ」
高田
「カァーッ!!甘いねぇー!!黒木の良い所めっちゃ出てる〜!!」
黒木
「は、ハハ…逆に高田もこの一年で多くのモデルの人達と知り合えた訳だけど…その気持ちはどうなんだ?」
高田
「俺?俺はなぁ…これでも尊死を何度もしている」
黒木
「尊死」
高田
「あぁ。…正直、あのスタジオを見学出来た日、何があったか殆ど覚えてねえんだわ。目の前に輝くモデルさん達が現れたと思ったら…気がつくと家にいた。何言ってるかわからねーと思うが、俺も何をされたかわからなかった。恐ろしい尊さを感じた訳よ」
黒木
「それが、尊死」
高田
「そう、これが尊死だ」
黒木
「……なるほど」
高田
「…うん、そう……そうなのよ……」
黒木
「……」
高田
「……」
黒木
「……カレー、遅いな」
高田
「おぉい黒木ィ!?俺がメッチャ滑ったみたいな空気出すのやめろぉ!?…とにかく!俺もこの一年沢山の有名人と会えて幸せだって事よ!」
黒木
「高田もそう思ってくれてるのは、俺も親友として嬉しいな」
高田
「よ、よせやいっ…まぁ、お前も双葉ちゃんと出逢って色々と変わってきたけど、俺と親友を続けてくれてるのはマジ嬉しいよ。…改めて言っておくわ。双葉ちゃんと再会できて本当に良かったな、黒木」
黒木
「…ありがとう、高田」
店員
「お待たせしました。ゴリマッチョカレー二人前です」
高田
「おっ、きたきた。よーし、さっさと飯食って、午後からは適当にブラブラしよーぜ。俺はただの一般人。休日の過ごし方もこれぐらいで良いのよ」