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【完結】Re:LIGHT  作者: アレテマス
第二幕
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51話【未来への輝き】


 12月某日。十本木ヒルズでは多くの企業の関係者と社長が集まり昼間からパーティー会場として使用されていた。


 この会場に集まるのは来年2月に開催される【Starlight Collection】に携わる者達。再投票の結果も発表され、出演するモデルも確定した事から今日は企業同士の懇親会が開かれたのである。プロの料理人がロングテーブルに豪華な料理を盛り付け、参加者はシャンパングラスを片手に楽しい一時を過ごす。


 そんな人々の中、KENGOは隣に秘書を連れて、ある人物を探す。その人物を遠目に見つけると嬉しそうな笑みを見せて駆け寄った。


KENGO

「元山さん」


元山

「おぉ、これはこれは…KENGOはんじゃあありゃしませんか」


ドス黒い笑みで迎えるは元山興業の社長【元山 誠義】


 難波がSunnaに移籍した後、元山興業からは他のモデルが起用される事はなかったが、前回のスタコレでは元山興業として難波が選ばれていたので、今回の懇親会にも呼ばれたそうだ。そして、元山の両隣には他の社長二名も立っていて、KENGOが合流する前から彼等は会話が弾んでいた。


 一人は眼鏡を掛けて落ち着いた雰囲気の男性は【ダニー中村】グッド・スターの現社長だ。


 そしてもう一人の気品ある年老いた女性は【秋本 沙織】此方はCinderella Productionの社長。


 この四人はスタコレの前よりも交流が深く、共に芸能界へ貢献してきた旧知の仲なのである。


中村

「KENGO社長。元気そうで何よりです」


KENGO

「はい、おかげさまで毎日元気で健康に過ごしてますよ」


秋本

「あら、KENGO社長はいつも元気でしょう?ソレに比べて元山社長は昨日もキャット・シーで一日遊んで疲れが残ってるみたいで…」


KENGO

「おや?そうだったんですか?その様子だと東京を満喫してるみたいですね、元山さん」


元山

「あんなゴッツおもろいテーマパークはなかなかありませんからねぇ…ま、関西が誇る【OSJ(オオサカ・スタジオ・ジャパン)】には敵いませんが…」


歓談を楽しむ四人。一通り世間話を終えると話題はスタコレへと移る。


中村

「さて、いよいよモデルの祭典、スタコレが近付いてきましたが…秋本さんからは初の参加になりますね?RABiさんの方はどうですか?」


秋本

「ええ、ドームツアーも終わったので集中出来ると気合を入れてましたわ。それになんだか最近は何か良い事があったのか…よりやる気に満ち溢れてる様に見えますね」


元山

「ほぉ…それは奇遇ですわ。ウチの難波もつい最近電話してきてのう…めっちゃ意気込みを語ってましたわ。態々電話で伝えてくるぐらいや…相当気合いが入っとるんやろうな。アイツの社長として嬉しいもんやでぇ」


KENGO

「皆さんはTOP4ですからね。ここまでスタコレを盛り上げるプロモーションをしてきた彼女達にとって、今回のスタコレへの想いはとても強いのでしょう」


そうは言うものの、KENGOには先日Sunnaで行われた双葉のランウェイが彼女達への良い刺激になった事だと気付いていた。中村はKENGOに顔を向けて話し掛ける。


中村

「ですが、これだけ各モデルが盛り上がっているからこそ、今年に退職してしまった双葉さんはとても残念に思いますね」


中村

「春香さんもこの半年で、Sunnaの顔と呼べる程までキャリアを積んで頑張ってきていますが…どうも、先日発売された双葉さんの最後の写真集を見ると…あの輝きを是非ともスタコレで見たかったと思いました」


残念がる中村の言葉にKENGOは決して頷かない。


KENGO

「ありがとうございます。ですが、あの写真集は双葉ちゃんにとって新しい道を進む扉に過ぎません。それにハルちゃんも、今じゃ双葉ちゃんに負けない程磨かれて輝いていますよ」


中村

「…そうですね。失礼しました、その様なつもりで言ったつもりはなかったのですが…不快にさせてしまったのなら申し訳ありません」


KENGO

「いえいえ、大丈夫です。双葉ちゃんが今も輝いているのも間違いじゃありませんからね」


お互いに気を遣い、場の空気が悪くなる事はない。正しく深い信頼関係を大切にするKENGOの人脈があってこそである。


元山

「そうそう、今日からTMA(トウキョウメガアリーナ)でリハーサルを再開してるみたいですねぇ。今頃ハルちゃんに負けず難波もゴッツ輝いとるやろなぁ…」


………


TMAメインホール


 凡そ一年ぶりのリハーサル。多くの関係者がホール内を行き交い忙しそうにしている。以前落下してしまった天井照明は丸印建設が外され、別の企業によって元通りに戻された。流星の様に細く無数の照明はとても見応えがあって美しく、モデル達が歩くステージを照らしている。


 今回選ばれたモデルは各自当日に向けて一生懸命にリハーサルに励んでいる。そして、今日から初参加であるダブル・アイのジュリはこの憧れのステージに目を輝かせて舞台を見回していた。


ジュリ

「すご〜…」


口を少し開いてキラキラと見渡すジュリの隣には、彼女の反応を面白く見つめる流王兄妹が立っている。


二奈

「前から思ってたけど、ジュリっぺってバリバリ分かりやすくね?今もチョーテンション上がってんじゃん」


ジュリ

「はぁ?別に?落ち着いてますけど?」


そう強がるも、体はソワソワと動き続けて落ち着いていない。


一馬

「体は正直みたいデスね。…まぁ、その気持ちはわかりマス。スタコレは何にも縛られずモデルとしての個性を晒しても許される場所。三年に一度行われるこの地は、正にモデルの楽園と言っても良いでショウ」


ジュリ

「確か…二人は過去に出たんだよね」


二奈

「そーそー!あの頃の流王兄妹は全盛期だったもんね!にーになんて三回も出てるんだよ!」


一馬

「今年は呼ばれず、我々の人気の低迷に苦しめられましが…ダブル・アイとして活動を続け、再びこの地に戻ってこれたのは、とても喜ばしい事デスね」


いつも真顔の一馬が珍しく微笑んでいる。ジュリは彼の表情を横目に態とらしく溜息を吐いて頭を掻いた。


ジュリ

「…滑り込みでの参加だけどさ?せっかく出られたんだし、観客にインパクト残せるぐらい派手にやろーじゃん」


二奈

「モチモチろん!!くぅーッ!今からでもチョー面白くなってきたぁー!!」


一馬

「ふむ、では手品なんてどうでショウ?僕、口からトランプを出すことは出来マスよ?」


ジュリ

「いやモデルとしてインパクトを残せよ!?ちょっと気になるのもムカつくんですけど!」


二奈

「え…にーにそんなこと出来るの…?怖…」


ジュリ

「しかも妹も知らない特技なのかよ!?そんでもってアンタはそこ引く様なキャラじゃないでしょ!?」


初参加のジュリと、久しぶりの参加の流王兄妹は其々この夢の舞台に気合が入っていた。



 そして、それはダブル・アイだけでなくTOP4も同じである。ランウェイのステージの上ではRABiがPP⭐︎STARのメンバーを引き連れアイドルパフォーマンスを披露していた。PP⭐︎STARのメンバーは今回ゲストとして呼ばれる事が決まったらしい。


 衣装もアイドルらしい可愛い要素とカジュアルを組み合わせたもので、二つのキャリアとして輝くRABiにはとても似合う姿である。


 まるでアイドルのライブを見にきた様な派手な演出に、難波と姫川は観客席から彼女に見惚れている。


難波

「ほぁー…アイドルのパフォーマンスをこんなに間近で見るの初めてやけど、すっごい迫力やなー」


姫川

「そうですね。アイドルとしても輝きを見せるRABiさん…流石としか言いようがありません」


RABiは此方を見ている難波達に気付くと笑顔で手を振ってきたので、二人とも直ぐに手を振り返した。


 ランウェイの上で最高に個性を披露する彼女を見守りながら、二人は会話を続ける。


難波

「…なぁ姫川。この間の双葉を見た時、RABiは【壁】を感じたって言ってたやん。…あの時、アンタには双葉はどう見えた?」


姫川

「…?どういうことですか?」


難波

「いや、正直ウチからすればアレほど輝いてるRABiでさえも、双葉という存在が別次元だと思っとるのが意外やったというか…」


難波

RABi(あいつ)って、めっちゃ凄いやん?アイドルとしてもモデルとしても、キャリアを成功してる実力者や。…でも、それ以上に凄い【ネクストモデル】のアンタにも【壁】を感じたのかって思ってな。どうやった?」


姫川

「…私は…」


難波の質問に少し俯き姫川は考える。


 あの日の夜、二度と会えないのだと諦めていた人が目の前に現れて、再び我々の心に響く輝きを見せた。それは、会う前にずっと思っていた彼女の秘密さえも光で打ち消してしまい、あの夜を境に双葉の幻覚も一切見えなくなったのである。



姫川にはそれがどういう事か分かっていた。



 今まで自分の中で思い描いていた双葉への憧れは、彼女が抱える秘密を知ったショックと混ざり合って混沌が生まれ、自分の前に幻覚として現れて苦しめてきた。


 しかしそれは、ただ姫川の中で生きる双葉の【幻想】が勝手に脳内で暴走していただけなのである。


 本物を目の当たりにして確信したのは、そんな【幻想】なんてどうでも良かったという事。どんなに【パーフェクトモデル】と称えられ神の様な存在に扱われようと所詮は人間。人間として生きている以上、誰であろうと人には言えない秘密なんて一つ二つと抱えているものなのだ。


大事なのは、モデルとして最後まで輝きを放った彼女の【美学】


 全盛期の頃の輝きこそあの時には見られなかったが、自分のキャリアの最後まで、人々に弱い所を見せずに貫いた彼女の姿こそ、【本物】の美しさだったのである。その麗姿(れいし)こそ、姫川がずっと一人で抱えていた悩みも吹き飛ばしたのだ。


 その答えが分かった今の姫川には、難波の言う【壁】への答えが導き出せる。彼女は一人でに頷き、ゆっくりと顔を上げると、難波の質問に答えた。


姫川

「…確かに、RABiさんが言ってる【壁】という意味もわかります。あの人の輝きは、誰にも真似が出来ないものだと思いました。…ですが、何時迄もその輝きを【壁】として見上げていては、私達は前に進めません」


姫川

「私達は、そして、これから輝くモデル達はあの【壁】を超えて、その光を【壁】の先にいる人々に見せないといけないのです。双葉さんが最後に、私達の心を照らしてくれた様に、私達も誰かの心を照らす存在にならなければなりません…それが、【パーフェクトモデル】として生きた、双葉さんへの最大の敬意じゃないかと私は思います」


難波

「…それが【ネクストモデル】としてのコメントか。流石やな、姫川は」


姫川は真っ直ぐ、ランウェイの舞台を見つめながら静かに首を横に振る。彼女の視線の先には、周りのスタッフも手を止めて見惚れる程美しく魅せる春香の姿があった。


姫川

「そんな事ありません…それよりも【パーフェクトモデル】への【幻想】に囚われている春香さんが、私は心配です」


難波

「…せやな。最近様子がおかしいとは思っとったけど、日に日に酷くなってる気がするわ」


姫川

「そうですね。…このままだと双葉さんと同じ道を、春香さんは歩む事になる。…そんな事はさせない」


難波

「…?」


小さく呟いた姫川の言葉は難波には聞こえなかった。


 すると、姫川は(おもむろ)にスマホを取り出してアルバムを開くと、彼女が撮った双葉の背中姿を、何の迷いもなく削除ボタンで消したのである。


 一瞬の出来事に、隣にいた難波は画面を見る間も無く、何が起きたのかも理解が追いついていない。姫川は真剣な表情で、難波の方へと振り返る。


姫川

「…難波さん。もしも春香さんが【パーフェクトモデル】と同じ道を辿る事になったら、私達で彼女を助けましょう」


難波

「…?どういうことや?」


姫川

「【パーフェクトモデル】は本人にとっては最高の名誉ではなく、【呪い】なんですよ。それを止めれるのは、周りの仲間だけです」


姫川

「私は、こんな私を受け入れてくれた皆さんを信じて共に進みたい。…私ももう、一人で抱えるのも辞めます。TOP4の皆さんと一緒に、私も輝きたいから」


信念あるその瞳は、彼女の覚悟が難波に伝わる。


難波

「…アンタにもなんかあったんやろうな。深くは聞くつもりはないし、そんなん言われなくともウチらはとっくに支え合う仲間やで?まぁなんや……お互いに助けて頑張っていこーや」


そう言ってニカッと笑い手を差し出す。差し出された手を強く握り返し、姫川は微笑んだ。


RABi

「ちょっとちょっとー!!なんか楽しそーじゃん!?私も会話に混ぜてよー!」


難波

「おわっ!?もう戻ってきたんかいな!?ちょっ、近い近い!!汗拭いたんやろうな!?ばっちぃぞ!!」


RABi

「拭いてるに決まってるでしょ!?てゆーか、最高に可愛いRABiの汗は汚くありませーん!!」


姫川

「…フフッ」


後ろからリハーサルを終えたRABiが二人の間に割り込んでくる。


 この半年間、TOP4は企業戦略として結成されただけでなく、共に成長してきた仲間として友情が生まれていたのである。他の人から見れば微笑ましい関係ではあるが、その様子を遠くから見ていた華城だけが腕を組んで舌打ちを鳴らしていた。


華城

「…アイツももうダメね」


………


 場所は変わって街中。クリスマスに備え街はイルミネーションで色鮮やかに照らされる。


 体の芯まで凍えそうな程突き刺さる気温。寒さから身を守るのにマフラーを巻いてロングコートを着用した黒木は先程仕事が終わり、スマホを耳に当てながら街を歩いて行く。


 電話相手は彼の妹、恵。最近まで大学が忙しく、連絡が出来なかったらしいが今日、伝えたい事があって彼女から電話をしてきたのである。。


『もー!お兄ちゃん!双葉さんとは兄妹だなんてスキャンダルされてから、こっちも大変だったんだからね!家族揃って、地元のお兄ちゃんを知ってる人達全員から質問責めされたんだよ!?似てるけど違う人だって何回言ったか…!』


黒木

「いや…俺もまさか撮られてるとは思ってなかったから。ごめんな、そっちにも迷惑をかけちゃって」


『まー仕方がないことだよね。みんながみんな、双葉さんのその後が気になってたのは本当だったし』


『って、そんなのもうよくて…あのねあのね!双葉さんの写真集、買ったよ!スッゴく綺麗で一枚一枚尊死するかと思っちゃった!お父さんとお母さんにも協力してもらえて三冊も買えたんだよ!』


黒木

「そうなんだ。沢山買えて良かったな、恵」


『うん!…それでね、お別れはやっぱり寂しいけれど…最後に双葉さんが書いてくれた、あのメッセージのおかげで、沢山のファンの人が救われたと思うよ。それでその企画をしたのは…お兄ちゃんなんだってね!』


黒木

「え…?どうして恵が知ってるんだ?」


『この間、双葉さんから電話が掛かってきたんだ!【私一人じゃここまで出来なかった】ってお兄ちゃんの事感謝してたよ!』


『私じゃなく、直接お兄ちゃんに言えば良いのにって返したら【今までもずっとお礼の言葉を言っちゃってるから、飽きられてるかも】だって!お兄ちゃん、そんなにお礼を言われてるなんて…本当に双葉さんにとって大切な人なんだね!』


黒木

「…そうなんだ」


嬉しそうに報告する妹の声を聞き、黒木はその場で歩く足を止めて微笑む。ふと、鼻に冷たいものが当たり、空を見上げるとちらほらと雪が降り始めた。


『ねぇねぇ、元旦は双葉さんも連れて実家に帰ってきてよ!お母さんも双葉さんが来るってわかったら絶対に喜ぶよ!』


黒木

「分かった。双葉さんにも伝えておくよ。…そうだ、それなら丁度良かったかもしれないな。双葉さんと俺は…」


『…?』


二人は家族になる事を言い掛けるも、それは元旦でのサプライズとして置いた方が面白いだろうと彼の口は止まった。


 双葉と出会う前の彼ならば淡々と報告するはずだが、相手を驚かせようと考えれる様になった辺りに、感情の成長があったのだ。今からでも驚く事が見える未来に、黒木は思わず鼻で笑ってしまう。


黒木

「…いや、なんでもない。元旦になったらまた伝えるよ。恵、最近は凄く寒くなってきたし、風邪を引かないように過ごすんだぞ。それじゃあ元旦で」


『え?何?お兄ちゃん?もしもー…!』


黒木は一方的に電話を切り、スマホをポケットに戻して街を歩き出した。歩く足が向かう先は双葉が待つ聡の屋敷。少しでも、一秒でも、彼女の隣にいたいという強い思いを胸に帰っていくのだった。



 そして、街中で秀樹の行方を探す斎藤と工藤の横を黒木はすれ違うも、彼等はお互いに気付かなかった。降り出した雪により体が凍え、寒いのが嫌いな工藤は体を(さす)りながら、この終わりが見えない捜索に白い溜息を吐く。


工藤

「全然手掛かりが掴めないなぁ…しかも雪が強くなってきて最悪だ…斎藤、一旦近くのカフェで休憩でもしないか?」


斎藤

「さっきしたところだろ…しかし、これだけ探しても見つからないとなると…既に東京を離れてるのか…いや、奴はそんな人間じゃないはずだ…そうなると何処かに身を潜めているのか…?」


工藤

「まぁ…そもそもこんな大都会でたった一人を見つけろって言うのも気が遠くなる話だけどね…っと、失礼」


工藤のスマホから着信が鳴り彼は直ぐ様ポケットから取り出して耳に当てる。音量はスピーカーに変更して隣にいる斎藤にも聞こえるように配慮した。


工藤

「お疲れ白石ちゃん。どうしたんだい?」


白石

『お疲れ様っす、工藤さん。そっちの方は、どうっすか?』


工藤

「ダメダメ、全然進展なし。白石ちゃんはどうなの?」


白石

『いえ、俺の方もダメっすね……ですが、少し気になる事がありました』


工藤

「気になる事?」


白石

『はい。…数十年前、テレビでブレイクしていた【石神 昂】をご存知ですか?当時の俺はガキだったんで、あまり詳しくはないんですが…』


工藤

「あぁ、知ってるよ。当時大人気だった元芸能人で、今は落ちぶれてホームレスになってるはずだ。…それが、どうかしたのか?」


白石

『はい。…さっき、石神と思われる人物を見つけたんですが…身嗜みが綺麗になってました。石神の話は、髪と髭が凄く伸びてて、服は酷く汚れてるって聞いていたんで…俺が目にした石神は、まるで別人の様に見えましたね』


白石

『一応、Goggle(ゴーグル)の画像検索で芸能時代の石神を検索して顔を比べてみました。時が経って老けてはいますが…本人で間違いないです』


白石

『金一文無しの野朗が、突然身なりを綺麗にするなんておかしいでしょ。それにこのタイミング……何か裏があるとは思いませんか?』


工藤

「…白石ちゃん。直ぐにそっちへ合流するよ」


工藤は電話を切り横目で斎藤の方を見る。目があった彼は静かに頷く。


斎藤

「この手口…半田の時とそっくりだ。工藤、急いだ方がいいな」


工藤

「だね。…何も裏がなければ良いんだけど……ねぇ」


妙な胸騒ぎがして止まない二人は街中を歩む。果たしてこの予感を男達は止める事が出来るのだろうか。



そして日は過ぎて12月25日。クリスマスが訪れたのである。


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