前書き 0日目
ある朝、いつものように朝食を食べていると家の扉が叩かれた。
「来客か?しかし何故こんな時間に…」
そう呟きながら私は扉を開ける。
するとそこには3年以上会っていなかった仲間、ダインの姿があった。
「よおルディス、久しぶりだな!」
ダインは私が冒険者をやっていた時の仲間だったが、私が冒険者を引退してからは会っていなかった。
ちなみにルディスというのは私の名前である。
「久しぶりだなダイン。それにしてもどうしてこんな所まで来たんだ?」
「ああ、最近あるダンジョンに潜っていたんだがな?そこでこんな物を見つけたんだ」
そう言うとダインは懐から1冊の本を取り出し私に手渡した。
最初のページを開くとそこにはこう書かれていた。
もしこの日記を見ている者がルディス・モントというエルフを知っているのならどうかこれを彼に渡してほしい。
「…こんな歳になってイタズラか?」
「いや違う。これは俺達が虚無の迷宮42層で見つけた物なんだが、最初からこの文字が書かれていたんだ」
「虚無の迷宮42層だと!?」
「ふふふ、俺達だって成長しているんだ…って違う!問題はその本にお前の名前が書かれていた事だ!なにか知っているのかと思って持ってきたんだが、心当たりはあるか?」
「いや、ないが…これを読んで見てもいいか?」
「いいぞ。ああ、しばらくはこの街にいるからなにかわかったら教えろよ!じゃあな!」
そう言うとダインは去っていった。
「3年経っても相変わらず嵐のような奴だったな…さて一体何が書かれているのか確かめてみるとしようか」
私は椅子に座りページをめくった。
◇◇◇◇◇
「さて、そろそろ始めるとするか」
部屋に私の声が響く。
私の名はルディス・モント。
281歳のエルフで、エルフの中では若い方だ。
そんな私は体に老いが見えてきたため、時間操作という魔術を使い体の時を戻す準備をしていた。
簡単に説明すると、まず床にフェニックスの血で魔法陣を描き、完成した魔法陣の上に11個の触媒を設置する。
準備を30分程で終わらせると、私は魔法陣の中心に立ち時間操作を発動させた。
時間操作では、記憶が逆行して消えてしまわないように魂と体を分離する。
次に体の時間を戻す。
最後に魂を体に戻すのだが…
ここで問題が起こった。
何故か魂が時間操作とは違う力に引き寄せられ始めたのだ。
「何故だ、これまでの過程は完璧だったはずだぞ!」
必死に魂を体に戻そうとするが引き寄せる力の方が強く、私の魂は何処かへと引き寄せられ意識は闇へと落ちていった。
◇◇◇◇◇
次に意識が戻った時、私がいた場所は白い部屋の中だった。
体を見ると、時間操作で戻した物と同じようで少し安心する。
周りには私の他に数十人の人間がいるようだったが、エルフは私1人だけのようで視線が集まっているのがわかった。
まあ、そんなことはどうでもいい。
今重要なのはどうしてこんな所にいるのか、だ。
これだけ人が集まっているのだから、あの力は人為的な物なのだろうが…
そこまで考えた所でどこからか女性の声が聞こえてきた。
「皆さんこんにちはー。いろいろと混乱してるだろうから簡単に説明させてもらうよー。質問があったら最後に聞くから大人しく聞いててねー?まず最初に皆さんは死にましたー。それから転生のチャンスを得たのでここにいまーす」
この言葉に対し何人かが
「おい、俺が死んだってどうゆう事だよ!」
などと言うが、声の主はまるで聞こえていないかのように話を続ける。
「そして転生してもらう上でやって欲しいことだけどー世界を救って欲しいんだー。今から君達が行く世界はー色々な事が原因で滅びかけているんだー。ということでー君達には特殊なスキルをプレゼントするよー?今からそっちに表示するから好きな物を選んでねー。あ、質問があったらこれに書いてねー」
声の主がそう言うと、目の前に薄い半透明の板が現れた。
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▽獲得可能スキル
質問コーナー
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…これは一体なんなんだ?
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