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時を遡る男  作者: 秋
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転校生

翌日の朝の会。


?「時田守です。よろしくお願いします」


香子の情報通り転校生が教室の前に立ち自己紹介を始めた。


眼鏡をかけていかにもインテリな雰囲気だ。


香子「頭良さそうな子だね」


心なしか嬉しそうに見える香子の顔に腹が立った。


遡田「どうだかな」


先生「みんないろいろと教えてあげてね。席はそうね・・」


嫌な予感がした。


あぁ神様、それだけは勘弁してください。


先生「遡田君の隣が空いてるわね」


神に見放された瞬間だった。


一歩づつ近づいてくる転校生。


目の前まで来て立ち止まるとこちらに手を伸ばしてきた。


時田「よろしく」


遡田「・・・よろしく」


この上なくぎこちない挨拶を交わした。


その日の授業もいつも通り大半を居眠りで過ごした。


そして休み時間。


香子「さっきの授業、最初から最後まで寝てたでしょ」


遡田「最近は途中で起こされなくなったからな」


香子「怒ってくれてるうちが花なんだよ」


遡田「あれは怒ってるじゃなくて怒鳴ってるって言うんだよ」


香子「もう授業についてこれなくなっても知らないから」


遡田「ご勝手に」


内心ではかなり焦っていた。


時田「仲いいんだな、お前ら」


突然会話に入ってきたのは転校生の時田だった。


遡田「1ミリも仲良くなんかない」


香子「・・・」


香子が睨めつけてくる。


時田「誰がどう見ても仲良いと思うけど」


香子「私たち幼馴染なんだ」


時田「へぇー、羨ましいな、そういうの」


遡田「ただの腐れ縁ってやつだよ」


香子「・・・」


香子が睨めつけてくる。


香子「そうだ!今日は三人で一緒に帰ろうよ!」


おれと香子の家は近くいつも二人で帰っていた。


このときの正直な気持ちは、


一人で帰った方がマシ。


だったけど昨日の香子の言葉がどうしても頭から離れなかった。


『私は欲しいな、友達』


おれは観念して三人で帰ることに賛同した。


最初は時田のことをいけ好かない奴だと思っていた。


でも話してみると印象はだいぶ変わった。


くだらない話が好きでよく笑う奴だった。


それに決して周りの人間を見下さず常に何かを学ぼうとさえしていた。


おれが初めて尊敬できると思えた奴だった。


この日からおれと香子と時田の三人で帰るようになった。


そしておれ達は共に笑い合える仲になった。

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