反応
言うべきことは言うべきときにか。
ベッドの上から天井を眺めている。
・・・。
無意識に携帯を手に取っていた。
アドレス帳を検索する。
探していた名前が画面に表示される。
少し躊躇ったが通話ボタンを押した。
呼び出し音が聞こえる。
一回。
二回。
三回。
香子「もしもし、遡田君?」
遡田「おう」
香子「こんな時間にどうしたの?」
遡田「いや、今何やってるのかと思って」
香子「なにそれ、超怪しいんですけど」
遡田「怪しいってなんだよ!」
香子「あはは、いつもの調子に戻ったね」
遡田「むしろ調子狂ったわ」
香子「今はね、まだ研究のお手伝いしてるよ」
遡田「あれからずっとか、大変だな」
香子「うん、でも今回はいつもと違う反応が出てるんだ」
遡田「違う反応?」
香子「もしかしたらこれがお父さんが見つけようとしてる反応かもしれない」
遡田「まじかよ!ってことはいよいよタイムトラベルか?」
香子「それはまだまだ先かな」
遡田「そうなのか」
香子「で、何か用があるんでしょ?」
遡田「まぁ、なんというか・・・」
香子「あと三秒待ちます」
遡田「・・・」
香子「さーん」
遡田「・・・」
香子「にー」
遡田「・・・」
香子「いーち」
遡田「明日さ」
香子「ん?」
遡田「明日、会ってくれないか?話したいことがあるんだ」
香子「いいけど・・二人だけ?」
遡田「二人だけ」
香子「・・分かった、いいよ」
遡田「明日の12時にいつもの公園で待ってる」
香子「うん」
遡田「おやすみ」
香子「おやすみ」
携帯を持つ手からは滝のような汗が流れ出ていた。