1話【モテる定義】
PM12:26 スーパー・リコリス 休憩室
壁掛けテレビにて街角インタビューが放送されている。休憩中の黒木・高田・ジュリは暇つぶしに三人で見ていた。
ずばりテーマは【モテる男性とモテない男性】
女性
『えー?やっぱり男の人にはぁー、もっとワイルドな感じがいいかなーって思いますねー』
インタビュアー
『ワイルド?』
女性
『はいー。なんていうかぁー、こうがっついてオラオラしてほしいって感じっていうかぁー』
インタビュアー
『では、モテない男性はどんな人だと思いますか?』
女性
『それはもう決まってますよ!優しいだけの男の人!』
インタビュアー
『?優しいのなら問題ないんじゃ…』
女性
『そうじゃなくてぇー。優しいのは勿論嬉しいけど、優しいだけだと毎日に刺激がないっていうかぁー。ぶっちゃけヘタレって感に見えちゃいますね!』
インタビュアー
『成る程…』
高田
「ほほー…成る程なぁ。確かに一理あるよな」
ジュリ
「え?マジで言ってます?」
高田
「そりゃあ勿論優しいのは前提だけどさ、優しすぎて逆にイジワルもされないのって、なんかつまんなくね?」
ジュリ
「いや、ないですね。このビッ……ンンッ、この女性が我儘なだけですよ。優しくされてつまらないなんて考える時点で、その人とは脈なし。良い歳こいて金色ラインの黒ジャージを着てる金髪野郎と、イチャついとけって言いたいですね」
高田
「どしたー…?その金髪野郎と良い思い出なかったかー?ジュリちゃん…?…じゃあジュリちゃんは優しい人がモテるって言いたいの?」
ジュリ
「そういうことじゃなくて、モテるもモテないも、異性の見方への拘りがあるでしょ。…まー、私が男を選ぶとしたら、ロックが趣味なのは第一前提ですね」
高田
「あっ、俺ロック好きだよ?居酒屋じゃいつもそれで飲んでるし」
ジュリ
「それウイスキーの事じゃねえか!……って、黒木さん。さっきから全ッ然会話に入ってこないですけど……」
黒木
「え?……あっ、いや。ワイルドの方がモテるんだなーって考えてて…」
高田
「…おい黒木。まさかだけど双葉ちゃんの事考えてなかったか?」
黒木
「えっ」
ジュリ
「黒木さんはそのままの黒木さんでいいんですよ……貴方がワイルドになんてなったら双葉さんは……」
ジュリ
「…多分、ツボに入って笑い死ぬと思いますね」
高田
「違いねぇな」
黒木
「そんなに…」
………
黒木、聡の屋敷に帰宅。
双葉
「おかえり!黒木さん!」
黒木
「ただいまです、双葉さん。…あの、双葉さん」
双葉
「んー?どうしたの?」
黒木
「……俺って、もっとワイルドになった方がいいですか?」
双葉
「……」
双葉
「なにそれ、めっちゃ面白そうじゃん」
黒木から詳細を聞いた双葉は、ジュリの予想通りツボに入ってしまい、暫くの間黒木の顔を見るだけで笑ってしまったそうな…