51.5話【其々の一場面】⑤
16.【嫉妬?】
双葉の最後のランウェイも無事に終え、其々スタジオで余韻に浸る中、黒木は難波とRABiと姫川の三人に囲まれていた。
双葉にとって必要な存在だと聞いているだけに、難波は一体どんな人物なのかと気になって仕方がないのである。それに無理矢理姫川とRABiも付き合わされている状況だ。
難波
「いやー、しっかし写真で見た時から思っとったけど!自分、メッチャクチャイケメンやな!スタイルもええし、そらぁ双葉も惚れるわけや!!」
黒木
「あ、ありがとうございます…?」
RABi
「違うよ難波さん!黒木さんが双葉さんにとって必要な存在なのは、顔とかじゃなくてチョー燃え盛る熱愛だからだって!!なんてったって黒木さんにとって双葉さんは【特別な存在】だからね!!」
黒木
「ね、熱愛?そういう意味で【特別な存在】と言うわけじゃ…」
難波
「ほあー!なるほどなぁ!!自分冷めた顔しとんのに、中身はアッツアツなわけか!?さては双葉と二人っきりの時は、えらい事なっとるんか!?」
RABi
「え!?そうなの!?」
黒木
「い、いえ…その…」
姫川
「あの…黒木さんが困ってますよ。すみません、せっかくの記念日だと言うのに…」
黒木
「だ、大丈夫です。…それよりも皆さんは確かTOP4と呼ばれるモデルの人達ですよね?」
難波
「おいおいおい!ウチらのこと知らんかったんか!?ええ度胸やないかい!この別嬪三人衆を見て、TOP4じゃなきゃ誰やねんっちゅうねん!!」
黒木
「は、はは…本当にその通りですね」
難波
「…へ?」
黒木
「俺、モデルの世界とかはあまり詳しくないのですが…皆さんを見て、何故TOP4と呼ばれるのかは分かる気がします。なんていうか…凄く眩しくてキラキラしてる様に見えて……とても美しいなって」
真面目な感想を言われてしまい、難波とRABiも弄るに弄れなくなり、たじたじとなる。
難波
「な、何や自分…こ、こういう時はもっとふざけてもええんやで?」
RABi
「やっばー…イケメンから真っ白な感想をもらえるなんて思わなかったから、流石の私でも今のはドキッとしちゃったよ…」
…ツン
黒木
「難波さんは凄くスタイルがいいし、RABiさんはPPシアターの時よりも、もっと可愛さに磨きをかけているのが伝わってきます。姫川さんも肌がとても白くて綺麗ですね」
ツンツンツン
難波
「ちょぉー!!やめーやぁー!!そんなん言っても何もでぇーへんでぇー!?」
RABi
「流石は黒木さんだね!私が最強に可愛いのは当然として、私の更なる可愛さの進化に気付くとは!」
ツンツンツンツン
黒木
「いや、俺は思った事を言っただけで別に…」
姫川
「…あの、黒木さん。さっきから…その…」
黒木
「…はい、そうですね」
姫川が会話に集中出来ず、黒木の横に目を向けている。
黒木の隣にはいつのまにやら双葉が立っていて、さっきから無言で彼の横腹を指で突き続けていた。
黒木
「…双葉さん?」
双葉
「TOP4も凄いけど、もっと凄い人がここにいるでしょ?」
難波
「なんやとコラ!?双葉!幾ら自分が主役の日やからって、TOP4を軽く見てるような言い方は……!」
黒木
「勿論です。俺には双葉さんの輝きが一番眩しいですよ」
そう言って何も照れる事なく直ぐに双葉を手で寄せて強く抱き締める。
双葉
「あはは、知ってる♫」
抱きしめられた双葉は嬉しそうに笑って抱き返す。
目の前で大胆な事をする二人に、三人はまじまじと見てしまう。
RABi
「ワーオ……」
難波
「お、おぉ…なんや…ホンマに熱々なんやな…」
姫川
「…でも、本当に幸せそうですね。双葉さん」
幸せそうに抱きしめ合う様子を、他のギャラリーも幸せを分け与えられている様な気分で見守れるのであった。
17.【おもしれー男】
十本木ヒルズにて、社長達の懇親会はまだまだ続く。KENGO達も会話が弾み、この時間を有意義に過ごしていた。
そんな中、元山の秘書であるスキンヘッドの白田が彼の隣に立ち小声で話す。
白田
「親父、少し宜しいでしょうか」
元山
「何やシロちゃん…ワシらは今、社長同士で楽しく会話をしとるっちゅうのが分から…」
白田
「申し訳ありません。…ですが、急ぎで親父にお伝えしなければならない事でして」
深刻な顔で話す白田に、それは何か悪い知らせだと元山は気付いた。
元山
「…皆さんすんません。少し席を外しますぅ。ワシのことは気にせんと楽しんでください」
KENGO
「?わかりました」
元山は軽く頭を下げて白田と共にその場を離れる。
元山
「…で、何や。その急がなあかん要件は?」
白田
「…はい。実はですね、この懇親会で用意されているビュッフェ……」
白田
「めっちゃくちゃ美味しいんですよ!!!」
パァン!!
スキンヘッドの白田の頭を元山は強く叩く。彼の頭から発せられた音はとても綺麗な音だった。元山は死神の様な形相で白田の胸ぐらを掴み上げる。
元山
「おま…ホンマ…いてこますぞコラ…」
白田
「ちゃ、ちゃうんです親父ィ!自分!こんな美味いビュッフェ食べた事なくて!!親父にも食事を楽しんでもらいたいんですわ!!食べ放題も時間制限ある境、早よ食べへんと元が取れませんよ!?」
元山
「バイキングで原価を気にするタイプかワレェ!?こっちは交流をしに来ただけで、食べ放題なんざどうでもええんじゃボケェ!!」
白田
「ハッ!?そ、そうだったんですね!!スミマセン親父!!俺が間違ってましたァ!!」
胸ぐらを掴む手を離すと白田は頭を床に付けて土下座をする。周りの視線が白田を注目する中、元山は溜息を吐いて彼の前に屈みこう言った。
元山
「…ワシのオススメはプリンアラモードや…」
白田
「…!!親父!!直ぐに食べてきます!!」
白田は目をキラキラと輝かしながら顔を上げるのだった。この二人のやり取りをKENGO達は遠くから見つめる。
秋本
「なんていうか…賑やかな人達ですのね」
KENGO
「ハ、ハハ……」