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後頭部に口づけを

作者: ゆう

軽く走り込みをしていれば、せんぱあいと、呼ぶ声がする。

振り返ることなく分かるそれは、俺の可愛い後輩の声。



――陸上部の後輩が可愛い。

何が可愛いって、ただひたすらに全てが可愛いんだ。


「先輩、ジャージ持ってますからどうぞ」


「ん」


頂戴と、両腕を出してくるため反射的にジャージを手渡すが、普通に考えればどこの付き人だという感じで――

マネージャーでもないのだからやり過ぎだと注意すると、彼女はいいえそんな事無いですという。


アップをしていれば、背中を支えてくれたりするのは彼女だけ。

他の後輩は後輩同士で行っている。

先輩は私がやりますというので任せているが、若干後輩同士の仲が良くないのか心配になってくるレベルで俺の元にやってくるのだ。


自分の出番何てどうでもいいと言いながら、俺のジャージを持ってくるのが早かったりする彼女。

自分の分と一緒に用意してくれた俺用の水筒にちょっと驚き、そしてやり過ぎと言いながら額をデコピンしたのは記憶に真新しいほどだ。


兎に角可愛いのだ、後輩が。

俺の為を思ってくれるのが分かる為、凄く可愛いのである。







「絶対に全国大会行けますよ!先輩ならぜったい確実です!」


そう言われても微妙なラインだから、と思っていれば、必ず行けるよという。

そうかなあ?


俺はあがり症だから、なおの事いけないよと言ったのに、必ず決勝に行けますからと言われたら、もう魔法にかかったようにそうなって・・・


今は決勝。

県大会はもうすぐだ。



「先輩いけー!!」



俺、御前の為なら全国位行けるかも。

本当に。




決勝に俺は、結局のところ勝ち上がり、有名校に進学することになった。

所謂スポーツ特待生ってやつである。

そしたら後輩は俺を追いかけてきて、言うのだ。


「先輩と同じ学校に行きたくて、来ました!」


と。



後輩の母親曰く、偏差値を10も上げて頑張ったらしい。

面はゆさを感じながら俺は、後輩の頭を撫でた。



結婚しよ



「俺お前が好きだわ」


何て恰好付けてる場合じゃないんだけど、こういう時くらいは格好つけさせてくれ。


後頭部に口づけを一つ落として。



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