幼馴染
?「寝たら駄目だよ」
遡田「もう授業は終わっただろ・・」
?「まだ帰りの会があります」
遡田「相変わらずだな、世話焼き香子は・・」
香子「遡田君が焼かしてるんじゃない」
隣の席の女子。
名前は堂島香子。
おれと香子は生まれた時からの幼馴染だ。
規則に厳しい性格でとにかくおれの生活態度が気に食わないらしい。
小姑かこいつは、とツッコミたくなる。
香子「あ、今小姑かこいつは、って思ったでしょ」
遡田「思ってない」
時折するどい洞察力を見せることもある。
香子「そうえいば明日転校生が来るらいしいよ」
遡田「どうでもいい」
香子「友達になれるかもしれないじゃん」
遡田「・・・」
おれと香子には友達がいなかった。
小学生からこんなにすかした奴と友達になりたい奴なんてそうそういない。
でも香子は違う。
こいつは明るくて誰よりも優しい心を持っている。
香子に友達ができない理由は親父さんにあった。
この辺りで堂島博士といえば悪い方の意味で有名人だ。
堂島博士は変わり者でいつもよく分からない研究をしていた。
そのうち何か危険な物を作っているんじゃないかという噂が広まり始めた。
そんな堂島博士の娘である香子に対しても軽蔑の眼差しは向けられた。
親の態度は子に伝わる。
入学してからも周りの奴らから距離を置かれ続けた。
香子には何の罪もないのに。
遡田「友達なんて必要ないだろ」
香子「私は欲しいな、友達」
おれは何と返せばいいのか分からず寝たふりをした。