気持ち
学校からの帰り道。
遡田「やっぱり勉強した後に食う肉まんは美味いな」
時田「ピザまんには敵わない」
コンビニで買った肉まんを頬張りながら歩く。
ちなみに買い食いは校則で禁止されている。
時田「お前さ」
遡田「ん?」
時田「香子のこと、どう思ってるんだ?」
遡田「何だよ、急に」
時田「こうゆう話は急にするもんだろ」
遡田「どうもこうもただの」
時田「ただの友達か?それともただの幼馴染か?」
遡田「やけにつっかかるな、何が言いたいんだよ」
時田「分かるだろ、もう高校最後の夏なんだ」
遡田「・・・」
時田「香子がこの三年間で何回告白されたか知ってるか?」
遡田「そんな話一度も・・」
時田「話したらお前は距離を置こうとするだろ」
遡田「・・・」
時田「たしかにあいつの家庭はわけありだ。でもな、そんなもんどうでもいいと思えるくらいの魅力を確かに持ってる。それに周りの奴らも気付いたんだよ」
遡田「・・・」
時田「もう香子にとってお前は必要な存在ではなくなってるんだよ」
遡田「・・・ッ!!」
おれは時田を殴っていた。
遡田「知ったようなことを!!」
時田「いいか!!人の気持ちは一生じゃない!!
言うべきことは言うべきときに言わないと、何の意味も持たない」
遡田「・・・」
時田「頭を冷やしてからよく考えてみろ。
香子の気持ちと、お前自身の気持ちを」
時田が去った後、おれはただ茫然と立ち尽くしていた。
何を考えるわけでもなく、頭を冷やすために。