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最強の肉体!全裸で永眠はご勘弁!

拝啓

穏やかな小春日和が続いております。

神様の皆様にはますますのご清祥のことと存じます。

突然ですが、俺は今死にそうです。


現在、異世界へと転生された俺は全力で走っている。


テレビでしか見たことのない大森林を全力疾走で駆け抜ける。なんて爽快な気分なんだ。全身が風に包まれている様だ。


ーーーーーーーーーーーー背後から木々を薙ぎ倒しながら追い掛けてくる馬鹿でかい猪みたいなやつがいなければの話なんだが…。




話は数分前に遡る。

ボルボにあの場所から突き落とされた後、陽の光を遮るように生い茂る木々が立ち並んだ森の中に落ちた。長い時間落下していたような感覚だったんだがな…ちょっと痛いけど怪我はない。


「いてて…急に突き落とすなよな。まて、俺の顔…嫌だ…ホスト顔なんて絶対嫌だ…。泣きたい。」


お尻を摩りながら立ち上がる。同時に顔をペタペタ触りながら別れ際にボルボが言った「外見も変えた」という事に軽くショックを受けていた。いや、前の外見が気に入っていたわけではない。低身長にパッとしない顔。しかしだ!外見変えれるならリクエストさせてよ!?

溜息を吐きながらお尻を触ってハッとした。

まて…なんで…?嘘だ…。

こ、こんなの聞いてないよ。


そう、俺は全裸だった。


「はぁぁぁぁぁ!?バッカじゃねーのぉ!?はぁぁぁぁ!?なんで!?ねぇなんで服着てないのぉ!?」


絶叫しながら咄嗟に股間を隠す。

周辺に誰かいないか見渡すが、どうやら人の気配はない。

ん?…俺の息子てこんなにデカかったか?デカすぎね?

ちょっとまてよ。なんか身体も異様に筋肉つき過ぎてないか?これホントに俺の身体か?

俺は自分の身体を触りながら確認する。力を入れずとも隆起した筋肉。程よく浮き出た血管。身長もかなり高くなったんじゃないか?


「…ガリマッチョじゃなくてよかった。息子も大きくして下さり感謝致しますよ!神様!!」


こりゃあ理想の肉体だ!憧れ続けた戦士の身体だ!

どうやらボルボは俺と似た感性を持っている様だ。

童貞なのに陰部が巨大なのはきっと俺の輝かしい未来の為っ!



「しかし、せめて服くらいは用意してほしいよな…。」



森に全裸で解き放つとか俺をどうしたいの?特殊な性癖にでもしたいの?



「んー…。どうしたもんか。とりあえず服をどうにかしないといかんな。しかし、こんな森に人なんかいるのか?」



見渡す限り木、木、木。しかも空も見えないほどの大樹だ。人が通った形跡もない。

まだ日中なのが幸いか…恥ずかしいが人を探して服を貰おう。追剝ぎにでもあったと言えば助けてもらえるだろう。


俺はとりあえず歩く事にした。

知らない森の中を進むのは危険なのは百も承知だが、このままずっと此処に居てもどうしようもない。


所々苔の生えた地面を進もうと最初の一歩を踏み出した時に僅かな音が耳に入った。



「フゥ…フゥ…フゥ…」




なんか…いる。

50メートルくらい先に軽自動車くらいの猪みたいなのがこっち見てる。

何あれ。牙?象くらいあんじゃね?あ、なんか前足蹴ってる。あぁ…見たことあるなぁこんなシーン。

来る?来るよね??




「グォオオオーーーッ!!!!」




猪みたいな奴は頭を振り回し、雄叫びを上げると俺目掛けて真っ直ぐ突っ込んで来た。進行方向にある木々など物ともせず薙ぎ倒しながらもその眼光はしっかりと俺を捉えている。



「ですよねーっ!!!やっぱそうなりますよねっ!」



俺は全速力で逃げ出した。

一歩踏み出す毎に大腿部に以前より巨大化した棒状の物体がビッタンビッタンと叩きつけるが、そんな事はどうでもいい。まずは生き延びる事だ。

どうやらこの肉体は運動能力に長けている様だ。かなりのスピードが出る。しかし、このままだと捕まるのは時間の問題か…

かと言って倒せる相手か?

あんな猪、仲間と一緒に狩るゲームでしか見たことねーよ!




「なんだ彼奴…」


必死に逃げる健一郎を巨大な木の上から見つめる影があった。


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