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進路指導。

 日本には古くから諺で色々な教訓を授かってきました。

 美人は一日で飽きるがブスは三日で慣れてくるとか。

 禿げとバカは一度みたら忘れないって僕は思うのです。

 しかし世の中バカな子ほど可愛いと昔から言われていますが、それでも限度は御座います。


「せんせぇ~入るよん」


 ノックすらせずに進路指導室にズカズカと入って来た少女は、少し色を抜いて茶髪に近いが校則違反では無いものの改造制服で自己主張をしまくる我儘過ぎるボディを惜しげもなく晒している。

 彼女を席に座らせると、一枚の紙を取り出す。

 進路調査表である。


「お前なぁなんで呼ばれたか解ってるのか?」

「それは進路調査の紙だよね」


 僕は初めて受け持った生徒達の進路を読んで嬉しく思ったり、心配をしたりしたものなのだ。

 だけど、目の前の女生徒の進路を見て愕然とした。


 今までは『もしかしたらバカかも知れない?』が『こいつはバカじゃないか?』と認識が変わったのだ。

 進路には、① 『支配者』②『王』そして三番目の空欄を除けばバカ丸出しである。


「先生はな、どんな気持ちでこの進路を希望したのかを先ずは聞きたい」

「アタシが廊下を歩くだけで男子は会釈をするわ。これが王………いえ、支配者たる資質と言わないですか!」

「それはお前の短すぎるスカートのせいで健全な男子のデリケートな事情だ」


 少女は机に乗り仁王立ちをする。


「それならば、アタシがこの国の大統領と成って四則演算を用いて加減乗除の三寒四温な国を造ってみせるわ!」

「………バカが無理に難しい事を言おうとしなくても良いから、机から降りろ」

「せんせぇは分かってないよ!アタシは脱いだら凄いんだから!」

「………お前、襲われないように注意しろよ?」


 顔とスタイルだけは良いから余計に心配になる。


「流石せんせぇだねぇ。この国の大統領になるアタシに暗殺に注意だね。ありがとうね」

「違う!そんな下着が見えそうなくらい短いスカートを生足で歩いていたらいつかは襲われるぞって話だ!」


 少しショックを受けたらしく大人しくなる。


「つまり、せんせぇはアタシにパンティーで世界を取れと言ったんですね!」


 大いに違う!

 何。このポジティブシンキング!


 この時彼女にある種確信を得た。


『こいつは、バカだ!』


 未だテーブルの上を跳ねて喜ぶ彼女。

 やめろ!パンティーが丸見えだ!

 案の定バランスを崩して僕は彼女を助ける形で下敷きになった。


「………大丈夫か?」


 まぁ怪我をしていないかの確認の意味だったのだが、彼女は僕から退こうとしない。


「進路が決まらないなら留年となるが?」


 出席日数も単位も足りてる訳だから留年の心配は無いのだが脅かしてみる。


「………この国の支配者になるアタシを脅すのがやり方なのか!」

「今、お前の進路を支配してるのは僕だ!明日までにまともな進路を考えろ!」


 その日はそれで済んだ。



 翌日進路指導室にやってきた彼女。

 机の上には進路調査票。


「…………何の冗談だ!」


 進路希望。①先生のおよめさん ②先生の妻 ③ 先生の奥さん



「昨日あれから考えた結果、先生に私の進路が握られているって事は遠回しのプロポーズだって気付いたから………末長くよろしくお願いします」

「そう言うのは親御さんとよく相談してからだな………」

「先生なら任せられるって認めて貰えましたよ♪」


 この子あっての親御さんなのか。

 深くため息を吐く。


「今度の日曜予定有るか?」

「デートですか?」

「いや、両親に照会する。制服で構わないから着てこい」


 バカな子ほど可愛いってか、このままだと危なくて社会に出せないってのが感想だ。




進路指導。

聞かれている内が華ですね。



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