断片 果ての端の始まり
――あなたは?
さぁ。自分が何かも、あまり興味がない。
――どうして?
いる意味が分からなくなっちまった。
――じゃあ、こっちに遊びに来ては?
はっ。――まぁそれもいいかもな。でもな、それは制約が多い。
――それでも、試してみる価値はないかしら。
あぁ、なるほど。確かにそれはいい。
――……。
このくそったれなトコよりかは、俺も生きる意味が分かりそうだ。
――一つ教えることがあるのだけれど。
あぁ?
――生きることは意味があることじゃない。意味は生きた後にできるものよ。私はそう思ってるし、そうありたいもの。
講釈をたれるたあな。俺を何だと思ってんだが。
――まぁ、言いたいことはそれだけだわ。そろそろ時間よ。
そうだな。
――期待してるわ。
* * * * * * *
それは果て。果てといっても、たどり着くことのできない意地の悪いモノではあるが。
その果ての端。そこに膝に手をつき方を上下させている女性がいた。
「はぁ、はぁ、はぁ……。あいつ、とんでもないことしてくれるわね……!」
彼女が怒りを体に宿しながら睨む先は、陸の先に無限に広がる雲海にできた不自然な穴だった。
その穴の先は黒に染まっており、様子をうかがうことはできない。
「この事態がお父様に知れたらどうなるか……あぁもう考えただけで最悪だわ!」
彼女は脱力したように座り込み、これから自分が報告しなければならない事を考えて叫ぶ。
「どう考えたって言い訳も偽装もできないじゃない……。面倒なら私のいないときにやりなさいよ!!!」
その叫びに耳を傾ける存在は当然いない。
彼女の不幸な点は、この段階でもっとも思いついてはいけない手段を思いついてしまうことだろう。
「そうだわ!わたしも言ってお父様に見つかる前にあいつを連れ戻せばいいのよ!!私ってば天才~~♪」
そういって立ち上がり、雲海の穴を覗き見る。
「あいつの開けた穴があるから制約はあんまり関係ないわね。おそらく時間と空間はずれるだろうけど、まぁすぐに見つけ出せるわ!!」
そう一人結論付けた彼女はそのまま穴に飛び込んでいった。
そして、この一連の出来事は、その世界で3柱の神が脱走するという前代未聞の事態に発展するのだった。